「ytv漫才新人賞決定戦」ROUND2 1位通過のドーナツ・ピーナツ

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「ytv漫才新人賞決定戦」ROUND2が5日に放送され、芸歴10年目の「ドーナツ・ピーナツ」(1位通過)と芸歴4年目の「空前メテオ」(2位通過)が決定戦進出を決めた。

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9月に行われたROUND1ではぐろうとハイツ友の会がすでに決勝行きの切符をつかんでいたが、今回のROUND2では1位通過となったドーナツ・ピーナツがやはり頭一つ抜けていた印象だ。

すでにYou Tubeで公開されているM-1グランプリ3回戦では、ボケ担当のピーナツが“理論武装”してツッコミのドーナツに食って掛かるという新たな形に挑戦しているように見えたが、今回のROUND2では従来の彼らに近いネタに。憑依型のボケが光るピーナツが京都の舞妓さんに扮すると、一つ一つのボケとツッコミが的確にハマり、この日一番の爆笑を奪った。

審査員のとろサーモン、久保田かずのぶも「(漫才が)完成しました」と絶賛するなど仕上がりは上々。10年目を迎えたドーナツ・ピーナツは、ytv漫才新人賞決定戦はもちろん、M-1グランプリなど全国区で注目を集める日はすぐそこに迫っているかもしれない。

だが、今回は4年目の空前メテオの台頭に着目したい。

よしもと漫才劇場では徐々に出番を得始めているが、全国的には全くの無名。そんな中、このROUND2では独自の着眼点を持ったネタを披露した。

ボケの茶屋が「犬派か猫派か」というテーマを持ち出したところまでは比較的オーソドックスだが、そこから「猫は一種類しかいない」や「猫という言葉のキャパはすでにいっぱいになっている」といった強い言葉を使いながら、独自の理論を組み立てていく。

最終的には「ラーメンも犬」、「猫も犬」という衝撃の結末にたどり着くが、「わからんけど、わかってまう(ミルクボーイ・内海崇)」のだ。意味の分からない理論ではあるものの、言葉上は理屈が通っているという奇妙な状況で客席や審査員の笑いをさらっていた。

一瞬、考えることをやめると置いていかれそうな複雑なネタの内容だが、ツッコミの大門正尚がお客さん側に寄り添っていることもポジティブな効果をもたらしている。絶妙な間や相槌を用いて、「やばい理論を話す人」の隣にいる人間を演じており、見ている人と同じ幅で歩むことで理解の手助けを助長しているように感じられた。

こうした若手漫才師の独自理論のネタと言えば、ROUND1で1位通過となったぐろうが思い出される。ぐろうは「ロレロレ詐欺」をテーマとして、こちらも同様になぜだか納得はできてしまう、という不思議な感覚を与えてくれた。ROUND1の2位通過となったハイツ友の会にしてもいわゆる偏見の強いネタで共感と笑いを誘っていくタイプだ。

若いからこそ柔軟な発想で奇妙な理論を組み立てられるのか、ベテランでないぶんキャラクターが浸透していないがために、こういったネタを選ぶことになるのか定かではないが、興味深い大会の傾向とも言える。

決定戦の残る椅子は3枠。すでにROUND1、2に出場しているコンビが突破を果たすのか、新鋭が台頭するのか注目したいところだ。

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