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ミュージックレイン発の、新たな音楽マネジメントチーム「MiCLOVER」が始動!2024年1月7日には初のライブイベント“LAWSON premium event MiCLOVER FES. 2024”の開催も決定している。この連載ではMiCLOVERのアーティストたちが続々と登場し、音楽プロデューサー兼音楽評論家の冨田明宏がその魅力に迫っていく。第2回はTVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』EDテーマ「君よ 気高くあれ」でメジャーデビューしたMiCLOVERの新星、シユイが登場。圧倒的な歌唱力で注目され、神秘的な印象もある彼女の知られざる素顔とは――?



【連載】ミュージックレイン発音楽アーティストマネジメントチーム「MiCLOVER」、“MiCLOVER FES. 2024”開催記念インタビュー

INTERVIEW BY 冨田明宏

TEXT BY 金子光晴

デビューしてからの魔法のような時間



冨田明宏 シユイさんとお話しさせていただくのは初めてなんですが、NHKの「アニメステラー」という番組など自分のラジオでシユイさんのお話を一方的にさせていただいていました。というのも、jon-YAKITORYさんが手がけられた「ONI」、あの衝撃が忘れられなくて、とんでもない歌い手が出てきたなって思ったんですよ。

シユイ わあ、褒め殺しですね(笑)。ありがとうございます。

冨田 TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のEDテーマ「君よ 気高くあれ」でメジャーデビューから始まって今に至るまで、ご自身の活動を振り返っていかがですか?

シユイ あっという間ですね。ありがたいことに色々なアニメのEDを歌わせていただいて、色んなボカロPさんと楽曲を作っていくなかで目まぐるしく時間が過ぎていき、自分がどこにいるかもわからなくなるくらいで。色んな方に歌声が届いているっていう実感がなかったですね。

冨田 目まぐるしいと感じている要因のひとつが、自分が憧れていたボカロP、例えばR Sound Designさんや一二三さんだったり、錚々たる人たちに曲を提供してもらったことだと思うんですよ。そして何より、「君よ 気高くあれ」はryo(supercell)さんじゃないですか。

シユイ もう、そこからもうあんまり記憶ないです(笑)。すごいことですよね。



冨田 実際にサウンドプロデューサーがryoさんでデビューが決まって、どうでしたか?

シユイ すごいプレッシャーでした。あまりに大きすぎたり、明るすぎたりするものって目に見えないじゃないですか。存在が見えないまま、ここまで来て……。『水星の魔女』のイベントで歌わせていただいたのも、こんなに多くの人が私の歌を聴いてくれていたんだなというのを実際に自分の目で見ることができて、「感動」でした。その一言に尽きます。

冨田 特に『水星の魔女』は社会を揺るがす大ヒットで、あの作品でガンダムの新しいファンが増えたと言われていますよね。そんな作品によって、シユイさんのような新しいアーティストがメジャーデビューしたというのは理想的だったと思います。シユイさん自身は作品の反響をどう感じていましたか?

シユイ 顔を出していないこともあって、意外と自分自身に何かがあったというわけではなく、昨日と変わらない今日という感じでしたね。とはいえ、TVで第2話からEDテーマを流していただいて、爆泣きしてしまいました。すごすぎました。

冨田 僕はこの1年の間にデビューしたなかでは、シユイさんはやはり注目の新人アーティストだと思っていて。それは作品の話題性というよりも、ryoさんが描き出した「君よ 気高くあれ」という壮大かつ難解な曲をここまで歌いこなせているのが、心の底からすごいと思ったんですよ。あの曲がデビュー曲って、やっぱり普通じゃないよなって。

シユイ とりあえず、あれを超えたら「今後何があっても大丈夫!」という気がしていて、めっちゃ練習しました(笑)。レコーディングまであまり日がなかったんですけど、スタジオに毎日行って練習して、練習しすぎて当日よくわからなくなって歌えなくなったりして。自分にとって本当に大変すぎる出来事でした。

冨田 でも、シユイさんが動画の投稿を開始したのもコロナ禍でしたよね。コロナ禍でのデビューというのがMiCLOVERの先輩たちとはちょっと違うところで、その辺りはご自身でどう感じてらっしゃいますか?

シユイ 今はコロナ禍が少し落ち着いたということでライブも通常通りになったし、あまりそういう実感はないんですけど、歌い手の界隈はコロナ禍ということで盛り上がっていた時期でしたよね。そういうタイミングだったから注目を浴びる機会があって、jon-YAKITORYさんと出会う機会があったのも、やっぱりボカロ、歌い手界隈がすごく盛り上がっていたからこそ出会えたのかなと思います。

冨田 jonさんもコロナ禍の時代に生まれたボカロPの新たなスターだと思うんですよね。この時期じゃなければ出会えなかったかもしれない。あとはシユイさんが動画投稿を開始したのも同様で、「ブラック★ロックシューター」を歌っていたら、その作者であるryoさんの曲を歌うことになるという。

シユイ すごい出会いがたくさんです。まるで魔法のようですね。



「ハピネス オブ ザ デッド」は友達のような曲



冨田 2ndシングル「ハピネス オブ ザ デッド」のお話も伺いたいのですが、この曲を手がけたjonさんはデビューのきっかけにもなった方です。メジャーデビュー後もjonさんと音楽制作ができるということの喜びはありましたか?

シユイ はい。jonさんとはレコーディングを通じて懇意にしていただいていて、プライベートでも色々相談をしたりして、関わらせていただいているので嬉しいですね。レコーディングとかでお会いできて、楽曲の完成まで頑張るという時間も楽しいです。何度か曲を書いていただいているということもあって、毎回作っていただくごとにjonさんのシユイに対する解像度が少しずつ上がっているような気がして、すごく息ぴったりになってきたので、これからもまた素敵な作品を届けられたらいいなと思います。



冨田 ここまで音楽制作をしていくなかで、ファミリーみたいになっている感じがしますね。「ハピネス オブ ザ デッド」も、その前のjonさんとの曲「ハイスクール・オブ・ザ・クレイジー」の発展形という感じもするんですよ。僕の印象なんですけど、「君よ 気高くあれ」は『水星の魔女』という作品、そしてryoさんが生み出す曲をシユイさんが乗りこなすということでシンガーとしての凄みが出た曲だったと思うんですけど、それに対して「ハピネス オブ ザ デッド」を聴いたときに「シユイさんの本領ってこっちなのかな?」と思ったんです。

シユイ 「君よ 気高くあれ」のような壮大で「頑張れ!」というような生活は私はしていなくて(笑)。でも、「ハピネス」は“自分”って感じでした。

冨田 歌の表現の中で人間性が解放されていて、“自分”になれているというのがすごく伝わってくる曲じゃないですか。実際、歌いやすかったですか?

シユイ 「君よ 気高くあれ」は「この曲こそ人生」みたいな一点集中だったんですけど、世に出してから何回も聴いてライブでも歌って、私の中でも人生で一番大切な曲なので、これからも自分と一緒に変容する余地のある曲だと思っています。「ハピネス」は毎日、隣にいる曲。隣で手を繋いでいてくれて、軽やかで、私の友達みたいな楽曲です。

冨田 とはいえはちゃめちゃにぶっ飛んだ友達ですけど(笑)、この子が友達なら人生楽しそうですね。リスナーの皆さんはまだ見たことがない、シユイさんの表情が曲から伝わってくる気がするので。歌詞に合わせて表現を変えていくのがすごいなと思って、縦横無尽の大活躍という感じの歌い方をされていて。この間、Xでも呟いてらっしゃいましたけど、DAMのアニソン・カラオケランキングで13位に入ってたじゃないですか。あれだけの人が歌ってくれているのはすごいなと思いました。

うおーーーーー!!!13位!!!!ありがとうございます!!!!! https://t.co/cTPFQTePjR

- シユイ (@Shiyui_0111) October 13, 2023



シユイ 全然想像もできなかったですね。知らない間に皆さん歌ってくれてるんだと思って。その事をもっと世の中で言ってほしいです(笑)。

冨田 「ハピネス オブ ザ デッド」はTVアニメ『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』を観た後の余韻を含めて最高でした。

シユイ 間違いないです。本当に最高でした。とても良いマッチングでした。

将来はファンと手を繋いで成長するアーティストに



冨田 デビュー1年目にして“イナズマロックフェス”に出たり、11月5日(日)に開催されるワンマンもSOLDOUTしていたりと順風満帆な船出に見えるんですが、ご自身としてはどのように自己評価されますか?

シユイ 正直に言っていいのかな……。もしなにか問題があったらこのレコーダーを叩き壊してなかったことにします(笑)。

冨田 買ったばっかりなんでやめてください(笑)。

シユイ (笑)。正直に言うと、まだ当事者感はあまりなくて。スタッフさんたちが色々考えて動いてくださって、シユイのために汗と涙を流していると思うんですが、気づいたら0から100まで終わっているという感じなんです。もっと“シユイ”というプロジェクトの真ん中にいさせてもらえるようになって、将来的に“シユイ”じゃなくて“自分”として何かやりたいことを発信して、それを皆さんにお届けすることができたらいいなと思っています。もっと長く続いていく、実体を持ったアーティストとして愛される存在にシユイがなれるように、自分自身の考えをしっかり持って、お任せし切っていることも一つひとつできるようになればいいなと思っています。

冨田 逆に言えば、自身のアーティスト活動の中に自己や自我を表現する余地がまだまだ残っているということですよね。そういうことは発信していったほうがいいかもしれない。もちろんスタッフさんはすごく熱心に動いていて、『水星の魔女』と『ゾン100』のタイアップが続くのってものすごいことだと思うんですけどね。でも、もっと自分から関わることによって、生み出せるものや表現できるものにプラスアルファがあるかもしれないと。シユイさんはファンの皆さんに届けたいものってありますか?

シユイ ファンの方々には「シユイさんの歌声に励まされてます」というありがたいお言葉をいただくことが多いんですが、「励ましたい」というのはあまり意識はしていないし、これからもそんな偉そうな立場にはなれないと思っています。そんな人間の器じゃないので(笑)。アーティストとして尊敬されるべきではあるし、シユイというアーティスト像が崇められる方がかっこいいとは思うんですが、ファンの方々に見守っていただきつつ、手を繋ぎ合って、一緒に成長していく。皆さんとパーソナルな距離感で、シユイというアーティストの空間が私を成長させてくれる場になったらいいなと思います。

冨田 でもそれは、日々の活動から伝わってきます。顔が見えないことや、デビュー曲が神々しく神聖なものに感じられがちではありますけど、Xとか普段のSNSの使い方はもっとみんなの傍にいたいし、会話がしたいという想いが出ているじゃないですか。アーティストとしては正しく、きっちりと良い歌をうたい、個人としてはみんなの傍にいたいという。

シユイ そうです。ファンの皆さんの協力がありつつ、そこから発生されたエネルギーが楽曲になっていく。それが理想ですね。正直言うと、もっとアーティストっぽくかっこつけたいんですけど(笑)。上手くできる気がしないので。

冨田 でも、意識していなくてもアーティストとしての神秘性はファンの皆さんが自然と感じ取るものです。僕、歌しか聴いていなかったから今日お会いする前に「めっちゃ怖い人だったらどうしよう」って思ってましたから(笑)。

シユイ ああ、ものすごいムッキムキで(笑)。

冨田 そうそう。もしくはまったくしゃべってくれない人とか、そういう人だったらどうしようって(笑)。でも、SNSから受け取っていたイメージと同じでした。そういう部分、伝わってる人には伝わってるんじゃないかと思いますね。

シユイ 徐々に知っていただけてるところもあるとは思います。

冨田 さて、そんなシユイさんがMiCLOVERの先輩や同輩の皆さんと作り上げる“MiCLOVER FES. 2024”、どういうライブになると思いますか?

シユイ 私もどういうライブになるか、楽しみにしています。一人ひとりが確立したキャラクター性やアーティスト性をお持ちですけど、シユイはちょっと柔らかくて、まだ確立というところまではいっていないので、「新入りです」という感じなんですけど(笑)。色んな強い色を持っている皆さんの色にちょっとずつ染まりつつ、柔軟に。「シユイさん柔軟フェス」にしたいです(笑)。

冨田 そういう裏テーマがあるんですね(笑)。

シユイ 言い方を変えると、「4人がシユイさんをこねくり回すフェス」……うーん、違うか。ここカットでお願いします(笑)。

冨田 裏テーマとしては全然アリじゃないですか(笑)。同じチームで音楽フェスを開催する醍醐味の一つに、思わぬ関係性が染み出てくるところも魅力だと思うので。色んな色にも染まるけど、シユイさんには独自のカラーが醸し出されているので、ほかのメンバーからこねくり回されたらどうなるのか楽しみです。

シユイ 楽しみにしていてください。もうぐっちょぐちょにこねくり回されてみようと思います(笑)。

●ライブ情報

LAWSON premium event MiCLOVER FES. 2024

日時:2024年1月7日(日)16:30開場/17:30開演

(20:00頃終演予定)

※終演時間は当日のステージの進行状況により前後する可能性がございます。あらかじめご了承ください。

会場:Zepp Shinjuku(TOKYO)

出演:CHiCO、halca、シユイ、小玉ひかり、somei

■チケット料金

全自由 7,500円(税込/ドリンク代別/整理番号付き)

※3歳以上有料

※再入場不可

※(枚数制限)お一人様4枚まで

問い合わせ先:SMCエンタテインメント

info@smc-information.com

詳細はこちら

https://musicrayn.com/contents/micloverfes2024

<シユイ プロフィール>



2021年1月11日にTwitter・YouTube・ニコニコ動画を開設。以降ネットミュージックを中心にセレクトした”歌ってみた”動画を積極的に投稿。現在まで公開した動画は70本にのぼる。デジタルイラストも手掛けpixivで公開するほか、楽曲のイメージに合わせた描き下ろしイラストによる動画も投稿している。毎週月曜日にツイキャスでギター弾き語り・歌枠を中心とした生配信を実施中。

2021年夏クリエイター同士が必要なパートナーを自由に募集できるプラットホーム〔MECRE〕の人気ボカロPによる歌い手一般募集において、jon-YAKITORYのフィーチャリングボーカルに選ばれ、公開された「ONI」はわずか1か月で100万再生を突破。このコラボレーションが高く評価され、2022年7月シユイ初となるオリジナル作品EP『思惟』を〔インクストゥエンター〕デジタルリリース。この作品にはjon-YAKITORY(「シカバネーゼ」)、一二三 (「花が落ちたので、」)、柊マグネタイト(「マーシャル・マキシマイザー」)、R Sound Design(「帝国少女」)といったネットミュージック界の豪華クリエイター陣による書き下ろし楽曲がラインナップ、早耳ネットミュージックファンから支持を得る。

2022年11月TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』エンディングテーマ「君よ 気高くあれ」<サウンドプロデュース:ryo(supercell)>で、ソニー・ミュージックレーベルズよりメジャーデビュー。

最新作は10月にデジタルリリースとなったスマートフォンゲーム『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』/『魔法少女まどか☆マギカ scene0』主題歌「GLOW」。

関連リンク



ミュージックレイン公式サイト

https://musicrayn.com

シユイ

公式サイト

https://www.shiyui.jp/

公式X(Twitter)

https://twitter.com/Shiyui_0111