俳優ら約16万人で構成される労働組合である映画俳優組合-アメリカテレビラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)が、主要なレコード会社との間で、音楽業界でAI使用から歌手やアーティストを保護する内容で暫定的な複数年契約を結んだことを発表しました。

SAG-AFTRA, Record Labels Reach Tentative Sound Recordings Agreement | SAG-AFTRA

https://www.sagaftra.org/sag-aftra-record-labels-reach-tentative-sound-recordings-agreement



SAG-AFTRA union secures AI protections for artists in deal with major record labels | Reuters

https://www.reuters.com/world/us/sag-aftra-union-secures-ai-protections-artists-deal-with-major-record-labels-2024-04-12/

Sag-Aftra, major record labels reach tentative deal for AI protections in sound recordings | The Drum

https://www.thedrum.com/news/2024/04/12/sag-aftra-major-record-labels-reach-tentative-deal-ai-protections-sound-recordings

SAG-AFTRAの執行委員会は現地時間2024年4月10日、主要レコード会社との間でのレコーディングに関する公正慣行について、全会一致で暫定的に合意しました。この件は批准のために組合員へ送られることになります。

契約期間は「2021年1月1日から2026年12月31日」で、対象にはワーナーミュージック、ソニーミュージック、ユニバーサルミュージック、ディズニーミュージックなどが含まれます。

SAG-AFTRAのナショナル・エグゼクティブ・ディレクター兼チーフ・ネゴシエイターであるダンカン・クラブツリー=アイルランド氏は、「SAG-AFTRAと大手のレコード会社は音楽業界でのAI使用について、歌手とアーティストに対した倫理的かつ責任ある取り扱いを保証する、団体交渉のガードレールを含んだ初の画期的な合意に到達しました。これは、SAG-AFTRAのメンバーの権利、名誉、そして創造的自由を保護するために連携していくという、揺るぎない相互のコミットメントの証です」と語りました。

この「AIガードレール」は批准後ただちに発効するものです。なお、契約内で「歌手」「アーティスト」「印税(ロイヤリティ)アーティスト」という用語は人間のみを指すように定義されており、アーティストの声のデジタル複製を利用した録音物がリリースされるにあたって、最低補償金の要件と使用目的の具体的詳細について、明示的な合意が必要となります。



クラブツリー=アイルランド氏はまた、「SAG-AFTRAは、テクノロジーが創造的なプロセスを強化するものである一方で、音楽の本質は常に人間の本物の表現と経験に根ざしていなければならないという信念に基づいて活動しています。我々は、音楽業界のパートナーと協力して、イノベーションが豊かな文化的側面を生み出すにあたりアーティストたちの作品の価値を損なうのではなく高めるのに役立つ環境を後押しすることを楽しみにしています」と述べています。

レコード会社側の交渉委員会は「音楽とアーティストにとって急速な変化のある新時代へと突入するにあたり、SAG-AFTRAとの間で強力なパートナーシップを継続できることをうれしく思います。我々は、共通の価値観と、人間の芸術性へのコミットメントによって強化された新たな機会を受け入れ、共通の課題に直面しながら、一緒に成功する道筋を描いていきます」とコメントしました。