Raspberry Piシリーズを用いて「ルーター」「メディアサーバー」「監視カメラ」などを自作した場合、いかにして長期間連続稼働させるかが課題となります。Raspberry Piを長期間連続稼働させる際に役立つポイントをソフトウェアエンジニアのクリス・ゾムバック氏がまとめています。

Considerations for a long-running Raspberry Pi # Chris Dzombak

https://www.dzombak.com/blog/2023/12/Considerations-for-a-long-running-Raspberry-Pi.html

◆インターネット接続状況を監視する

Raspberry Piを長期間稼働させていると、何らかの理由でWi-Fi接続が切断されることがあります。ゾムバック氏は「Raspberry Piにpingを定期的に送信し、応答が返ってこなくなったら通知する」という仕組みの構築を推奨しています。

pingを定期的に送信する方法は数多く存在していますが、ゾムバック氏はネットワーク監視ツール「Uptime Kuma」を使っているとのことです。



◆システムを自動的に再起動する

systemdのサービスはRestartオプションを設定することでサービス終了時に自動的に再起動することができます。Restartオプションの詳細は以下のリンク先で確認できます。

systemd.service

https://www.freedesktop.org/software/systemd/man/latest/systemd.service.html#Restart=



systemdの設定次第では「サービスの再起動に何度か失敗した場合、自動的にシステムを再起動する」ということも可能。ゾムバック氏のsystemd設定例は以下のリンク先で確認できます。

Reboot the Pi if PiWx service dies a lot of times in a row · cdzombak/pi-bme280-influx-logger@936375d · GitHub

https://github.com/cdzombak/pi-bme280-influx-logger/commit/936375db31336b8933e56ab9d4af97f5e9174ae3



◆高品質な電源を使う

出力の低い電源を使ったりノイズの多い低品質な電源を使ったりすると、システムが不安定になってクラッシュしてしまう場合があります。電源の選択に悩む場合は、Raspberry Pi公式電源を使うのがオススメです。

Buy a Raspberry Pi Power Supply - Raspberry Pi

https://www.raspberrypi.com/products/power-supply/



なお、Raspberry Pi 5における電源出力による動作の違いは以下の記事で詳しく解説しています。

Raspberry Pi 5は5V/5A対応電源アダプター以外でも使用可能なのか?純正電源と非純正電源で高負荷時の安定性を比較してみた - GIGAZINE



◆高品質なmicroSDカードを使う

Raspberry Piシリーズでは起動ディスクとしてmicroSDカードを使うのが一般的です。Raspberry Piの起動中には膨大な読み込みと書き込みが発生するため、品質の低いmicroSDカードを使っていると短期間で寿命を迎えてしまう可能性があります。このため、ゾムバック氏はSanDiskなどの有名メーカーの高耐久microSDカードを使うことを推奨しています。

また、microSDカードの容量についても書き込みセルの分散による寿命延長や予想外の大容量アップデートなどに備えて必要容量の2倍の容量を確保することが推奨されています。