大谷翔平に「1000億円を支払った理由が判明」…個人の広告収入100億円!米広告代理店が暴露「一平の広告案件もあった」

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 大谷翔平とロサンゼルス・ドジャースによる10年1000億円契約については日米で大きな話題を呼んだが、現地ロスで20年以上広告代理店「MIW」を営む岩瀬昌美氏は「広告収入も破格だ」と指摘する。その額、23年は62億円で24年は109億円にまでのぼるとされる。一体誰か”大谷を買っている”のか。岩瀬氏が解説するーー。

野球は不人気スポーツなのに、大谷だけは金を集める

 昨年2023年の大谷選手のエンドースメント(広告収入)は4000万ドル(62億円)と言われております。現在のアメリカの野球界では断トツのナンバー1でしたが、今年はその額が更に増え、7000万ドル(109億円)にまでのぼると見られています。これは野球選手としては破格のエンドースメントです。

 一方で、日本やアメリカで開催の大会以外、基本的に野球はオリンピックの種目から外されています。世界的に見て野球が人気スポーツではないというのは言わずもがなですが、「野球の本場」アメリカでも、実はそんなにポピュラーなスポーツではないのです。2021年のワシントン・ポストの調査で「あなたの好きなスポーツはなんですか?」という質問に「野球」と答えた成人は11%で、1位のアメフトの34%には遠く及びませんでした。30歳以下に限定するとさらに悲惨で、1位アメフト24%、2位バスケ17%、3位その他12%、4位サッカー10%、そして5位が野球で7%でした。

 それは広告収入ランキングにもあらわれています。スポルティコによると、2023年の広告収入トップはNBAロサンゼルス・レイカーズ、レブロン・ジェームズの8000万ドル(124億円)。2位はゴルフのタイガー・ウッズと、米サッカーMLSインテル・マイアミの所属しているリオネル・メッシ(アルゼンチン)が6500万ドル(102億円)で、4位もサッカー、サウジアラビアのアル・ナスル、クリスチアーノ・ロナウド(ポルトガル)の6000万ドル(95億円)です。

 それでも大谷選手の4000万ドルは野球選手としては破格です。野球選手として世界2位のフィラデルフィア・フィリーズ、ブライス・ハーパー(700万ドル(11億円))に大差をつけています。

実はそこまで知名度が高くない大谷

 それにしても、世界的にも米国的にも不人気である野球というスポーツで、なぜ大谷選手にだけ広告が集中するのでしょうか。とくにアメリカの広告代理店としては、4000万ドルという額には違和感を覚えます。いくらベーブ・ルース以来の二刀流に挑戦し、数々の記録を更新しているとはいえ、そんなに知名度は高くないのです。市場調査・分析会社「YouGov」によると、大谷翔平のFame(知名度)は53%で、野球選手の中では13位という結果です。

 大谷選手の4000万ドルは「偉業だけでは無理」な数字のように思えます。私と市場調査の一環で、現地スーパーのレジ横棚を調べたことがあります。置いてある雑誌を数十種全て確認しましたが、大谷選手が表紙のものは1誌もありません。スポーツ系の雑誌も表紙はバスケットボール選手です。

 では、日本ではどうかというと、日本の雑誌だとスポーツ紙だけでなく女性週刊誌まで表紙に大谷選手を起用しており、もはや日本人で彼の顔を知らない人はほとんどいないのではないしょうか。

大谷バブルの根源は”日本向けの広告”

 実は彼の広告収入の多くはセイコーやコーセーといった日本企業による出稿です。そしてそのほとんどは米国ではなく、日本国内向けに制作されたものです。例えば大谷選手とコーセー「雪肌精」とのキャンペーンはここアメリカの日系スーパーでもポスターが貼ってありましたが、逆にいえばこの日系のスーパー以外で私は見かけたことがありません。

 因みに雪肌精は美白化粧品ですが、アメリカでは東洋人以外にあまり興味は持たれていません。アメリカでは小麦色の肌が富裕層のシンボルなので、アメリカで爆発的な売れ行きは見込めないでしょう。仮にアメリカ人向けにこの広告を打つとしたのであれば、マーケティングとして何かが間違っています。

 そんな日本企業による”大谷買い”は、大谷選手本人だけではなく、その周辺にも大きく波及しています。大谷選手が今季から所属しているロサンゼルス・ドジャースは今、日本企業の広告であふれています。全日空、ダイソーなどなど。ドジャースは全米では超人気球団ではありますが、昨シーズンまでは日本のスポンサーは皆無でした。これこそ、ドジャースが大谷選手と1000億円の契約を結んだ理由です。前代未聞の契約金でも、ドジャースからすれば余裕で「ペイ」できる金額なのです。

ドジャースタジアムの広告が高すぎるので同じナ・リーグ西地区の別球場にまで波及

 そして、大谷選手といえば「バックネット広告」です。大谷選手がホームランを打つたび、そのリプレイ動画がSNSで繰り返し再生されるため大きな広告効果があるとされています。エンジェルス時代は米国進出したくら寿司のバックネット広告が日本でも話題を呼びましたね。

 私は以前のみんかぶへの寄稿でこのバックネット広告が「意外と安い」ことをお伝えしていたのですが……。ドジャースのバックネット広告はミニマム3年契約で値段はエンジェルスの10倍くらいと高額です。そんなこんなで、ドジャースタジアムの広告が高すぎるということで、同じナ・リーグ西地区の本拠地への広告出稿を検討する日本企業も出てきています。言うまでもななく、ドジャースがアウェイチームとして試合するからです。私個人にも日本から周辺球場への広告出稿のご相談を何件か頂いております。 

 そんな中で、大谷個人に新しいエンドースメントが決まりました。野球に興味がない人にはあまり馴染みがないかもしれませんが、「ラプソード」という野球やゴルフの弾道測定分析デバイスブランドです。ラプソードは日本マーケットを拡大したいというのが大谷起用の主たる理由とのことです。これは大谷選手にとって、とてもスマートな動きだと思います。野球少年たちに訴求するこの案件は、彼のブランディング的に、数ある広告の中でも”いい仕事”の部類に入ると言えるでしょう。

大谷を巡る”変な広告”に米広告代理店は「疑問」

 というのも、大谷選手の広告を巡っては、ちょっと気になる”不思議”な案件も混じっているからです。

 今日本では大谷選手がハワイの別荘を買ったことがニュースになっていますね。いわゆる「広告塔」としての業務だと思うのですが、引く手あまたであるはずの彼がなぜあえてこんなスポンサーをするのか、少し疑問に思うところです。

 大谷選手はハワイのマウナケア・リゾート内の新しいゲーテッド・コミュニティ、ハプナ・エステートに、オーシャンビューの約5,000平方フィートの家を設計・建設する予定だといいます。この件については、スポーツメディアやウォール・ストリート・ジャーナルまで報じています。そんな中で大谷翔平氏がハプナ・エステートのホームページに写真付きで寄せたメッセージも話題を呼んでいます、

「私は自分だけの楽園を見つけた」

大谷翔平です。
アイ・ラブ・ハワイ
私にとってハワイは、太平洋の文化が融合した美しい場所です。
ハワイ島の美しさが大好きです。
マウナケア・リゾートのハプナ・エステートで、私は自分だけの楽園を見つけた
2つの完璧なビーチ
2つの素晴らしいゴルフコース・・・その他もろもろ
私は自分の家を選び……ここに冬の家を建てている。
ここは特別な場所
もうすぐ我が家と呼べる場所だ。

 本当にこんなことを大谷選手は言ったのでしょうか……。ロスでもどこに住んでいるかを絶対に明かさない彼が、そもそも本当にハワイに住むのでしょうか。いずれにせよ大谷選手と「仲良くなりたい人」「近づきたい人」がここの物件を買って変なトラブルに巻き込まれなければいいなと思っています。

 かつて大谷選手は、「ブランドアンバサダー」として広告塔になっていた暗号資産交換所が2022年に破綻し、投資家から集団提訴されたこともありました。今回のハプナ・エステートといい、暗号資産交換所といい、どこまで彼の本意なのか不明ですが、一人の在米広告代理店経営者として、首をかしげてしまう広告案件に大谷選手は手を出しているなと感じます。

広告代理店が今だからぶっちゃける「水原一平広告」のご依頼

 だからこそラプソードのような野球に特化したエンドーサーになれば野球好きの世界規模マーケットにアピールできる唯一無二の存在になれるだろうと思います。

 さて、そんな大谷選手の破竹の勢いに水を差す形で、元通訳の水原一平さんの窃盗事件が世間を賑わせました。その後司法当局により、大谷選手が事件の被害者であることが名言されたにも関わらず、現地アメリカでは未だに大谷選手の何かしらの関与を疑う声があがっています。また「30歳になって何十億も無くなっているのに気がつかないって大丈夫?」という意見がまだまだSNS等で見られます。アメリカは移民の国ですが「7年もアメリカにいるのに未だに通訳つきってどうなの?」という声もあります。

 そしてこれは余談ですが、少し前に「大谷選手の広告料は高いので、一平さんを広告に使いたい」という以来が日本の一般消費財を取り扱う企業からコンタクトがありました。本格的に動き出す前に事件が発覚したので当然計画はとん挫したわけですが……。

 いずれにせよ、スーパースターの周りには色々な人やトラブルがやってくるものです。大谷選手が契約期間である10年間、彼らしく野球を続けられるように彼を支える「チーム大谷」には頑張ってもらいたいと思っています。大谷選手が日本で希望のようにメディアで取り扱われていますが、われわれ在米日本人にとっても大谷選手は「誇り」です。アジア人をめぐる話題といえば、韓国のK-POPや、中国の爆買いばかりだったので、なんとなく存在感の薄い在米日本人としては嬉しい限りです。