新年から震災や衝撃的な事故のニュースが続き、落ち込んでしまったりと、メンタルに不安を感じている人もいらっしゃるのではないでしょうか? そんなときに、ストレスから心身を守るために意識したいことを公認心理師の川本義巳さんが教えてくれました。

衝撃的なニュースを見て落ち込んでしまったら…

令和6年の始まりは、誰もが忘れられないお正月になりました。
1月1日に能登半島で起こった大地震と津波の災害に加え、1月2日には羽田空港でJAL機と海上保安庁の輸送機との衝突事故がありました。

お正月ということで、家族でテレビを観ながら過ごしていた方も多かったことと思いますが、突然画面が緊急速報に変わりました。キャスターの方の声や様子から、ただ事ではない雰囲気が伝わりました。そして羽田の事故。この映像も衝撃的でした。

改めて亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われたみなさんの生活が一日も早く復旧されることを心からお祈り申し上げたいと思います。

東日本や阪神淡路の震災のときもそうでしたが、直接被害に遭われた方だけでなく、間接的に「テレビを観て」「インターネットを見て」ショックを受ける方が多くいました。
災害の映像はやはり誰から見てもショッキングなものです。特に感受性の強い方はその光景や、そのとき感じた体の感覚、動悸や硬直感などをことあるごとに再体験してしまったりします。

また、「被災していない自分たちが普通にしているのはなんだか申し訳ない」と自責の念にかられる方もいます。
そして災害のニュースはどうしても繰り返し報道されますし、震災であれば長期的にもその情報を目にすることになりますので、当然受けるストレスも増えていくことになります。

ストレスから身を守る3つのコツ

こういった災害や事故のニュースでメンタルが不安定になってしまったとき、私たちはどうやって自分たちの心身を守ればいいのでしょうか?
それには3つの大きな軸があるので、それぞれ説明をしていきましょう。

●1:情報の流入を制限すること

こういう話題になると「見なければいい」という極端な意見が出てきます。
確かにストレス要因となるものを避けるというのは正論です。しかし、現代の私たちにとってそれは不可能ですし、不便なことが多くなります。情報をゼロにするというのは現実的ではありません。

ただ、情報の流入を減らすことはできます。「1日に数時間しか見ない」というのは難しいので「1日のうち、ある一定時間は必ずテレビもネットもみない」というのがいいでしょう。トータルの量で減らしていけばよいと思います。
また、画像は影響力も大きいので、極力音声や文字で情報収集するのもよいでしょう。

●2:自分の現状を確認すること

ストレスで心身に影響が出ているとき、私たちの意識は災害の場面にいます。そこはイメージの世界であり現実ではありません。
まずは少し落ち着いて、自分の周辺がどうなっているのかを確認するようにしてください。そして、自分が生活をするうえでやらなければいけないことに集中しましょう。

私も仕事柄メンタルが不安定になって、パニック状態の方をコーチングすることがありますが、そのとき必ず「今ここを意識するようにしてください」と言います。今自分が見ている景色や聞いている音、そして感じている感覚が正しいです。不安に感じている自分はイメージの中の自分ですから。

●3:孤立しないこと

最後に、不安になったり、つらくなったりしたら誰かと話す機会をつくってください。
信頼できる人に「今不安なんだ」と伝えて話し合ってみてください。そのときの注意点としては、お互いアドバイスをしたり、原因追及をしたりするのではなく、「じゃあこれから私たちはなにをすればいいのかな」ということを話してください。

人は孤独になると、ネガティブな思考を探索し、増幅させてしまうことがあります。もし不安にかられるようなことがあれば、誰かと一緒にいるということを大切にしてください。