Apple関連メディア・AppleInsiderで15年間ライターとして働いているというダニエル・エラン・ディルガーさんが、Apple Watchの衝突事故検出機能に命の危機を救われた際の経験をまとめています。ディルガーさんは「私が経験した事故は夜遅くにひとりで意識を失い、失血して倒れてしまったため、衝突事故検出機能がなければ出血多量で死んでいたでしょう」と語りました。

Apple Watch Crash Detection saves another life: mine

https://appleinsider.com/articles/23/11/04/apples-crash-detection-saves-another-life-mine



Appleデバイスには、ジャイロスコープや加速度計などのデータを駆使してユーザーが衝突事故に巻き込まれた可能性がある際に通知を行い、ユーザーから応答がない場合には緊急SOSを発信する「衝突事故検出」という機能が存在します。



ディルガーさんはそんな衝突事故検出機能に命の危機を救われたそうです。同氏は夜間に高速道路を渡るための橋のたもとでスクーターに乗っていたところ転倒してしまい、意識を失ってしまったそうです。事故により目の上に深い傷を負い、大量に出血してしまった模様。ディルガーさんはそのまま5時間も意識が戻らなかったそうですが、Apple Watchの衝突事故検出機能が代わりに緊急SOSを発信してくれていたそうです。

実際に自動車を運転していたわけではなかったにもかかわらず、Apple Watchの衝突事故検出機能はディルガーさんが重大な事故に巻き込まれたと判断し、事故に遭ってから20秒以内に位置情報を緊急サービスに通知してくれたそうです。その後、ディルガーさんは30分以内に救急車に乗せられ、救急治療室に送られることになった模様。



ディルガーさんは目を覚まして初めて自身の眉毛付近が縫合されていることに気づいたそうです。顔の半分にはさまざまな擦り傷があり、明らかに転倒したらしいことが分かった模様。ただし、ディルガーさんは事故に遭った際のことは何も思い出せなかったそうです。

ディルガーさんは「この事故は、物事がいかに早く起こるか、特定の状況ではいかに人間が無力であるかを恐ろしいほど思い出させてくれました」と語っています。また、出血量を考えれば長くはもたなかったであろうことは明らかで、意識不明と出血の組み合わせは脳損傷を引き起こす可能性がある危険な症状でもあったとディルガーさんは言及。そのため、ディルガーさんは「気絶した際に装着者を救ってくれる信頼できるモバイルデバイス(Apple Watch)が存在する時代に生きていることに感謝します」と述べました。

Appleの衝突事故検出機能は、スキーリフトやジェットコースターに乗っている際に誤検知されてしまうなどの問題もはらんでいます。実際、一部の有識者からは誤検知を防ぐために機能をオプトインにすべきという意見もありますが、ディルガーさんは「必要な時にだけ機能を稼働させることはできない」と述べています。

iPhone 14を持ってジェットコースターに乗ると警察に通報されてしまう - GIGAZINE



なお、ディルガーさんは緊急連絡先に登録している電話番号が古いものであったため、緊急連絡先に指定していたパートナーや家族に正しく連絡することができなかったそうです。連絡先の情報を更新しても緊急連絡先の情報が必ずしも修正されるわけではないとのことで、緊急連絡先が間違ったものになっていないかチェックすることを推奨しています。

また、ディルガーさんの場合はパートナーと位置情報を共有していたため、パートナーが「探す」アプリで位置をチェックし、同氏がなぜか病院にいることがわかり、病院に直接連絡して事故について知ることができたそうです。