●反町隆史ジョークにツッコめず“乙女”に

俳優の反町隆史が主演を務めるテレビ朝日系ドラマ『グレイトギフト』(毎週木曜21:00〜)が18日にスタートした。今作は、数々の話題作を世に送り出してきた脚本家・黒岩勉氏によるオリジナル作品で、明鏡医科大学付属病院病理部の病理医・藤巻達臣(反町)が、 完全犯罪を可能にする殺人球菌“ギフト”をめぐるノンストップサバイバル医療ミステリー。今作で初の連続ドラマレギュラー出演を果たしているのが、お笑いコンビ・見取り図の盛山晋太郎だ。盛山は、うだつの上がらない藤巻のことを心の底では見下している明鏡医科大学付属病院病理部の病理医・伊集院薫を演じる。

そんな盛山に、今作の見どころや「憧れ」だと公言している反町との共演シーンについて話を聞いた。

お笑いコンビ・見取り図の盛山晋太郎

○反町隆史は雲の上の存在「実在してたんや」

――テレビ朝日と言えば、バラエティ番組『ロンドンハーツ』のドッキリ企画が有名ですが、ドッキリを仕掛けられることが多い側の芸人さんとしては、今作の出演が決まったとき「ドッキリかも」と心配もされたのではないでしょうか。

おっしゃる通り、「ドッキリかもしれない」というのは、何度か頭の中をよぎりました。でも、反町さんが僕らの番組『見取り図じゃん』(テレビ朝日)にいらしてくれて、反町さんとお会いしたことで、「俺、ほんまに『グレイトギフト』に出られるんや……!」と感動に変わりました。そのとき、初めてドラマに出演するんだと実感したことを覚えています。

――そのときの『見取り図じゃん』を拝見したのですが、反町さんのことを見る盛山さんの目がキラキラしているのが印象的でした。

そんなに輝いていましたか?(笑)。でも、ずっと前から大好きだった反町さんと会えたことで、芸人というより、ただの反町さんファンになっていたことは事実です。お会いした瞬間、「とうとう会えた!」と、心の底から喜びが湧き上がっていましたね。その一方で、反町さんが実在していることにも感動しました。僕にとって反町さんは雲の上の存在で、ペガサスやユニコーンなど実在しないものと同じだったので、「あ、実在してたんや」という気持ちにもなりました。ちょっと神格化しているので……!

――以前も、反町さんに会えたら「引退してもいい」「思い残すことはない」とおっしゃっていました。その気持ちは変わらないですか?

反町さんへの愛や熱意を表現する際に、一番分かりやすい表現をさせてもらいました。でも、半分くらい本気で思っています(笑)。

――人生で一番会いたかった人には無事に会えたんですね(笑)。

そうですね(笑)。反町さん以外で会いたい人は、メジャーリーグで活躍していた元プロ野球選手のサミー・ソーサやマーク・マグワイアしかいません。

『グレイトギフト』より=テレビ朝日提供

○反町隆史のジョークにツッコめず“乙女”に

――今回、憧れの反町さんとの共演となりますが、そばで見る反町さんのお芝居はいかがですか?

僕が評価することではないのかもしれませんが、反町さんのお芝居は本当にすごいです。反町さんに限らずですが、演じるキャラクターを憑依させるということはこういうことなのだなと毎日実感しています。お芝居の話をされる俳優さんたちが、「憑依」という言葉をよく口にしているのを耳にしたりしていたのですが、今回の現場ではそれを肌で感じましたし、まさか自分が「憑依」を体感するときが来るとは思ってもみませんでした。

――特に反町さんのどういった部分で「役が憑依している」と感じたのでしょう?

撮影の休憩時間にお話をしてくださるときは、『GTO』(98年、フジテレビ系)の鬼塚英吉先生としゃべっているような気分にもなりますし、僕が憧れた反町さんのままだなという感じなのですが、お芝居が始まると、ちゃんと藤巻先生になっているんです。格好いいことには変わりないですが、藤巻先生というキャラクターの持つ性格や雰囲気にフィットしているといいますか、反町さんの中に憑依した藤巻先生が存在しています。今回、反町さんが演じる藤巻先生は、僕らが学生の頃に見ていた鬼塚先生や『ビーチボーイズ』(97年、フジテレビ系)の広海とは真逆の人物。本当に同じ方が演じているのかと驚かされる毎日です。

――撮影現場での印象的なエピソードを教えてください。

今も緊張しているのですが、緊張している僕を和ませようと、反町さんがたまにジョークを言ってくださるんです。執刀するシーンを撮影する前の段取りで、反町さんが医療器具を持って、「監督の腕で使用してもいいってことですか?」とボケたんです。いつもみたいに「そんなんええわけないでしょ!」とかツッコめばいいのに、本当に言葉が出ませんでした。反町さんに掛ける言葉を一つもはずしたくないから、フリーズしてしまいました。

――憧れの人だからこそ、慎重に言葉を選んでしまいますよね。

もじもじしてしまいました。思い出してみると、我ながら気持ち悪かったですね……。周りからも乙女みたいで気持ち悪いと言われていました(苦笑い)。

●同郷・小芝風花からのアドバイスもすべて実行

○大根役者ぶりがトレンド入りした過去

――今作の出演が決まったときのコメントで「芸人がドラマに出ると、めっちゃ評価されるか、下手すぎてバズるかの2択」とおっしゃっていましたが、ご自身の演技の手応えは?



僕ら見取り図は演技が大根で有名で、トレンド入りを果たした過去があります(笑)。そんな僕ですが、完璧とは言わずとも、反町さんにアドバイスをいただいたりして、自分なりの伊集院を一生懸命に演じさせていただいています。たまに、音声さんや技術さん、照明さんから「関西弁ストップ」がかかることもあって……。「方言」だとはっきり分かるものや「単語」は直せるのですが、日常で使っているおしゃべりのイントネーションがかなり難しいですね。

――イントネーションは誰かに指摘されない限り、正しいものが分かりませんよね。

だからこそ、ここ数カ月は羽鳥(慎一)さんが話す言葉をずっと聞いていました。羽鳥さんの発する言葉は綺麗ですし、常に正しいイントネーションなので、とても参考になりました。

――「盛山さんが標準語を話すとキャラが変わる、チャラくなる」と話題になっていたこともありますが。

ラジオの企画で標準語チャレンジをした際は、ユーモアを含んでいたこともあり、僕が話す標準語に対して、「キャラが変わった」「チャラい」と感じた人もいたのかもしれません(笑)。

○役作りでいつもよりパーマを強めに

――伊集院を演じるに当たり、意識したことや役作りしたことは?

役作りだなんて恐れ多いです。右も左も分からないので、「お邪魔します」という感じでした。気になることがあれば、監督に聞いたりしながら、一つひとつのお芝居を丁寧にさせていただいています。あと、パーマを当て直しました。女性を口説くチャラい人物だと聞いたので、慌てて美容室に駆け込みました。普段もパーマを当てているんですけれど、ちょっと強めにしました。



――メンテナンスは大変ではないですか?

メンテナンスはしてないです! 大変じゃないです(笑)。

○同郷・小芝風花からのアドバイスもすべて実行

――(笑)。バラエティのレギュラー番組では、共演者の中に俳優さんもいるかと思います。何かアドバイスをもらったりしましたか?

『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)で共演している小芝風花ちゃんには、ちょいちょい相談していました。風花ちゃんは地元が一緒なので、「関西弁じゃなくて、標準語の役やねんけど……」と話したら、「やってたら慣れますよ!」と言われました(笑)。台本の覚え方や家でどんなふうに読んでいるなど、風花ちゃんに言われたことは全部やりました。



○反町隆史から2人きりで1時間以上の直伝稽古

――台本の覚え方は小芝風花さん直伝ということなんですね。

そうなりますね。ただお芝居では、反町さんが僕の師匠です。2人きりで1時間以上、演技のアドバイスをくださいましたし、これから先、いろいろなところで「反町さんが師匠」だと言っていきます!

――もし別作品で再び共演するとするなら、どういった関係性がいいですか?

もうなんでもやらせていただきます。反町さんと一緒ならば鳥のふんでもいいです。

――熱い思いをありがとうございました。最後に、今作の見どころをお願いします。

反町さん演じる、派手ではないけれど淡々と仕事をこなす藤巻先生が、クレバーかつ冷静に立ち向かっていく姿が本当に格好いいです。反町さんのファンとしても、イチ出演者としても、オンエアが楽しみで仕方がありません。また、第2話では反町さんと僕の2人だけのシーンがたくさんありましたし、本当に緊張しました。でも、もしかしたらその尋常じゃない緊張感と作品の臨場感がマッチしているかもしれません(笑)。標準語の僕と、憧れの人の前でも「反町隆史やー!」とたかぶる感情を一切出さずに真剣にお芝居をしている僕を見てほしいです。



■見取り図 盛山晋太郎

1986年1月9日生まれ、大阪出身。2007年5月に「見取り図」を結成。『M-1グランプリ』では、2018年、2019年、2020年と3年連続でファイナリストになった実力派。YouTubeチャンネル『見取り図ディスカバリーチャンネル』では登録者約45万人を誇り、幅広い世代から人気を得ている。今作『グレイトギフト』が連続ドラマレギュラー初出演となる。

■スタイリスト:神山トモヒロ