閉経前後に訪れる、心身ともにゆらぐ更年期。対処法を知って、女性ホルモンのアップダウンによる波を上手に乗りこなしましょう。産婦人科専門医の高尾美穂先生、鍼灸院院長の柳本真弓先生、アロマセラピストの藤田めぐみさん、料理研究家の金丸絵里加さんに、更年期の上手な乗りこなし方を教えてもらいました。今回は「めまい・ふらつき」編です。

更年期の「めまい・ ふらつき」をラクにするセルフケア

ふわふわしたり、ぐるぐると回ったりするようなめまいやふらつきが起こりやすい。

●自律神経や三半規管の働きに問題が出ることも

「更年期になると、ふわふわとした浮遊感に似ためまいやふらつきを感じることがめずらしくありません。同時にキーンとした耳鳴りや耳がふさがったような不調を併発することもあります」(高尾先生)

おもな原因は、自律神経の乱れ。また、なんらかの原因で、耳の奥にある“耳石”という部分にゆるみが生じると三半規管が刺激され、めまいを引き起こすことも。

「強いストレスや睡眠不足が重なると症状が重くなるので無理は禁物。めまいには重篤な病気が潜んでいる場合も。軽視しないで病院で検査をしてもらうことも大切です」

<更年期と間違えやすい病気>

・メニエール病→耳鼻科
・自律神経失調症→内科
・脳梗塞など脳の病気→脳神経外科

●気の流れを整える「百会(ひゃくえ)」のツボを優しく刺激する

くらくらするめまいや、ぐるぐる回るようなめまい、どちらにも効くのが百会。「頭のてっぺんにあるツボは、全身の『気』の流れを安定させ、めまいを緩和させます」(柳本さん)

前から後ろ、または後ろから前に指の腹で数回なでる。気持ちいいと感じる力で押しても。

<場所はココ>

おでこに手のふくらみを当て、中指がくる頭頂部と、両耳の延長線上が交わったところ。

●気のめぐりを整える「内関(ないかん)」のツボをストレッチ&指圧

ふらつくのは、体に「気」がつまり、滞っている可能性が。「内関のツボ周辺をストレッチしてから、ピンポイントで押すと気のめぐりが整い、ふらつきを防止します」(柳本さん)

<ストレッチ>

手のひらを外に向けて腕を伸ばし、指先を下へ。逆手で指を体側に引き寄せ10秒キープ。左右同様に。

<ツボ押し>

 

手首のシワから指3本下がったところ。中央の腱の位置を親指で10秒ほど押す。左右同様に。

●めまいや緊張をやわらげるゼラニウムの香りでリラックス

心身がアンバランスだとめまい、ふらつきが出ることも。「ローズに似たゼラニウムの香りは、更年期に多いストレス性のめまいに効果的。芳香浴などを楽しんで」(藤田さん)

精油は劣化しやすいので使用期間、保存方法に注意を

・ゼラニウム精油 3ml \990(生活の木)

●貧血防止のためにもビタミンB12、葉酸、鉄分を

造血作用のあるビタミンB12や葉酸のほか、鉄分やビタミンCも積極的に摂取を。「ビタミンB12や鉄分は貝類や赤身の牛肉、葉酸やビタミンCは色の濃い野菜に多く含まれます」(金丸さん)

ツボ押しやヨガ、アロマセラピーなどを行う場合、妊娠中やその可能性がある方、持病のある方は事前に医師と相談してください。また、試してみて痛みや不調があるときは、すぐに中断してください。

西洋医学に基づかない鍼灸やマッサージ、アロマセラピーは体質改善を目指すものであり、効果・効能には個人差があります