学内の男性用トイレに設置されている生理用品ディスペンサー

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 埼玉大学(さいたま市桜区)の学内トイレ24カ所に、無料の生理用品ディスペンサーが設置された。「生理の貧困」が話題となって以降、珍しい話でもないが、実は男性用トイレにも設置されたのだという。なぜなのか。

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「急に生理が来たら困るし、トイレに生理用品があるといいよね、というメンバーの発案がきっかけでした」と説明するのはこの計画を発案した同大学の学生団体に所属する男性メンバー。同時に「生理による体調の変化を気付いてもらえず辛い」「生理について公に話すことが難しい雰囲気、生理のタブーが社会にはびこっている」こともあり、全トイレに生理用品を無料で設置し、男性用トイレの個室にもサニタリーボックスを設置することを目標に「すべての人が過ごしやすいトイレプロジェクト」を2022年6月にスタートさせた。

学内の男性用トイレに設置されている生理用品ディスペンサー

 同大ダイバーシティ推進センターの協力を得て、23年10月から1カ月間のモニタリングを経た後、12月から本設置を始めた。

男性トイレ設置、「賛成21%」というアンケート結果

 設置したトイレは5つある各学部棟に1カ所以上、全学部生が使う「全学講義棟」に2カ所、食堂に2カ所、ほか体育館や図書館など。このうち女性トイレが15カ所、みんなのトイレが7カ所。残りの2カ所が男性トイレだ。身体の構造は女性でも、本人の性自認が男性であるようなトランスジェンダーなどの利用を想定しているほか、他人には言いづらい尿漏れや腸疾患を抱えた男性への対応になることも企図しているという。発案した学生団体ではセクシャルマイノリティなどの問題に関心が強く、プロジェクト名を「すべての人が…」としたのも、そうしたケースを想定したためだ。

 近年、いわゆるLGBTQに対する理解が進みつつあるとみられるが、大学生などの若年層はさらに理解が進んでいるのか。実は設置前の同年6月に「どのトイレに置くのが賛成か」というアンケートを採ったところ、女性トイレ93%、みんなのトイレ65%に対し、男性トイレは21%だった。この数字を多いとみるかどうかだが「アンケートの意見では『なぜ男性トイレに設置するのか分からない』という意見もあり、みんながみんな、(LGBTQなどの)問題に意識を持っているかというとそうでもない」と同団体の女性メンバーはみている。だからこそ「設置してあれば、なぜ男性トイレに生理用品があるかを考えるきっかけづくりにもなる」として、設置による意識の変化などにも期待しているようだ。

実際に利用の動きも

 本設置以降、今年1月末までに累計で利用された1471枚の生理用品のうち、16枚は男性トイレのディスペンサーから持っていかれたものだった。性的志向を明かしていない人から歓迎の声も出ているといい、男性トイレ設置の無料生理用品も活用されている実態があるようだ。

 ダイバーシティ推進センターの教員は「埼玉大学は性教育や性の多様性についても熱心に取り組み、意識が高い先生や学生が多い」と指摘する。設置などにまつわる費用は同センターの今年度予算で手当てされて おり、新年度以降も継続される方向性だという。

デイリー新潮編集部