モノのインターネット(IoT)のオープン標準を定める組織であるConnectivity Standards Alliance(CSA)が、新たにスマートロックやデジタルキーのオープン標準「Aliro」の構築に取り組んでいることを発表しました。AliroにはAppleやGoogle、Samsung、QualcommといったITや半導体企業のほか、世界的錠前メーカーのAllegionやASSA ABLOY(アッサ・アブロイ)が参加しています。

Aliro - CSA-IOT

https://csa-iot.org/all-solutions/aliro/



The Connectivity Standards Alliance Announces Aliro, A New Effort to Make Mobile Devices & Wearables Central To A Digital Access Future - CSA-IOT

https://csa-iot.org/newsroom/the-connectivity-standards-alliance-announces-aliro-a-new-effort-to-make-mobile-devices-wearables-central-to-a-digital-access-future/

Aliro aims to unify digital access to smart locks using smartphones and smartwatches - The Verge

https://www.theverge.com/2023/11/9/23952637/csa-aliro-new-standard-smart-locks-digital-access

スマートフォンやICカードなどをかざすだけで扉のロックを解除できるスマートキーは、日常生活の利便性を向上させてくれます。しかし、さまざまなメーカーによって仕様にばらつきがあるため、利用するには特別なアプリをダウンロードしたり、特定のデバイスやカードリーダーを持ち歩いたりする必要があります。

そこでCSAは、スマートロックやデジタルキーの分野で一貫性のあるユーザーエクスペリエンスを実現するため、「Aliro」というオープン標準の策定に乗り出していることを明らかにしました。Aliroの目標は、どのメーカーがスマートフォンやロックを作ったのかにかかわらず許可されたデバイスが自宅やオフィス、ジム、その他の場所のスマートロックを解錠可能にする、グローバルな通信プロトコルと共通の資格情報システムを構築することです。

AliroにはApple・Google・Samsung・Qualcomm・Allegion・ASSA ABLOYなど、スマートロック分野に関連するさまざまな企業が参加しているとのこと。作業自体は「Access Control Working Group」という名称で2021年後半から始められているそうで、広報担当者は海外メディアのThe Vergeに対し、2025年初頭に最初の仕様を公開する予定だと述べています。



Aliroが述べている原則は以下の通り。

・シンプルさ

統合の複雑さを軽減し、トラブルシューティングを合理化することで実装の障壁を下げる。

・柔軟性

さまざまなタイプの設備またはアーキティクチャをサポートし、一般的なエントリーポイントと個別のエントリーポイントの両方に簡単にアクセスできる。

・安全性

最先端の安全で信頼できるモバイルアクセスソリューションを実装するための基盤を持つ。

・相互運用性

標準化された通信プロトコルにより、メーカーを問わずデバイスとリーダーが扉で連携して動作する。



Aliroワーキンググループの議長を務めるネルソン・ヘンリー氏は、「ここでのポイントは、特定の会社に固有のソリューションがある現在の市場ではなく、広く採用されており信頼できるソリューションを構築することです」「つまり、Aliroのバッジがあれば複数のベンダーやテクノロジーにまたがって使用できる単一の統合ポイントになり、資格情報を安全に共有できるのです」と述べました。

なお、CSAが策定したオープン標準にはスマートホームデバイスの規格である「Matter」があり、参加する企業の多くはMatterとAliroで重複していますが、それぞれは異なる別個の取り組みだとのこと。

Aliroのマーケティング責任者であるリサ・コルテ氏は、「Aliroはスマートフォンやウェアラブルデバイスなどのユーザーデバイスと、デジタルロックやリーダー間のインタラクションを規定するだけで、そのデジタルロックやリーダーがバックエンドや家庭内のエコシステムにどのように接続するかを規定するものではありません」「Matterは多種多様なスマートホームのユースケースにおいて、接続された製品同士がどのように通信するかを規定するものです。AliroとMatterは互いに依存し合うものではなく、補完し合うものなのです」と述べました。