文化放送メールマガジン（毎週金曜日配信）にて連載中のコラム「水谷加奈の劇場型恋愛体質」。
アナウンス部長・水谷アナが、日々の生活で感じたことを心のままに綴っていく。

―3月8日（金）配信分―

雨の日の夕方16時頃。電車はラッシュ前で比較的空いていました。私の対面には母親と5歳くらいの男の子が座っています。
英会話学校の帰りのようで、男の子は覚えたての英単語を母親に披露。母親はその相手をしながらもスマホから目を離しません。
ところが……。
男の子が窓の外を見ようと体を動かすたびに長靴の底が椅子の座面に当たっているのです。
隣に座っていた女性は長靴がレインコートに何度も触れるのを気にしてそっと席を移動。
でもスマホに夢中になっている母親は気が付きません。
完全に長靴で座面に立ちあがらんとする男の子を見て、私は反射的に声を出していました。
「ねね、靴！　長靴が！　脱がないと！」
母親は「スミマセン」でもなく特に反応するわけでもなく、ササッと長靴を脱がせました。すると男の子が、
「ママ、なんで脱がなきゃいけないの？」
母親が彼の耳元で何やらささやきました。
「え？　だれがおこってるの？」
大声を出す男の子。ということはこの母親はきっとこのように言ったのでしょう。
「長靴脱がないと怒る人がいるからね」
いやいや、そうじゃないでしょ。怒る人がいるから、じゃなくて
「椅子を汚したり隣の人に靴が当たるから脱がなきゃダメなんだよ」
と教えるべきです。
英会話習わせるよりまず電車内でのマナーを教えとけや！と心の中で叫んでおきました。