これからもずっと今の自宅に住み続けますか? 最後まで心穏やかに過ごせる“終の棲家”について、今から考えておきませんか。高齢期の住み替え資金アドバイスを行う「高齢期のお金を考える会」を主宰するファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに、高齢者施設のお金まわりのことについて教えてもらいました。

これから高齢者施設を選ぶ基準

出せる予算の目安がついたら、少しずつ施設の情報を集めましょう。

●予算が決まったら「どっちがイヤか」で考える

ひとり暮らしになったら元気でも施設に移りたい場合、自立〜最後までいられる施設はかなり高額。元気なうちはケアハウスかサ高住、または自宅で過ごし、要介護で介護付有料老人ホームに移る方が費用を抑えられます。どちらか迷ったら、「見守りがあるケアハウスやサ高住で過ごすのと、要介護までひとりで自宅で過ごすのと、どっちがイヤ?」と考えてみて。どちらがいいか考えるより、結論が出やすくなります。

●親の希望は「聞き取りシート」で

親に“終の棲家”の希望を尋ねたい場合は「聞き取りシート」を。「要介護度が重くなっても家がいい?」「年金額はいくら?」など、知りたい質問を書いて手渡して。手書きなら心配が伝わりやすく、親も考えてくれるはず。

高齢者施設の場所は今の住まいの近くがいい?

住み慣れた地域で最後まで過ごしたい人は多いのですが、特に都市部の施設は入居金が数千万円と高額。東京在住なら都内にこだわらず、埼玉や千葉など、周辺地域まで範囲を広げて探しましょう。安くていい施設がたくさんあります。介護度が重くなって、ひとりで外出できなくなったら、施設の立地よりも中での過ごしやすさの方がよほど重要です。

●自宅を担保にサ高住入居金の融資が受けられるサービスも

住宅金融支援機構の“リ・バース60”は、自宅を担保にサ高住への住み替え費用が借りられるサービス。評価額の50〜60%まで借りられ、生前は利息のみ返済。死亡時に、自宅の売却代金で元本を返済できます、60歳以上が対象。

気になる施設をもっと知る方法は?

気になる施設を見つけたら、見学に行きましょう。施設に連絡して「将来の入居を考えている」と伝えれば、見学の日時を予約できます。施設主催の送迎つきの見学会もありますが、個別の見学の方が施設へのアクセスなどもわかっておすすめです。

最終的な選択の前には、実際に入居して過ごせる「体験入居」を申し込みましょう。施設の雰囲気や入居者の普段の様子、気になるにおいや生活音の有無など、滞在してこそわかることは多く、参考になります。