文春文庫から『戦狼中国の対日工作』を著したルポライターの安田峰俊さんが1月22日の『くにまる食堂』にご来店。聞き慣れない『戦狼中国』とはどういう意味なのか、今の中国を解説していただいた。

邦丸「この本の帯の言葉がすごいですよ。「偽情報流布」、「監視」、「スパイ」、「日本を破壊する謀略戦の実態を徹底取材」。最近は『戦狼外交』というのが、中国の特に外交官、国の方針のようになっているそうです。タイトルにある『戦狼中国』ってどういうことですか?」

安田「『戦狼外交』というのは、中国の外交官が例えばXとかSNSであるとか記者会見で西側諸国に対して非常に挑発的なことを言ったり、攻撃的なことを言ったりする言動や、外交上の強硬な姿勢をとることを言うんです。この本のタイトルである戦狼中国は、つまり国は外交部だけじゃなくて当然お国の中にいろんな機関がありますから、このすべてがそんな感じになっているので、中国全体を指して『戦狼中国』というふうに呼んでいます。」

邦丸「習近平さんが国家主席になってから、中国の、日本・アメリカ・ヨーロッパに対する姿勢というのは明らかに変わったっていうことですか。」

安田「そうですね。特に政権が2期目に入った2017年ぐらいを境に、大きく変わった感じがしますね。政権ができるたびにスタッフを決めるわけなんですけれども、習近平さんは非常に権力を集中していた方なので、第2期目以降の方がだんだん自分に近い、かつイエスマンが増えてくる。より一層この体制に忖度したような人が増えてくるってことになりますから。」

邦丸「中国は明らかにタガが外れた、本の1行目にこう書かれてるんですが、タガが外れたとは?」

安田「特に一般の日本人の感覚だと、中国はいつもとんでもないことをしているような印象が昔からあるわけなんですけれども、昔は本当に悪いことした場合は、公然と謝らないまでもうやむやにしたりとか、開き直るにしても逃げ腰気味みたいな感じだったんですけど、今回はむしろ「これは正しいんです」と言って、もっとやってしまうみたいな、そういうところがすごく目立ちますね。」

邦丸「新型コロナのウイルスが武漢市というところに端を発して世界中に広まったと言われているんだけど、当の中国は「アメリカに端を発したんだよ。うちらは感染された方なんだよ」としているって、ずいぶん報道されましたが、その辺ですかね?」

安田「それももちろんです。あとこの本の中の話しですと、いわゆる『海外派出所』ですね。中国の公安部が勝手に出先機関を相手の国の許可を得ずに世界各国に作ってるわけですよ。中国の海外警察が世界中にあるんですよね。その存在がバレてからも、別に悪くありませんみたいな姿勢でいるんです。」

邦丸「日本にもこの派出所はあるってネット記事で読んだんだけどどこだっけ?」

安田「一つは秋葉原ですね。」

邦丸「あっ秋葉原だ。ホテルですよね。」

安田「ホテルというか民泊ですね。この本だと結構おどろおどろしいことを書いてるんですが、実は謀略をやってる割に間が抜けていて、秋葉原の住所に民泊があってbooking.comとかで予約ができるんですよ。」

邦丸「え?」

安田「びっくりでしょ? それで予約して私、実際泊まったんです。そしたら本当にただの民泊で、コロナ前、中国人の観光客がいっぱい日本に来た時に民泊が商売になるって、日本にいる中国人が土地を買って作ったんだと思います。」

このあと海外派出所の実態に迫る!共産党体制に批判的な中国人を監視し、偽情報をバラまく、その手口とは?