シズラーの土日祝限定のビュッフェモーニング。アメリカ発祥のレストランチェーンで、日本では「ロイヤルホスト」を運営する、ロイヤルグループが運営(筆者撮影)

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。

そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第53回となる今回、訪れたのは「シズラー」です。

飲食チェーンが密かにしのぎを削っているジャンル、それが「モーニング」です。集客の弱い時間帯である午前中の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューは、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。

もうすぐ冬休みということで、12月は家族や友達、恋人など、誰かと一緒に行きたいモーニングをピックアップ。今回は土日祝限定でモーニングを提供しているファミリーレストラン「シズラー」をご紹介します。

シズラーの土日祝限定モーニングは60品以上が食べ放題


サラダにパスタにグラタンにデザート、60品以上から選べるバイキング形式のモーニング(筆者撮影)

「シズラー」のモーニングメニューは「モーニングサラダバー」のみ。ただし、サラダバーとは名ばかりで、実際は60品以上がズラリと並ぶ軽食ビュッフェです。

サラダはもちろんのこと、グラタン、パスタ、カレー、スクランブルエッグ、パンケーキ、フルーツ。デザートブースにはソフトクリームマシーンまで完備。大人でもはしゃいでしまうような、豪華なビュッフェとなっています。

筆者が利用した店舗では、実施時間は朝8時から10時まで。正午まで滞在が可能です(店舗により実施時間やルールが異なるので、各自ご確認をお願いします)。10時以降はグランドメニューと同等のラインナップとなり、タコスやトルティーヤ、デザートなど10品程度が追加されます。

つまり、10時またぎはお得なので、ブランチとしてのご利用がおすすめです。

シズラーのモーニングサラダバーは2145円


モーニングサラダバー2145円。一部店舗では価格が異なります(筆者撮影)

お値段は税込2,145円と決してお安くはありませんが、実は「シズラー」的にはお手頃価格です。グランドメニューに記載されている「シズラープレミアムサラダバー」は税込3,223円、「シズラーハンバーグステーキ」は税込4,125円、「Tボーンステーキ」に至っては税込7,480円します。

つまり「シズラー」は、分類としてはファミリーレストランではありますが、味と価格はレストラン級なのです。

ちなみに、運営元が同じ「ロイヤルホスト」では、たとえば「厚切りアンガスサーロインステーキ」(200g)が税込3,388円(一部店舗では税込3,443円)、「厚切りワンポンドステーキ」(450g)だと税込5,588円(一部店舗では税込5,643円)。シズラーは基本的にどのメニューにもサラダバーがついてくるので単純比較はできませんが、客単価という意味合いでは、ロイホよりもやや高級と言えるでしょう。

レストランの贅沢を、気軽にTシャツにGパンでカジュアルに楽しみたい。おいしいステーキを子供連れでゆっくり食べたい。ありそうで意外とない、そんなニーズにばっちり合うのが「シズラー」なのです。


ビュッフェコーナー。中央のサラダブースを囲むようにフードが配置されています(筆者撮影)

まるでデパ地下のお惣菜!おいしくて気楽で休日の朝の贅沢にぴったり

「シズラー」は、アメリカ発祥のレストランチェーンのためか、なんとなくインテリアもアメリカンダイナー的なムードがあります。BGMには1980年代の洋楽ヒットが流れ、世界が一番景気が良かった時代にタイムスリップしたよう。フットルースの陽気なサビのメロディーに、気分が高揚し「食べるぞ!」と気合いが入ります。

ビュッフェコーナー中央には、サラダブースがどーんと鎮座し、それを取り囲むように、デザートブース、ドリンクブース、軽食ブース、スープブースが配置されています。


サラダブースは、生野菜を中心に20種類以上が並ぶ。あまり見かけない珍しい野菜もチラホラ(筆者撮影)

サラダブースの片面には生野菜が中心に並んでいました。鮮度管理が行き届き、どれもみるからに新鮮です。わさび菜やケール、ビーツ、サラダセロリなど、ファミレスのサラダバーではおよそ見かけない食材も陳列されています。

隣に並んでサラダを取り分けていたカップルが「今日はパクチーがない」と残念がっていたので、一部のメニューは日替わり(週替わりや月替りかも?)のようです。


ドレッシングブースにはバルサミコ酢やワインビネガーなども並び、なんだか外国に来たような気分です。使わなくても気分が上がります(筆者撮影)

ドレッシングは6種類あったのですが、特に興味深かったのがマヨネーズです。食べ慣れたチューブ入りのマヨネーズとは違う、酸味が控えめでコクがあり、もったりしたテクスチャーのマヨネーズは、サラダを外国の風味にしてくれます。

ドレッシングだけでもテンションが上がる…!

他にも瓶入りのビネガーなど行きつけのファミレスでは見かけないものも並んでいました(ただし、私が見た限り誰も使ってはいませんでしたが)。

「シズラー」のサラダバーの魅力だと思っているのが、生野菜の反対側にある「野菜のお惣菜ブース」です。

「ローストパンプキンシーザーサラダ」や「ひよこ豆のカチュンバル風サラダ」、「セサミチキン&マンダリン」「シズラーピクルス」など、調理済みのさまざまなサラダが並び、まるでデパートにある地下食品売り場の量り売りコーナーのようです。


デパ地下のお惣菜のような、調理済みのサラダが並ぶ。家庭料理にはない食材の組み合わせと味付けで、わざわざ来たくなる味(筆者撮影)

食材の組み合わせや味付けが、家庭料理とは違っていて、どれもこれもおしゃれな味がします。ご馳走というと、肉というイメージがありますが、このサラダは、野菜だってご馳走になることを教えてくれます。

物価高の昨今では、デパ地下の量り売りでは100gが400円とか500円するのもザラなので、そう考えると決して高くはありません。


(左上)シズラーグラタン、ミートソースパスタ(右上)ソーセージ、スクランブルエッグ(左下)フォカッチャ、ホワイトロール(右下)きのこチャウダー(筆者撮影)

サラダ以外には、

・スープ3種
・カレー2種
・パン2種
・シズラーグラタン
・ミートソースパスタ
・ソーセージ
・スクランブルエッグ
・フラワートルティーヤ(10時以降)
・コーンチップ(10時以降)

などがありました。


パンケーキとアップルクランブル。どちらもウォーマーで温められています(筆者撮影)

デザートは珍しいチョイス?

そしてデザート。日本ではとんとお目にかからない「アップルクランブル」というお菓子が看板メニューです。

角切りにした煮りんごに、細かいクッキー生地をまぶしてオーブンで焼いた、なんともアメリカ的なお菓子なのですが、意外にも甘すぎず、りんごはシャリシャリ、クッキー生地はサクサクと食感のコントラストが新鮮です。


10時に上2段分のデザートが追加されました。デザート目当てなら、10時またぎは必須と言えるでしょう(筆者撮影)

朝イチでは「ストロベリーヨーグルト」や「パンケーキ」など5種類ほどでしたが、10時以降はさらに「カスタードプリン」や「バナナケーキ」など4種類が追加されていました。フルーツも豊富で、「グレープフルーツ」や「ライチ」など、7種類が並んでいました。


ソフトクリームマシーン。おいしいのはもちろんのこと、セルフでソフトクリームが作れるのがうれしい(筆者撮影)

自分で作れるソフトクリームマシーンがあるのは、特にうれしい。やはりソフトクリームを自分で巻くのは、大人になってもワクワクします。こちらはバニラ、チョコ、ミックスと3つのフレーバーが用意されていました。

ソフトクリームを温かい「アップルクランブル」と一緒に食べてひやあつを楽しむなど、自分だけの食べ方を探すのも、ビュッフェならではの楽しみ方です。


某シェラトンホテルの会員専用ラウンジや某プリンスホテルのレストランにも並ぶ、ティーアースのティーバッグがずらり(筆者撮影)

お腹いっぱい食べたあとは、アイスティーにオレンジを落としてフレーバーティーを飲みながら、一緒に来た大切な人とおしゃべりを楽しむ。

しばらくするとお腹に少し余裕が出て「あ、まだちょっと食べられるかも……」ということで、ミニプリンにソフトを乗せてチョコソースをかけたオリジナルパフェをパクリ。さいごはホットコーヒーで締めました。


マグカップでコーヒーっていうのがアメリカ発祥っぽい。サードウェーブコーヒーの雄、スタンダードコーヒーのロゴ入りだったので調べたら、親会社が同じでした(筆者撮影)

カジュアルだけどリッチな味と時間を楽しめる朝ごはん

広い店内には、ゆったりと客席がレイアウトされています。客席の床はカーペットが敷き詰められ、座り心地の良い椅子と大きめサイズのテーブルで、せせこましさは皆無。

長居するのにぴったりな空間なので、大切な人と訪れて、たくさん食べて、お腹いっぱいになったらおしゃべりを楽しむ……。そんな贅沢な時間が過ごせます。


生野菜のサラダとライトミールを盛り付けたお皿。もうお祭り騒ぎです(筆者撮影)

筆者が利用した店舗は200席以上の大型店です。奥の席の人は見えないのですが、同じフロアには30人ほどの利用客がいました。ほとんどが男女のペアか、女性のペアです。

ファミレスのビュッフェというと、食べ盛りの人たちが集まるイメージでしたが、予想以上に年齢層が高く、平均年齢は40代から50代という感じでした。

ただ、全員がお皿にこんもりとビュッフェを取り分け、猛烈に食べていました。


お惣菜サラダとフルーツを盛り付けたお皿。野菜中心なのでぺろりとたいらげました(筆者撮影)

優雅な朝を過ごすのに最適なモーニングだった

そのまま帰宅して、パンパンのお腹をさすりながら、ダラダラと動画配信のサブスクリプションを観ただけで終わったとしても後悔はない。

そんな、休みの日のメインイベントになる特別な朝ごはんを、肩肘張らずに満喫できちゃう、シズラーの絶妙さを感じられるモーニングでした。


締めの一口デザートはプリンにソフトクリームを乗せた、オリジナルミニパフェ(筆者撮影)

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。


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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)