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刑務所で柔道技をかけられて、肋骨6本を骨折するケガを負ったとして、受刑者の男性(40代)が、大阪刑務所の刑務官を特別公務員暴行陵虐致傷の疑いで刑事告訴した。告訴は10月3日付で、男性の代理人によると、受理されているという。

告訴状によると、男性は今年7月10日昼ごろ、大阪刑務所内で刑務作業中、刑務官から「行進動作が十分でない」と注意された。さらに、反則行為の調査として、他の収容者と隔離すると告げられた。

これについて、男性が不満を示したところ、その刑務官は男性の上半身をつかみ、足払いをかけ、コンクリートの地面に叩きつけて抑え込む暴行を加えたという。男性は、少なくとも肋骨6本を骨折するケガを負ったという。

大阪刑務所は「個別案件については回答していない」としている。刑務官による暴力をめぐっては、名古屋刑務所の受刑者の死傷事件が問題となったばかりで、厳しい目が注がれることになりそうだ。

●「隠ぺいされるのではないか」と不安

男性の代理人をつとめる駒本秀一弁護士は、弁護士ドットコムニュースに次のようにコメントした。国家賠償訴訟の準備もすすめているという。

「はじめに被害を聞いた時は、名古屋刑務所職員による暴行・不適切処遇の事案を受けて、今年の6月に第三者委員会による提言書が公開された矢先のことであり、驚きました。

被害者は、被害に遭った後、別の刑務官から骨折はなかったと告げられたり、医師による診察の途中で、態度が悪いとして同席した刑務官によって診察を中断させられたりということがありました。

また、被害者は、これまでに刑務官の他の受刑者に対する軽微な暴行が何ら問題にされていないということを何度か目にしています。これらのこともあって、被害者は、本件も隠ぺいされるのではないかと不安に感じています。

一般社会で許されないことは刑務所内の刑務官にも許されず、違法があれば同じように刑事手続が作動しなければなりません。隠ぺいや、うやむやにすることは許されず、相当な処分がなされるべきです。

それが一般予防となり再発防止にもつながると考えるので、代理人としては、推移を注視しながら厳しく追及していきたいと考えています」