迷いなく右足を振り抜いた決勝ゴール photo/Getty Images

写真拡大

グループB・第1戦
イタリア 2-1 アルバニア

前回大会覇者のイタリアとアルバニアが対戦した。

グループBは他にスペイン、クロアチアの強豪が入り、今大会最も突破が難しいと言われているグループでの戦いとなる。イタリアは、ケガで初戦欠場が予想されたニコロ・バレッラが先発。その他ほぼベストメンバーで勝利を目指す。対するアルバニアは代表入りしたメンバー10人がセリエAのクラブに所属、注目はインテルのクリスティアン・アスラニとサッスオーロのネディム・バイラミの両インサイドハーフ。監督は元アーセナルやマンチェスター・シティ、バルセロナなどで活躍したシウヴィーニョが務める。彼は2014年から2年間、インテルでアシスタントコーチを務めた経験を持ち、お互いが手の内を知ったチーム同士の白熱した試合が予想された。

前半はアルバニアのボールでキックオフ。すると開始1分に先制点が生まれる驚きの展開が待っていた。キックオフ直後、アルバニアがロングボールを蹴るとタッチラインを割りイタリアボールとなる。しかしフェデリコ・ディ・マルコがスローインを不用意にDF同士の間の曖昧なスペースへ入れたところ、ハイプレスで狙っていたバイラミが反応し、豪快にシュートを叩き込み先制点を奪った。

思わぬ形で劣勢に立たされたイタリアは、その後ボールを保持する時間が続く。何度もペナルティエリア内に侵入するも決定機が作り出せない。途中、カウンターを許すも、11分に左からのコーナーキックを獲得。イタリアとしてはこの好機を生かしたいところ。キッカーにはロレンツォ・ペッレグリーニが立ち、まずコーナーの側に寄ったディ・マルコにボールを渡す。そして立ち位置を入れ替えるように回り込んだペッレグリーニに再びボールを戻し、彼がすぐさまクロスを上げると、それをファーから詰めたアレッサンドロ・バストーニが頭で合わせ、ゴールネットを揺らした。なんとイタリアがわずか10分で同点に追いつくことに成功した。

だがイタリアは勢いを止めない。ボールを保持しながら速いパス回しで央にサイドに巧みに攻めていく。すると同点から5分後、イタリアがペナルティエリアに強引に攻め込み、ルーズになったボールをアルバニアDFが跳ね返したところ、バレッラがダイレクトでミドルシュート。ボールはゴール左隅へと吸い込まれ、逆転ゴールを決める。同点だけでなく早くも試合をひっくり返す予想外の展開に会場が騒然となった。

その後も相変わらずイタリアがボールを保持。アルバニアが時折、カウンターを仕掛けるも、最初のミスで集中力を高まらせた堅い守備でその芽をしっかりと摘む。途中、ダビデ・フラッテージやジャンルカ・スカマッカが決定機を迎えるも、アルバニアのGKトーマス・ストラコシャの好セーブに合い、追加点が奪えず。前半を2-1で折り返す。

後半はイタリアボールから再開。お互いメンバー交代はなしで残り45分の戦いが始まった。アルバニアはバイラミが下がり気味にプレイすることでポゼッションを回復。しかし攻め手に欠き、チャンスを作り出せない。イタリアはボールを奪うと前半同様に安定した攻めの形を展開。機敏なパス回しで守備の隙を付くと、得点を感じさせる攻撃を重ねる。58分にはフェデリコ・キエーザが持ち味である積極性を発揮し、左足で豪快なシュートを放つ。ボールは惜しくも枠外へ飛び、悔しがって雄叫びを上げる姿がビジョンにリプレイされた。

68分。アルバニアは流れを変えるために両ウイングを交代。ヤシル・アサニに変えてディナモ・ザグレブのアルベール・ホッジャ、タウラン・セフェリに変えてスパルタ・プラハのカジム・ラチを投入。しかしイタリアの運動量の多さと球際の強さに苦しみ、流れを変えることができない。76分にはもう1枚のFWを交代するも状況に変化は起こらない。

対するイタリアも77分にキエーザとペッレグリーニに替えてアンドレア・カンビアーゾとブライアン・クリスタンテを投入。そして83分にはスカマッカとディマルコの2人を、マテオ・レテギとマッテオ・ダルミアンに交代しリフレッシュを図る。後半アディショナルタイム、打つ手がないアルバニアはなんとか個人技で1つのチャンスを迎えるも決め切ることができず、スコアはそのまま試合終了。イタリアは出端こそ挫かれたものの、伝統の堅守に加え、パス回しの上手さで相手ゴールに何度も迫った。スコア以上の実力の差が感じられた試合だったと言えるのではないだろうか。スペインやクロアチアなど強豪相手にもこのサッカーが見せられるかどうかが今後の鍵となりそうだ。

[スコア]
イタリア 2−1 アルバニア

[得点者]
イタリア
11分 アレッサンドロ・バストーニ
16分 ニコロ・バレッラ

アルバニア
1分 ネディム・バイラミ

[ラインナップ]

イタリア

監督:ルチアーノ・スパレッティ

GK
ジャンルイジ・ドンナルンマ(パリ・サンジェルマン)

DF
ジョヴァンニ・ディ・ロレンツォ(ナポリ)
フェデリコ・ディ・マルコ(インテル)
リッカルド・カラフィオーリ(ボローニャ)
アレッサンドロ・バストーニ(インテル)

MF
ダビデ・フラッテージ(インテル)
ジョルジーニョ(アーセナル)
ロレンツォ・ペッレグリーニ(ASローマ)
ニコロ・バレッラ(インテル)

FW
ジャンルカ・スカマッカ(アタランタ)
フェデリコ・キエーザ(ユベントス)

交代出場・退場
77分 キエーザ→アンドレア・カンビアーゾ(ユベントス)
77分 ペッレグリーニ→ブライアン・クリスタンテ(ASローマ)
83分 スカマッカ→マテオ・レテギ(ジェノア)
83分 ディ・マルコ→マッテオ・ダルミアン(インテル)
92分 バレッラ→マイケル・フォロルンショ(エラス・ヴェローナ)

アルバニア

監督:シウヴィーニョ

GK
トーマス・ストラコシャ(ブレントフォード)

DF
マリオ・ミタイ(ロコモティフ・モスクワ)
エルセイド・ヒサイ(ラツィオ)
アルリンド・アイエティ(CFRクルージュ/ルーマニア)
ベラト・ジムシティ(アタランタ)

MF
ネディム・バイラミ(サッスオーロ)
タウラン・セフェリ(バニーヤース/UAE)
イルベル・ラマダニ(レッチェ)
クリスティアン・アスラニ(インテル)

FW
ヤシル・アサニ(光州/韓国)
アルマンド・ブロヤ(フラム)

交代出場・退場
68分 アサニ→アルベール・ホッジャ(ディナモ・ザグレブ/クロチアチア)
68分 セフェリ→カジム・ラチ(スパルタ・プラハ/チェコ)
77分 ブロヤ→レイ・マナイ(スィヴァススポル/トルコ)
87分 バイラミ→エルネスト・ムチ(ベジクタシュ/トルコ)