GoogleはiPhoneやiPad、Macのデフォルト検索エンジンという立場を維持するために、Appleに対し年間約3兆円を支払っています。これに対し、一部のユーザーが「GoogleとApple間の検索に関する契約が独占禁止法に違反している」と訴えましたが、カリフォルニア州連邦地方裁判所は訴えを棄却しました。

Arcell v Google Order on Motion to Dismiss 2-5-2024 | PDF | Complaint | Sherman Antitrust Act

https://www.scribd.com/document/704316662/Arcell-v-Google-Order-on-Motion-to-Dismiss-2-5-2024



Judge rules against users suing Google and Apple over “annoying” search results | Ars Technica

https://arstechnica.com/tech-policy/2024/02/judge-tosses-lawsuit-alleging-googles-apple-deal-ruined-search-for-everyone/

Judge dismisses Apple & Google antitrust class-action case

https://appleinsider.com/articles/24/02/07/judge-dismisses-class-action-antitrust-case-accusing-apple-google-of-collusion

2023年9月に始まった、「Googleが検索エンジン市場を違法に独占しているかどうか」についての裁判では、あらゆるプラットフォームのデフォルト検索エンジンになるためにGoogleが4兆円もの資金を投じていたことが明らかになったほか、そのほとんどがAppleの標準ブラウザ「Safari」においてデフォルト検索エンジンをGoogleに設定するために費やされていることが判明しています。

Appleは「Google検索を採用する代金」としてGoogleから年間3兆円を受け取っている - GIGAZINE



これを受けて、26人のユーザーからなる原告団は「GoogleがSafariの検索エンジンをデフォルトでGoogleにする契約を結んだのは、Appleが一般的な検索市場で競争するのを防ぐためだ」と(PDFファイル)主張。また「GoogleによるAppleへの代金の支払いは、イノベーションを阻害し、ユーザーから、Googleによる反競争的行為がなければ享受できたであろう品質やサービス、プライバシーを奪った」と指摘しました。

加えて、原告団は「Googleはユーザーの選択肢が少なくなるような世界を作り出し、Googleが選んだ広告を表示できるようになるため、検索結果に迷惑で有害なゆがみが発生した」「GoogleとAppleの幹部が、秘密裏の会合を通してデフォルトの検索契約を締結した」とも指摘しています。

しかし、現地時間2024年2月5日、カリフォルニア州連邦地方裁判所のリタ・リン判事はこの申し立てを棄却しました。リン判事によると、原告団はこれらの訴えを裏付ける十分な証拠を提示していないとのこと。



被告であるGoogleとAppleは「Googleの無料検索エンジンを使用するための価格をいかに設定すべきかや、独自の検索エンジンの構築を控えるといったGoogleとApple間の契約が、業界におけるイノベーションとプライバシー慣行をどのように低下させたのか、あるいは、原告側にどのような損害が生じたのかについて、原告側は明らかにしていません」と主張しました。

リン判事は「GoogleとAppleによる秘密裏の会合で契約が締結された」という主張に対し「これらの会合は違法な陰謀などではなく、あくまで合理的で合法的なビジネスの一環である可能性があります」と指摘しました。

一方でリン判事は、原告団による「AppleがGoogleをSafariにおけるデフォルト検索エンジンとして設定したGoogleの独占的契約は、アメリカにおける一般的な検索サービス市場での競争を排除した」という主張に対し、「不十分な主張」と認定し、30日間の修正期間を設けました。さらなる追求を原告団が求める場合、30日以内にこの主張の修正を行う必要があります。



原告側による訴えが認められるには、GoogleとAppleによるこれまでの取引によって競合の発展が阻害されたという明確な証拠を示さなければなりません。今回の原告による訴えでは、GoogleとAppleの契約が検索サービス市場での競争を阻害したという証拠が十分に示されていないため、被告側は「苦情の修正は無駄なこと」と批判しています。

なお、原告側の弁護士やGoogleの広報担当者は、今回の訴えについてコメントを控えています。