「肝不全」の初期症状・末期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

写真拡大

体重が減らないとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)

浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

「体重が減らない」症状で考えられる病気と対処法

食べていないのに体重が減らない場合には、①病気により体重が減らない場合、②食べている食事のカロリーが思ったより減らせていない、もしくは代謝が落ちているため消費カロリーが少ない可能性があります。

体重が減らない症状で考えられる原因と対処法

食事を減らしていても体重が減らない場合には、何か病気が隠れている可能性があります。例えば、甲状腺ホルモンや副腎ホルモンの異常が起こると、体重が増えることがあります。また、心不全、肝硬変や腎不全、ネフローゼ症候群などにより全身の浮腫が起こると、体に水分が溜まり体重が増加します。いくら食事を減らしても体重が減らなかったり、体重が増えたりする場合には一度内科を受診し、これらの病気の可能性がないかを相談しましょう。

食べていないのに体重が減らない症状で考えられる原因と対処法

食べていないのに体重が減らない場合には、上記のような病気も考えられます。しかし、多くの場合は病気でないことが多いです。若い時と比較すると、40代以降は代謝が落ちてしまい、食事を食べていないと思っていても、食事のカロリーが消費カロリーを上回り、徐々に太る方が多いです。このような場合には、食事量を把握し、適正体重となるようにカロリー計算をして食事制限をしましょう。また、消費カロリーを上げるためにも運動をすることも大切です。
また、女性の場合、ホルモンの働きで生理前に体に水分をため込みやすくなり、体重は減りづらくなります。生理周期を考えて焦らず、食事制限を続けましょう。産後も注意が必要です。産後1~2か月は産褥期といい、出産による体のダメージを回復する時期にあたるため、無理なダイエットは禁物です。体力が十分回復した後にダイエットを開始しましょう。

体重は減らないが体脂肪が減る症状で考えられる原因と対処法

減量のために運動をしているけれども、なぜ体重が減らないのか?と質問をされることがあります。筋トレなど運動をし始めると、体脂肪は減っていきますが筋肉が増えます。この時に、筋肉は重いため思ったより体重が減りません。この場合には、途中であきらめず運動を継続しましょう。体重が減らなくとも、体が締まってきてお腹がへこんだなど、変化が出てきていれば上手く筋肉量が増えている証拠です。筋肉量が増えることで、基礎代謝が上がり、やせやすくなります。運動をしてもなかなか体重が減らないからといって、運動をやめず継続することで徐々に体重が減ります。この時に、カロリー制限と運動を一緒に行うと効果が出やすいです。また、筋トレと軽いランニングなどの有酸素運動を組み合わせることで、より効率よくカロリーを消費することができるためお勧めです。

体重が減らないけどお腹はへこんだ症状で考えられる原因と対処法

体重が数日で急激に増える場合には、病気が隠れている可能性があります。例えば、心不全や肝硬変、腎不全、ネフローゼ症候群などに合併した全身の浮腫では、体に水分が溜まります。
脂肪と違い、浮腫では指で押すと痕がつくようになります。また、水分の貯留が進むと、体重増加に伴って心不全や胸水なども出現します。このような場合には、息苦しくなり横になることができなくなります。このような状態となった時には、早急に内科へ行きましょう。

すぐに病院へ行くべき「体重が減らない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

急に体重が増える症状の場合は、内科へ

体重が数日で急激に増える場合には、病気が隠れている可能性があります。例えば、心不全や肝硬変、腎不全、ネフローゼ症候群などに合併した全身の浮腫では、体に水分が溜まります。
脂肪と違い、浮腫では指で押すと痕がつくようになります。また、水分の貯留が進むと、体重増加に伴って心不全や胸水なども出現します。このような場合には、息苦しくなり横になることができなくなります。このような状態となった時には、早急に内科へ行きましょう。

受診・予防の目安となる「体重が減らない」ときのセルフチェック法

体重が減らない以外に足がむくむ症状がある場合

体重が減らない以外に息苦しい症状がある場合

体重が減らない以外にだるい症状がある場合

体重が減らない以外に急激に体重が増加した場合

体重が減らない以外に体の中心のみ太る症状がある場合

体重が減らない以外に顔面が丸く浮腫む症状がある場合

「体重が減らない」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「体重が減らない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

甲状腺機能低下症(橋本病)

甲状腺は首の‘のどぼとけ’の下にある臓器です。ここで体の代謝の調整をする甲状腺ホルモンをつくっています。この甲状腺ホルモンの分泌が少なくなっている状態を、甲状腺機能低下症といいます。症状として、やる気が出ない、疲れ、むくみ、冷え、体重増加などが起こります。徐々に進行するとなかなか自覚症状が分かりづらく、年齢のせいかな?更年期や仕事で疲れているせいかな?とかなり進行してから病院を受診する方もいます。
甲状腺機能低下症の原因として最も多いのは、橋本病です。橋本病は自己免疫疾患の一つであり、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体や抗サイログロブリン抗体といった甲状腺に対する自己抗体が陽性になります。慢性的な甲状腺の炎症をきたし、甲状腺が腫れて大きくなります。このような甲状腺の腫れや、疲れやだるさ、むくみなどの症状がある場合には一度内科(特に内分泌内科)を受診して、診察を受けましょう。

肝硬変

肝硬変はウイルス感染や飲酒など様々な原因により、慢性肝炎が徐々に進行して肝臓が硬くなった状態をいいます。肝硬変となると、血液が十分に肝臓に流れなくなり、肝臓の機能が低下してしまうために肝性脳症(肝臓で代謝できない老廃物が体内にたまり起こる意識障害)、黄疸、出血が起こりやすくなります。また、肝臓での蛋白質の合成が低下するため、腹水やむくみが起こりやすくなります。肝硬変の状態により、治療や食事などの注意点が変わります。肝硬変が考えられる場合には早めに専門の消化器内科を受診しましょう。

糖尿病

糖尿病とは「インスリンの作用が十分でないためにブドウ糖が有効に使われずに血糖値が普段より高くなっている状態」と定義されます。肥満があると、糖尿病が発症しやすいことが分かっています。体重が増えた原因が糖尿病であるわけではありませんが、体重が増えたときに合併する病気として注意が必要です。糖尿病は初期では自覚症状がないことが多いです。しかし、血糖値が高くなると、のどが渇く、たくさん水を飲む、たくさん尿が出る、また急に体重が減るなどの症状が起こります。これらの症状が出現した場合には、内科を受診しましょう。

クッシング病

副腎皮質ホルモンの1つであるコルチゾールが過剰に分泌され、満月様顔貌(顔がむくみ丸くなる)や中心性肥満(体幹を中心とした肥満)などの症状を示す病気をクッシング症候群といいます。この中の原因で、脳の下垂体に原因があり副腎を刺激するホルモンを多く分泌するために病気が起こったものがクッシング病です。この病気を放置すると、高血圧、糖尿病、脂質異常症、骨粗しょう症などを合併しやすくなります。また、感染に弱くなるため敗血症で命を落とすこともあります。この病気を疑った場合には、まず内科を受診しましょう。

「体重が減らない」ときの正しい対処法は?

食事を減らしているのに体重が減らない場合には、多くは消費カロリーを摂取カロリーが上回っていることが多いです。体重を減らすためには、このバランスを変えて、消費カロリーが上回るようにしなければなりません。まず、自分の摂取カロリーが適正か考えましょう。

目標体重を求めましょう。自分のBMIを求める。
BMI=体重(kg)÷[身長(m)]2で求めます。

目標体重を考えましょう。まずはBMIが25以下を目指しましょう。
目標体重からおおよその摂取カロリーを考えます。
肥満症(25≦BMI<35)では、摂取エネルギー(日)=25kcal×目標体重
高度肥満(BMI≧35)では、摂取エネルギー(日)=20~25kcal×目標体重

これらの食事制限はそれぞれの病気の合併などにより変わります。詳しくは内科を受診し、ご自身に合った食事療法についての詳しい説明を聞きましょう。また、消費カロリーを増やすために運動療法を合わせることでより目標に早く到達でき、また維持することができるようになります。
ファスティングや断食といった無理に一定期間食べないダイエット方法は、かえってリバウンドを来たしやすくなり有効な方法とは言えません。また、減量をしていると停滞期が起こることがあります。なるべくストレスをためないようにしながら、継続していくことが大切です。

「体重が減らない」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「体重が減らない」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

体重が減らないのは病気ですか?

伊藤 陽子(医師)

体重が減らない時には、病気の可能性もあります。むくみがあったり、息苦しさ、だるさ、顔面や体の中心が太るなどの症状がある場合には病気が隠れている可能性があります。このような症状がある場合には、内科を受診して精密検査をしましょう。

ストレスが原因で体重が減らないことはありますか?

伊藤 陽子(医師)

ストレスを感じると、ストレスに反応してコルチゾールの分泌が増加します。これにより血糖値が上昇する傾向になります。また、血糖値の上昇が持続するとインスリンの分泌が多くなり、糖分を体にため込み体重が増えるようになります。このような変化が体で持続すると、体重が減りにくくなり、ストレス太りも起こりやすくなります。

どんどん太る病気はありますか?

伊藤 陽子(医師)

クッシング症候群や甲状腺機能低下症などでは体重が増える可能性があります。また、心不全、肝硬変、腎不全、ネフローゼ症候群などによる浮腫でも水分貯留により体重が増加する可能性があります。

まとめ体重が減らないのはホルモン異常の可能性あり

食事制限をしていても体重が減らない場合には、甲状腺機能低下症やクッシング症候群などのホルモン異常の病気の可能性があります。内科を受診し、相談をしましょう。特に病気がない場合には、摂取カロリーが消費カロリーを上回っている可能性が高いです。摂取カロリーを見直し、また消費カロリーを上げるために運動もしましょう。

「体重が減らない」症状で考えられる病気

「体重が減らない」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

心不全

腎・泌尿器系の病気

腎不全ネフローゼ症候群

代謝・内分泌系の病気

糖尿病性腎症

甲状腺機能低下症

クッシング症候群、クッシング病

消化器系の病気

肝不全

体重が減らない原因として深刻な病気が隠れていることは珍しいですが、一部分だけひどく浮腫むような時には病気が隠れている可能性があります。

「体重が減らない」に似ている症状・関連する症状

「体重が減らない」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

顔が丸くなる

手足は細いがお腹が出る

足がむくむ

だるい

のどが渇く

尿が多くなる

体重が減らない他にこれらの症状があるときは「心不全」「腎不全」「ネフローゼ症候群」「糖尿病性腎症」「甲状腺機能低下症」「クッシング症候群」「肝不全」などの病気が考えられます。ただ太っているだけでは説明がつかない体の一部分の変化や全身症状があるような時には早めに医療機関を受診しましょう。

【参考文献】
・[日本内分泌学会]甲状腺機能低下症
・[難病情報センター]クッシング病.
・[日本肥満学会]肥満診療ガイドライン2022