医師が薦める「血糖値を下げる食べ物・飲み物」はご存知ですか?

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血糖値を下げる食べ物は何がある?Medical DOC監修医が血液検査の見方や基準値・主な原因と病気のリスク・対処法などを解説します。

監修医師:
木下 康平(医師)

防衛医科大学校卒業
聖マリアンナ医科大学病院呼吸器内科にて専門研修
自衛隊病院にて呼吸器内科・一般内科診療に従事。
資格:内科認定医

健康診断・血液検査で「血糖値が高い」と診断されたときに考えられる原因と対処法

健康診断や病院での血液検査で血糖値が高いと言われたことはありませんか?
この血糖値が高い状態が続くと2型糖尿病という病気に発展することがあります。
ではなぜ血糖値が上がってしまうのでしょうか?以下で解説していきます。

健康診断で血糖値が高いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

まず健康診断で血糖値が高いといわれたときに除外すべきことは朝食を食べているかどうかです。健康診断では基本的に検査前の朝食は抜くように指導されていますが、食事とは別に糖類の入ったジュースやコーヒーなどを飲んでいることがあります。この場合には正確な空腹時血糖値がわからないため、次回再度血液検査を行う必要があります。

HbA1cが正常値で空腹時血糖値が高いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

HbA1cは長期間の血糖値の推移によって変動します。一方で、空腹時血糖値は短期間で上下します。空腹時血糖値のみ高く、糖尿病を疑う症状(喉が乾く、体重が減る、トイレの回数が増える)などがある場合は糖尿病と診断されます。
ですがこれらの症状がない場合は、1ヶ月ほど期間をあけて再検査を行います。再検査でも血糖値の値が高い、またはHbA1cも高いようであれば糖尿病として診断します。問題がなければ3ヶ月程度空けて再検査を行います。

医師が薦める「血糖値を下げる食べ物・飲み物」とは

血糖値が高いと言われた場合、ご自身でできる対応はあるのでしょうか?
以下に自分でできる対応を説明いたします。

「血糖値を下げる食べ物」

血糖値を下げるというよりは、血糖値を上げづらくする食べ物は存在します。これは食物繊維を多く含む野菜類や海藻類、きのこ類や豆類などです。これらに含まれる食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにしてくれることに加え、腸内で水分を吸収し膨らむことで満腹感を感じるようになります。

「血糖値が上がってしまう食べ物」

糖類を多く含む麺類や米類は血糖値を上げる効果があります。ただし、これらを全く摂らないことは悪影響であり、適度な量を摂ることが必要です。血糖値が高い患者では米類や麺類などを多く取りすぎている傾向にあるため、これらを野菜類や豆類に置き換えることをおすすめしています。

妊娠中に食べてもいい「血糖値を下げる食べ物」

妊娠中でも特に食事内容の制限はありません。むしろ悪阻などで食事量が減ることがあり、必要なカロリーが不足することもありえます。
妊娠中は血糖値が上下しやすいため産婦人科での定期検診を必ず受け、その際に食事指導を受けることをおすすめいたします。

「血糖値を下げる飲み物」

食物繊維の一種である難消化性デキストリンを含む飲料が、血糖値を下げる可能性があります。ただし、血糖値を飲み物で下げるよりも血糖値を急激に上昇させる清涼飲料水を飲まないようにすることをおすすめいたします。

健康診断・血液検査の「血糖値」の異常で気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「血糖値」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

糖尿病

糖尿病とは高血糖が持続することで起こる病気です。遺伝などで起こる1型糖尿病と生活習慣が原因で起こる2型糖尿病に分かれます。
ここでは主に2型糖尿病について解説します。
2型糖尿病は血糖値を下げる能力が低下することによって起こり、慢性的な高血糖が全身の血管を障害することでさまざまな症状を起こします。
自覚症状として喉が渇く、尿がたくさん出る、体重が減っていくなどがあります。
また、進行することで手足のしびれや無感覚、網膜障害による失明や腎障害が起こり得ます。加えて無治療では発がんリスクや心血管病のリスクとなります。
糖尿病と診断されたらまずは内科にて継続的な治療を受けるようにしましょう。

肝硬変

肝硬変は肝臓に継続的な障害が起こることで発生する病気です。
主に肝炎ウイルスの持続的感染やアルコールによる影響で起こることがほとんどです。
肝臓は血糖値を調整する機能がありますが、肝硬変になると血糖調節機能がうまく働かずに糖尿病へと進行することがあります。
健康診断で肝機能異常が指摘されたら、まずは内科に受診し原因を精査するようにしましょう。

心筋梗塞

糖尿病患者は心筋梗塞を起こしやすい特徴があります。
また心筋梗塞は激しい胸の痛みで発覚することがありますが、糖尿病患者は痛みを感じる神経が障害されていることがあるため心筋梗塞の発見が遅れることがあります。
糖尿病に加えて脂質異常症も合併している場合は心筋梗塞のリスクは更に上がるため、どちらも治療することが重要です。

「血糖値が高い」ときの正しい対処法・改善法は?

まずは食生活を見直すことが重要です。血糖値が高くなりやすい炭水化物である米類や麺類などの量を減らすようにしましょう。食事量を急激に減らすとリバウンドしやすくなるため、減らした分を野菜類や豆類に置き換えることがおすすめです。特に豆腐などは癖がなく置き換えしやすいでしょう。
また、食事の時間を見直すことも重要です。夜間遅くに食事を摂るとエネルギーを消費しきれずに内臓脂肪となり蓄積されます。内蔵脂肪が蓄積されることで血糖値が上がりやすくなります。遅くとも20時には食事を終えるようにしましょう。
運動習慣をつけることもおすすめです。
いきなり激しい運動をすると関節痛などを引き起こす可能性があるため、徐々に運動習慣をつけるようにしましょう。特に軽く息が上がるような有酸素運動が体重減少に有効で、ウォーキングは負担が少ないためおすすめです。
日常生活に運動を取り入れるために電車通勤であるならば1駅前から歩くことをおすすめしています。

「血糖値を下げる食べ物」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「血糖値を下げる食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

健診で血糖値の高さを指摘されても食事に気をつければ糖尿病を予防することはできますか?

木下 康平(医師)

食事だけでは改善は困難なことが多いです。食生活に加えて運動習慣の見直しも合わせて行うようにしましょう。

血糖値を下げる食べ物のおすすめランキングを教えてください。

木下 康平(医師)

野菜類と豆類をおすすめしています。
ただし、トマトやイモ類は糖類を含むため、食べ過ぎには注意が必要です。米を主食にしている場合は、大豆や豆腐に置き換えることも続けやすくおすすめしています。

血糖値を下げる飲み物はありますか?

木下 康平(医師)

難消化性デキストリンを含む飲み物は血糖値を下げる可能性があります。
ただし、その効果は微々たるものであり、飲み物で血糖値を下げることが現実的ではないでしょう。

バナナは血糖値を下げることができますか?

木下 康平(医師)

バナナは食物繊維を多く含むため、血糖値を下げる効果があるかもしれません。ただし、食べ方には注意が必要です。バナナには血糖を上げる糖類も含まれているため、現在の食事に追加してバナナを食べることはおすすめしません。間食が多いようであれば、間食をバナナに置き換えることを検討してみてもいいかもしれません。

血糖値を下げる食べ物は食べ方も効果に影響しますか?

木下 康平(医師)

食事の順番として先に野菜などの食物繊維を多く含む食事をとることをおすすめします。
食物繊維は血糖の上昇を緩やかにすることに加えて、満腹感を感じやすく食事量が減る可能性があります。

まとめ 「血糖値を下げる食べ物」はバランス次第!炭水化物過多に野菜を取り入れよう!

血糖値が高いと言われたときに疑う病気やその改善方法に関して説明しました。
血糖値を下げる食事に固執するのではなく、まずは食事バランスを改善するようにしましょう。高血糖を指摘される患者のほとんどが炭水化物過多な食事となっています。食事に野菜を取り入れることで無理のない食生活改善を目指しましょう。

「血糖値が高い」ときに考えられる病気

「血糖値が高い」から医師が考えられる病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

心筋梗塞

婦人科の病気

妊娠糖尿病

糖尿病は全身の血管を障害するため心臓病などもリスクとなり得ます。妊娠中は血糖値が乱高下しやすく、妊娠中に糖尿病になることもありえます。妊娠中の血糖コントロールに関しては主治医に相談するようにしましょう。

参考文献

日本糖尿病学会

町田市ホームページ

茅ヶ崎市ホームページ