『M-1グランプリ』公式サイトより

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一年でお笑いファンが最も熱狂する日、そして新たなスターが誕生する日が間近に迫っている。そう、『M-1グランプリ』だ。

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すでにM-1グランプリ2023を戦う9組は発表されており、昨年準優勝のさや香や3年連続出場の真空ジェシカ、初出場のダンビラムーチョやくらげなど、バラエティ豊かなメンバーが揃った。

そんな9組が発表された12月7日、M-1グランプリの敗者復活戦に関して大きなルール変更があることも明らかになった。これまでの敗者復活戦といえば、視聴者による国民投票によって10組目が決定され、決勝の舞台へと送り出されてきた。その結果として、オズワルド(2022年)、ハライチ(2021年)、インディアンス(2020年)、和牛(2019年)、ミキ(2018年)などすでに決勝進出経験のあるコンビや、テレビでもおなじみとなっている面々が最後の切符を掴み取っている。

人気投票的な側面が強くなっていることへの批判もSNSでは度々見られてきたが、それ以上に気がかりなのはここ5大会の敗者復活組がいずれも最終決戦へ進めていないという事実だ。敗者復活戦と決勝戦で同じネタを披露していることなども一因として考えられるが、結果として言えるのは、サンドウィッチマン(2007年優勝)やオードリー(2008年準優勝)、トレンディエンジェル(2015年優勝)など敗者復活からのドラマチックな復活劇が見られなくなっているということだ。

そうした点をM-1グランプリ事務局が考慮したかは定かではないが、今大会から大幅なテコ入れが行われた。

準決勝で敗れた21組が出場する敗者復活戦は、A・B・Cの3つのブロックに分けられる。そして、会場にいる500人のうちの何名かがランダムで「観客審査員」に選ばれ、3ブロックの勝者が決定する。決まった3組は、芸人審査員により投票が行われ、投票数が一番多かった組が決勝へと滑り込むこととなる。

ここで強調したいのが最初の関門として“会場にいる”観客が選ばれたということだ。これまで芸人にとってのターゲットはテレビの前の視聴者だったが、今回から目の前にいるお客さんになった。それも会場に来るのは「M-1サポーターズクラブ」のお笑いに精通したファンだ。

すでにネタの形や芸風がよく知られているオズワルドやロングコートダディには逆風が吹いていると見ることができるかもしれないが、フースーヤやトム・ブラウンといった時に爆発的な笑いを会場で生み出すことのできるコンビは一気に票をかき集める可能性だってある。

だが、最終的に決勝の舞台へ進むコンビを決めるのは芸人審査員だ。それも、石田明(NON STYLE)、柴田英嗣(アンタッチャブル)、野田クリスタル(マヂカルラブリー)、山内健司(かまいたち)、渡辺隆(錦鯉)という歴戦の猛者たち。石田はすでにM-1グランプリ2015で決勝の審査員を務めたこともあるし、野田と山内に関してもここ数年でR-1グランプリ、キングオブコント、ABCお笑いグランプリなど賞レースの審査員を一通り経験している。

柴田と渡辺に関しては審査員としてあまり馴染みがないのは事実だが、何よりM-1グランプリの王者であるという実績がある。いずれM-1グランプリの審査員が世代交代を求められる時、彼らの何人かがその席についていても全く不思議ではないというほどに、文句のないメンツとなった。

つまり目の前のお客さんを満足させ、かつ圧倒的実力者の5人の芸人たちをうならせるネタを披露した組が勝者となる。当たり前のことのように聞こえるかもしれないが、これまでとは明確に異なる。いずれにせよ、敗者復活からドラマチックに復活するニュースターが現れる可能性がぐっと高まり、今年も見逃せない大会となりそうだ。

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