ESSE読者から寄せられたお悩みに、清水ミチコさんがお答え!

70代と80代の親が終活をしてくれない

離れて暮らす70代と80代の親が、なかなか終活をしてくれません。今はまだ元気なため、家やお墓、遺産をどうするかなど、先の話をしたがらないのですが、どうしたらよいでしょうか。

moonさん(44歳・専業主婦)

●残った者のさだめとして受け入れるしかない

昔、アメリカには「肩こり」という言葉がなかったそうです。ところが、アジアからそういう感覚があるらしいと名前が広まったとたん、なぜかアメリカ人にも肩こりが起こり、サロンパス系の薬が売れ始めた、という有名な話があります。現象が起こってから名前がつけられるのではなく、名前がやってきてから現象がついてくる。人ってずいぶん素直なものなんだなあ、と思わずにいられません。

そういう私も若い頃、先輩から「噛む」という表現を教わりました。「セリフを言い間違えたり、口ごもることをそう呼ぶのか。噛まないようにしよう」と思い始めてからというもの、なぜかめちゃくちゃ大事なところで噛むようになってしまいました。こんな風に、無意識に入ってきた言葉に逆にあっさり支配されてしまう、なんて事は意外とあるのではないか。私はそう睨んできました。

どうしてこんな話をしたかというと、「終活」も現象より名前の方が先だったからです。いかにも日本人らしい、心配性優先的感覚。昔は物がなかったのもありますが、終活を考えて亡くなるなんて人はいませんでした。私は今も、考えなくていいと思うんです。

「終活」なんていかにもお利口さん的な雑誌あたりから軽妙に発信されただけのもんですよ。(※個人の感想です)ペッ。本人がどうしても考えたいのなら考えればいいけれど、頼むようなことではないし、ましてや当人でもない人が悩むのは本末転倒です。

あとで面倒なのは私なんだから、と思うかもしれませんが、そんなのはあとに残った者のさだめとして受け入れるしかないです。人類はずっとそうしてきたのだから、できます。

想像すれば、あなたの一番大切な指輪1つですら、自分が死んだら誰にあげて欲しいなどとは意外と書き残せない、決められないことに気がつきますよ。しかも始めれば老人には膨大な宿題、重荷となります。先に決められないもの、と思って、運を天に任せるのも一案ではないでしょうか。

<清水ミチコさんがあなたのお悩みに答えます>

人間関係、子育て、仕事、体の不調…など、皆さんのお悩みに清水ミチコさんがお答えします。お悩みをesse.cbox@fusosha.co.jpまでお送りください。