アイリスオーヤマ 自社開発の法人向けDX水拭き清掃ロボット「BROIT」発表!目標は2027年度 清掃ロボット売上1,000億円超へ

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アイリスオーヤマ株式会社は、清掃業務における作業者の負担軽減や人手不足に対応するため、水拭き清掃と、乾いた床の除塵清掃が可能なDX清掃ロボット「BROIT」(ブロイト)を発表した。同社として初めて自社開発した清掃ロボットで、中国にある自社の大連工場で製造する。2024年半ばの発売を予定し、3年間でミニマム1万台(国内市場)の販売を見込む。



DX清掃ロボット「BROIT」(ブロイト)。本体サイズは610x567x679mm(全幅×全長×全高)。重量は約70kg(バッテリー重量込)。


「BROIT」(ブロイト)の名前の由来は、Bright(明るい)、Broad(幅広い)、Robotの造語。なお、この記事に掲載している製品の画像等は開発中のもので商品とは異なる場合がある
同社は報道関係者向けに発表会を開催し、代表取締役社長の大山晃弘氏とプロジェクト担当者らが登壇、DX清掃ロボット「BROIT」のアンベールを行ってお披露目、デモンストレーションを行なった。また、清掃ロボットの市場規模、同社の清掃ロボットの売上目標、海外への展開など、自社ロボット開発とビジョンを発表した。



中央が代表取締役社長の大山晃弘氏。向かって右が執行役員 BtoB事業グループ ロボティクス事業部 事業部長 吉田豊氏、左が家電開発部ロボティクス課 マネージャー 佐藤貴英氏

●比較的コンパクトな湿式清掃ロボット、タイル面の水拭き清掃などに最適

「BROIT」は、湿式(水拭き)清掃ロボットとしては比較的小型で、同社は以前より販売している乾式の「Whiz i アイリスエディション」(約470×480×661mm)よりひと周り大きいくらいのサイズ感で、連続稼働時間が標準モードで1.5時間、1台で一般のスーパーマーケットの店舗面積くらいの中規模施設を適度にカバーできる(清掃能力 約700平米/時間)。



湿式(水拭き)清掃ロボットは、スーパーマーケットやホームセンター、飲食店などの商業施設や介護・医療施設に多い、「セラミックタイル」や「ビニル床」など、水拭き清掃が可能な床面の清掃に適用する。本体直下に水を放出してほこりや塵、食べかす、液体汚れをブラシで掻き出し、本体後方で汚水も吸い取るしくみとなっている。



床にこぼれた液体を水拭きで清掃する「BROIT」
■清掃可能な床材質:



■主な使用施設:



「BROIT」は自律走行型ロボットで、「Whiz i」と同様に、初回はスタッフが清掃コースを押して「BROIT」に学習させ、壁等に貼ったQRコードをスタート地点として、2回目からは自動でコースを巡回して水拭き清掃を行う。もちろん、ロボットは複数のコースを記憶することができ、ロボットに搭載されている画面の選択とQRコードでコースを管理する。



アイリスオーヤマの執行役員 吉田氏によれば、「先進的な機能の搭載にはこだわらず、日本市場で要求されている高い清掃レベルを満たすため、施設で実証実験を重ねて、毎日の床清掃で使用する清掃業者の視点から性能やメンテナンス性、操作性、安全性を追求した。特に清掃現場の高齢化に伴い、誰にでも使えることを重視した」という。それにはこれまでソフトバンクロボティクスと協業で展開してきた乾式清掃ロボット「Whiz i」の知見を活かしている、と続けた。

■動画 「BROIT」自律走行と水拭き清掃のデモ:



●誰でも簡単に扱えるユーザビリティ

作業者が誰でも使いやすいように「操作性」を重視。ルート作成は、ハンドルを立上げ、スタート位置で二次元コードを読み込み、本体を押してティーチングを開始する、3ステップで完了。走行させる際も、学習させたマップを選択して、二次元コードを読み込み、ハンドルを下げる 3ステップ。
清掃現場の多くは、エリアに応じて作業時間が決まっているため、事前のルート作成により清掃計画
に沿って正確に清掃を行うことができる。

●日本の清掃現場に合う製品仕様・スペック

搭載しているリチウムイオンバッテリーは取り外し可能。予備のバッテリーを充電しておけば、バッテリー切れの際、本体のバッテリーを入れ替えて連続稼働することができる。充電に伴って清掃が中断するデッドタイムを大幅に低減できるため、フレキシブルな清掃計画が立てられる。





●現場環境に合わせた給排水仕様

給排水タンクは、タンクごと取り外せる仕様にしたことで、従来のように所定の給排水場所まで本体を移動する手間と時間を省略できる。給排水場所にタンクだけを運んで作業できる。



●日々の手入れやメンテナンスがしやすい仕様

水拭き清掃ロボットの場合は、毎日の手入れが必要となる。この作業はスタッフにとって大きな負担と考え、「BROIT」ではブラシやホッパー、スキージーなど日々の手入れが必要な各パーツを簡単に脱着することができ、パーツごと水洗いすることができるように設計した。





ブラシやホッパー、スキージーなど、簡単に脱着して手入れすることができる
■BROITのメンテナンス、バッテリーやタンクの脱着(プロトタイプ):


なお、「BROIT」のAIナビゲーションのソフトウェアは中国のシリウステクノロジーに開発を委託した。この製品をリリースした後は、国内のシンクロボにシステム開発を移行し、完全な国内開発を目指す考えを述べた。

■BROIT(ブロイト)製品紹介movie(公式):



●日本国内でロボット化の潜在市場規模は25.2兆円

発表会では冒頭、大山晃弘社長が登壇して、ロボット市場のマーケットサイズについて語った。



大山氏は「日本では人手不足が顕著となり、左の日本の総人口に対して労働人口が5000万人と言われている。その中でロボット化できるであろう可能業種は約1800万人くらいと我々は考えている。まずは飲食と清掃に着目し参入、もちろん1800万人の業務が全てロボットで代替できるとは限らない。おそらくは概ね700万人程度の労働人口の業務はロボットで代替することができる、その市場規模は25.5兆円に達するだろう」とした。



そして「先進国の中では、世界規模で人口減少が今後もビッグトレンドとなっていく。海外では先進国の労働人口が20億人、8億人、ロボット化できるのは2.8億人、約482兆円規模になると考えている。日本国内で展開した後は、海外展開も視野に入れていきたい」と続けた。

更に「ロボット事業では分析を行うソフトウェアも充実していく。清掃ロボットであれば、汚れをセンサーとAIが検知して集中して掃除したり、検知した汚れのデータを清掃員のウェアラブルデバイスと共有したり、エレベーターと連携させてより広い範囲をカバーする機能などを付加していきたい」と展望を語った。

●「清掃ロボット関連分野の事業全体で27年度に1,000億円を達成したい」

続いて、事業部長の吉田豊氏が登壇し、ロボットに関するビジネスのビジョンと目標を語った。吉田氏はこれまでのアイリスオーヤマのロボット事業を振り返った。既に6機種の清掃ロボットと配膳ロボットをソフトバンクロボティクスとの協業で市場提供してきた。そして、今年に入って東大発の下膳ロボット開発などで知られるスマイルロボティクスをM&Aし、ロボットの内製化に取り組む方向に舵を切った。



ロボット事業を展開して行く上で「清掃ロボット関連分野の事業全体で 1,000億円を27年度に達成しようという高い目標を掲げている。この数字は、当社、サブスクモデルで販売をしているので、サブスク契約の合計金額と、それに付随する事業を合算して、1000億規模の事業にしていこうとした」と語った。下記の棒グラフは富士総研の市場予測規模であり、それでは業務用清掃ロボットの売上金額は国内で60億、海外で180億としていて、アイリスオーヤマの目標はかなり高いものとなる。



2023年の現状では、同社は清掃ロボットを累計5,000台を販売し、Q2は更に伸びている、とした。この伸びと、市場の肌感で1,000億円は達成できる目標だとして設定したことを強調した。



●「BROIT」の主な仕様