なぜベイスターズのレジェンド助っ人、ロバート・ローズは火の国サラマンダーズの監督になったのか?
今秋のドラフトで大量23人をNPBに送り込んだ独立リーグから、ビッグなニュースが舞い込んできた。
ドラフトに先んじて行なわれた独立リーグチャンピオンシップで、日本一連覇を成し遂げたヤマエグループ九州アジアリーグ所属の熊本球団「火の国サラマンダーズ」の新監督に横浜ベイスターズのレジェンド助っ人であるロバート・ローズ氏が就任することになったのだ。
火の国サラマンダーズの監督に就任したロバート・ローズ氏 photo by JRFPA
ローズ氏は日本プロ野球外国人OB選手会(JRFPA)の会員で、前監督・馬原孝浩氏の退任を受けて新監督を探していたサラマンダーズからJRFPAへ指導者派遣の要請があり、日本での指導を希望していたローズ氏に白羽の矢が立った。
JRFPAはこれまで四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスに元日本ハムの投手として活躍したカルロス・ミラバル氏をコーチとして、北海道フロンティアリーグの士別サムライブレイズに元近鉄のスラッガー、ラルフ・ブライアント氏を監督として派遣している。
アメリカ・カリフォルニア生まれのローズ氏は現在56歳。1985年のMLBドラフトでエンゼルスから5位指名を受け高卒でプロ入り。5年目の1989年にメジャーデビューを果たすも4シーズンで73試合にしか出場できず、打率.245、ホームラン5本と壁を破れずにいた。
その彼に目をつけたのが、現在のDeNAの前身に当たる大洋ホエールズで、ローズ氏は2年契約を結んで来日することになった。
大洋あらため横浜ベイスターズの第1号助っ人となったローズ氏はアメリカでは開くことのなかった才能を日本で開花させた。1993年から8シーズンの長きにわたりベイスターズのセカンドに君臨。1998年の38年ぶりのリーグ制覇、日本一の原動力となった。
チャンスに強いバッティングが魅力で、打点王も2度獲得している。なかでも打率.369という当時右打者の歴代最高打率で首位打者を獲得した1999年には、これまた歴代2位となる153打点をマークした。
アメリカでもマイナーやアマチュアのコーチを務め、現在DeNAに在籍しているタイラー・オースティンも育てている。
【勝利と育成と地域貢献】日本での指導者キャリアのスタートに際してローズ氏は、次のように語る。
「まずは火の国サラマンダーズに感謝いたします。熊本市のチーム代表になれることに、とてもワクワクしています。ファンやスポンサー、選手たちと会えるのも楽しみでなりません。熊本を代表するこのような貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。みなさんにお会いするのが待ちきれません」
そして最後にこう付け加えた。
「熊本でおいしいお食事をご存じの方、ぜひ教えてください!」
ローズ氏は12月初めに来日、5日に熊本市内で記者会見を行なう予定となっている。
サラマンダーズは今回のNPBファーム拡大に際して、いち早く参加を表明しながら、資金面での不安を払しょくできず、断念した経緯がある。また2021年のリーグ、球団立ち上げの際に目標に掲げていた熊本市内の新球場建設もなかなか進んでいない。
今回のローズ氏の監督就任をきっかけに、実力面だけでなく人気面も向上させ、将来的なNPBファーム参加につなげてほしいものである。
リーグ発足以来の3連覇、2年連続の日本一と独立リーグ最強の名をほしいままにしているサラマンダーズだが、今ドラフトでは選手を送り出すことはできなかった。日本での現役時代はマスコミ嫌いで通っていたローズ氏だが、独立リーグの監督就任にあたってファンサービスにも積極的に参加したいと語る。
勝利と育成、そして地域貢献という独立リーグのトライアングル・ノルマにローズ氏がどう取り組んでいくのか、来シーズンも独立リーグから目を離せない。