「顔がピクピクけいれんする」原因を医師が解説! 脳腫瘍が見つかるケースもあるので要注意!

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「急に顔がピクピク動く……」なんて経験ありませんか? 多くは心配のいらないものですが、日常生活で不快感を覚えることは少なくありません。顔のピクつきやけいれんは改善できるのでしょうか。今回は「関東脳神経外科病院」の清水先生に解説していただきました。

監修医師:
清水 暢裕(関東脳神経外科病院)

岩手医科大学卒業。その後、群馬大学医学部附属病院脳神経外科入局、関東脳神経外科病院、佐久総合病院勤務。2021年、埼玉県熊谷市に位置する「関東脳神経外科病院」の理事長に就任。日本脳神経外科学会専門医。山梨大学医学部臨床教授。

顔がピクピクけいれんするのはなぜ?

編集部

顔がピクピクとけいれんすることがあります。これはなぜですか?

清水先生

何らかの原因によって、「表情筋」という顔の筋肉がけいれんしていることが考えられます。

編集部

表情筋について教えてください。

清水先生

顔にある筋肉の総称を表情筋と言います。表情筋には様々な種類があり、例えば、ひたいにある「前頭筋」や目の周りの「眼輪筋」、口の周りの「口輪筋」などはその一部です。これらの筋肉が複雑な動きをすることで、豊かな表情が作り出されます。しかし、自分の意思に反して筋肉が動くこともあり、その原因には様々なことが考えられます。

編集部

どのような原因が考えられますか?

清水先生

例えば、疲労が原因で顔がピクピクすることもありますし、顔を動かす神経に異常が起こり、筋肉が収縮して顔がけいれんすることもあります。

編集部

具体的に、どのような疾患が考えられるのですか?

清水先生

脳神経の異常で言えば、「顔面けいれん」などの疾患が考えられますし、脳の異常では「ジスキネジア」という疾患が考えられます。また、瞼を動かす筋肉の異常では「眼瞼ミオキミア」などの病態が考えられます。

顔がピクピクする症状は何科を受診すべき? どんな検査を受けるの?

編集部

顔がピクピクけいれんするときには、何科を受診すればいいのでしょうか?

清水先生

まずは脳神経外科、または神経内科の受診をおすすめします。疾患によっては治療が不要なケースもありますが、治療で改善できることもあります。顔がけいれんする状態が続けば不快でしょうし、仕事柄、困る人もいると思います。治療を検討する際には、正しい診断を受けることが大切です。

編集部

治療が必要でないこともあるのですね。

清水先生

はい。顔がピクピクする疾患には、すぐに受診しなければならないというような、危険性の高いものはほとんどありません。そのため、3カ月以上様子を見ても症状がなくならず、どうしても気になるような場合には、治療を考えてもいいと思います。

編集部

どのような検査をおこなうのですか?

清水先生

まずは診察でけいれんの状態を確認します。そして、けいれんがどういうときに起きるのかなど、問診で詳しく状況をお聞きします。その後、頭部MRI検査をおこなって、総合的に判断します。

編集部

治療を受ける人は、どのような疾患であることが多いのですか?

清水先生

代表的なものは「片側顔面けいれん」と「両側眼瞼けいれん」です。片側顔面けいれんとは、片側の下瞼がピクピクすることから始まって徐々に症状が悪化し、同じ側の頬や口の周りまで広がっていく疾患のことです。やがて目が開きにくくなるなど、日常生活に支障をきたします。

編集部

もう一方、両側眼瞼けいれんについても教えてください。

清水先生

まぶたを動かす筋肉である眼輪筋が収縮し、無意識にけいれんを起こす疾患です。片側顔面けいれんとは異なり、両側の目に症状が出るという特徴があります。初期ではまばたきが増えたり、光を眩しく感じたりして、進行すると目を開きにくくなります。

編集部

それらの疾患の場合には、治療で改善が期待できるのですね。

清水先生

はい。両側眼瞼けいれんは原因が明らかになっていないため治療は難しいとされていますが、「ボツリヌス療法(ボトックス注射)」などで症状を改善することができます。一方、片側顔面けいれんもボツリヌス療法で治療が可能ですが、そもそも顔を動かす神経(顔面神経)が脳内で血管に圧迫されていることが原因で発症しているため、根治には微小神経血管減圧術という手術が必要になります。

危険な顔面けいれんもある?腫瘍が原因のけいれんとは?

編集部

顔にけいれんが起きることで、命に危険が及ぶことはないのですか?

清水先生

多くのケースで命のリスクはありません。ただし、脳にできた腫瘍に関連してけいれんが起きることはあります。

編集部

脳腫瘍がけいれんの原因になるのですか?

清水先生

はい。脳腫瘍が作られた場所によっては、血管が腫瘍に押され、けいれんを引き起こすことがあります。「顔面けいれんだと思って受診したら、脳腫瘍が見つかった」というケースもあるので、もし顔面けいれんの症状に悩む場合には念のため、検査を受けるといいでしょう。

編集部

顔面けいれんを引き起こす脳腫瘍の場合、それ以外の症状はありますか?

清水先生

それほど強い症状はありませんが、頭痛やめまいのほか、片側の聴力が低下する、飲み込みが悪くなる、声が出づらくなるなどが起きることがあります。また、小脳にまで影響が及ぶとふらつきが出る場合もあります。これらの症状がみられたら至急、病院へ行きましょう。

編集部

顔面のけいれんに加えて、そのような症状があれば注意が必要ですね。

清水先生

そうですね。脳腫瘍にはたくさんの種類があります。顔面けいれんと関連する腫瘍は良性であることが多いものの、治療が難しく、合併症が出やすいという特徴があります。そのため、このような症状がみられたら、脳神経外科のある病院を受診することをおすすめします。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

清水先生

基本的に顔がピクピクするのは、命に関わるような怖い病気ではないことが多いのですが、患者さんにとっては不快でしょうし、特に営業職や接客業などをしている人は仕事に支障が出ることもあると思います。また、車の運転中にけいれんが起きたら事故のリスクにつながります。正しく診断をして適切に治療をおこなえば、多くの場合、症状の改善が期待できるので、ぜひ気兼ねなく受診してほしいと思います。

編集部まとめ

命のリスクにつながる疾患はほとんどないとはいえ、やはり自分の意思に反して顔がピクピク動いてしまうのは気になるもの。ボトックス注射など、手軽におこなえる治療もありますから、もし悩んでいる人は、一度専門医に相談してみてはいかがでしょうか。

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