「ゲゲゲの鬼太郎」などの代表作で知られる、漫画家の水木しげる氏。鳥取県西部の境港市で育ち、その境港には「水木しげる記念館」「水木しげるロード」などの人気スポットがある。JR境線には「鬼太郎列車」が走り、米子空港の愛称も「米子鬼太郎空港」だ。

その水木氏、実はお隣りの島根県、海に浮かぶ「隠岐」にも、ゆかりの地がある。

境港市の水木しげるロードに、多くの妖怪ブロンズ像が並んでいるのは有名。実は、隠岐にも妖怪ブロンズ像がある。

「ようこそ武良(むら)へ」とある。武良は、水木氏の本名の姓。

つまり、島後にある集落「武良郷」(現在の中村)がルーツとされている。

中村地区は、島が最もにぎわうエリアから路線バスで行くこともできる。

その1つが、路線バスのバス停「中村」に近い場所にある「アマビエ」だ。

江戸時代、肥後の国(現在の熊本県)の海に現れた妖怪で、「疫病が流行ったら、私の写し絵を早々に人々に見せよ」と言い、海の中に姿を消した言い伝えがある。

アマビエは、新型コロナウイルス禍で、その終息を願うシンボルとして知られるようになった。

また、近くの小中学校の前には「踊る水木先生」の像もある。佐々木定綱が隠岐地頭に任命された建久4年(1204)に始まったと伝わる、隠岐三大祭りの1つ「武良祭り風流」にちなみ、水木氏が踊っている。

ほかにも、島後の玄関口である西郷港には「鬼太郎親子とねずみ男」、カッパ伝説が残る八尾(やび)川と福かっぱ大明神の祠近くに「河童」、国分寺にはいたずら好きの妖怪「五対面」などがある。

その数、全10体。境港の水木しげるロードの延長として巡ってみるのも良いだろう。

「踊る水木先生」のブロンズ像の近くにもう1つ、見どころがある。「唐傘の松」だ。遠目から見ても見事。この地区のシンボル的存在と聞く。

樹齢600年、樹高12メートル、幹周4.26メートルの県指定無形文化財・天然記念物。昔、この場所は校庭だったという。先の武良祭り風流での開催場所でもある。

(Written by AS)