【心臓の専門医に聞く“不整脈”】原因は肥満や喫煙などの生活習慣の乱れ?

写真拡大 (全6枚)

「不整脈」には種類があり、あまり心配のない一過性のものから、早急に治療が必要なものまでさまざまあるそうです。そこで今回は不整脈についての基本的な知識から予防法まで、循環器内科医の山本 哲平先生(あきはばら心臓血管・内科院長)にお伺いました。

≫「心臓病は遺伝する?」 自覚症状のない“心臓病”について【循環器内科医に聞く】

監修医師:
山本 哲平(あきはばら心臓血管・内科)

日本医科大学医学部卒業後、日本医科大学千葉北総病院や日本医科大学付属病院などで経験を積み、2022年10月より現職。医学博士、日本循環器学会循環器専門医、日本不整脈心電学会不整脈専門医、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本不整脈心電学会評議員。

心臓の脈拍が乱れる「不整脈」とは? 不整脈になると動悸・息切れなどどんな症状が現れる?

編集部

「不整脈」とはどんな状態ですか?

山本先生

通常、心臓は一定のリズムで拍動し、正常な心拍数を保ちますが、なんらかの要因でこれが変調をきたすことがあります。脈が速くなったり遅くなったり、時々脈がとんだり、リズムが不正確になったり、これら全てを「不整脈」と呼んでいます。心拍が速くなる「頻脈性不整脈」や心拍が遅くなる「徐脈性不整脈」など、いくつかの種類に分けられます。

編集部

不整脈になるとどんな症状が出るのですか?

山本先生

不整脈に伴って起こる症状は、軽度のものから重度のものまでさまざまですが、代表的なものでは息切れ、動悸、胸部不快や胸の痛み、血圧低下や、それに伴うめまいなどがあります。また、症状のない不整脈もあります。

編集部

不整脈は病気ですか?

山本先生

不整脈の多くは、実はあまり心配の無い一過性のものです。例えば「心室期外収縮」と呼ばれる不整脈は、健常であっても多くの人にみられます。しかしながら、なんらかの病気が原因となって生じていることや、危険生の高い不整脈が隠れていることも考えられます。症状がある場合や、心室期外収縮であっても健診などで回数が多いと指摘された場合は、速やかに受診することをお勧めします。

「不整脈」が起きる主な原因や発症リスクにつながる生活習慣とは?

編集部

危険な不整脈もあるのですか?

山本先生

もちろんあります。代表的なものは「心房細動」で、脳梗塞や心不全の原因となり健康寿命に大きな影響を与える不整脈です。動悸やめまいなどで発見されるケースも多いですが、ずっと無症状だったけど、脳梗塞を起こして初めて発見されることも多く、注意が必要です。

編集部

不整脈の原因はなんですか?

山本先生

特に原因疾患のない突発性の不整脈が多いのですが、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患や心臓弁膜症といった基礎心疾患がある場合、甲状腺異常や肺に病気がある人などは不整脈になりやすい傾向にあります。

編集部

ほかに何か要因はありますか?

山本先生

不整脈の発症リスクはいくつか分かっています。加齢や高血圧、糖尿病などは不整脈を起こしやすくします。また、喫煙やストレス、肥満、過剰な飲酒、睡眠不足や疲労なども不整脈のリスク因子となります。

「不整脈」にならないために 日常でできる予防方法はある?

編集部

不整脈にならないためにはどうしたら良いですか?

山本先生

先ほどのリスク因子を出来るだけ減らすことです。禁煙や節酒、さらには適度な運動や、ご自身なりのストレスコントロールを心がけましょう。肥満の人や、熟睡感を得られにくい人などは、一度「睡眠時無呼吸症候群」の検査をしてみても良いと思います。

編集部

それはなぜですか?

山本先生

睡眠時無呼吸症候群は、自律神経の働きのバランスを崩し、不整脈や不整脈に起因する心臓突然死のリスクを高くするからです。睡眠時無呼吸症候群の治療をするだけで、将来的な不整脈のリスクを減らせると思います。

編集部

ほかに何か予防法はありますか?

山本先生

予防法ではありませんが、早期発見のためにぜひ知っていただきたいのは「検脈」の大事さです。「検脈」とは、自分で脈を触診することで、手首の親指側に反対の手指3本ないし4本を置くと脈を触知できます。もし、自覚症状のない不整脈が起こっていても、検脈をすることで、脈が飛ぶなどのリズムの乱れを早期発見できます。不整脈の早期発見・治療のために、日本脳卒中協会や日本不整脈心電学会が中心となって日常的な検脈を推奨しています。起床時と就眠前に検脈を習慣づけましょう。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

山本先生

不整脈には種類があり、症状が全くないまま突然死をきたす不整脈というのは実は少なく、多くは心配のないものです。しかし、心房細動に関しては、症状のないまま心不全や脳梗塞となるケースもあるため、早期発見が非常に重要な不整脈と言えるでしょう。症状のある時はもちろんのこと、症状がなくても、職場や自治体の健康診断で指摘された場合やご自身での検脈で心配な脈があった場合は、お近くの循環器内科などに相談することをお勧めします。

編集部まとめ

不整脈の種類や原因、日常生活でできる早期発見の方法などを解説していただきました。心電図検査を行わなくても、脈がとんだり、リズムが乱れたりなどの兆候は、ご自身での検脈でわかるとのことでした。また 肥満の人や熟睡感を得られにくい人などは、一度「睡眠時無呼吸症候群」の検査をしてみても良いのではないでしょうか。

近くの循環器内科を探す

医院情報

あきはばら心臓血管・内科

所在地〒101-0025東京都千代田区神田佐久間町2-18-1

アクセスJR山手線「秋葉原駅」徒歩1分

診療科目循環器内科・内科・皮膚科

03-5846-9711

ホームページ