「50代からの片づけ」がラクになる順番。収納がパンパンの人が最初にやるべきこと
秋は片づけがはかどる季節。とはいえ、漠然と片づけようと思っても、どこから手をつけていいかわからなくなる人も多いのではないでしょうか? 50代の生き方についての書籍を出し、整理収納アドバイザーでもある原田さよさんに、片づけがはかどる順番について教えてもらいました。
どこから手をつけていいかわからないときの片づけの順番
私は50歳後半になってから家じゅうの片づけをはじめ、その様子をブログで伝えてきました。アドバイザーの資格を取ったのはだいぶ後です。片づけはじめた頃は家の収納のなかがものだらけで、「どこからどうすればいいの?」と迷ってばかりいました。でも、順番を意識してから片づけがラクになり、あきらめずに続けられました。
片づけたいのにどこから片づけていいかわからないときに順番を意識するというのは、年齢を重ねれば重ねるほど大事なポイントになってきます。暮らしにくいと気づいてがんばるつもりなのに、体力と気力が追いついてこなくなるからです。今回は、少しでもラクになる片づけの順番について紹介します。
●ものがとても多い家の場合
・確実に、捨てにくいゴミを捨てていく
ものがとても多くて床の上にもたくさんあるような場合は、つまづかない状態にするのが先なので、まず床の上のゴミを減らしていきたいもの。なかでも、床置きになっている捨てにくいゴミから、不燃ゴミや粗大ゴミの日に出していきます。基本のことですが、忘れるとどんどんたまるだけでなく、やる気までなくなっていく可能性があるからです。
私が住む地域では当時、月に1回しか出せなかったので、忘れないようスマホのアラーム機能を利用して自分に知らせていました。
・思い入れがあまりない場所から、不要なものを取りのぞいていく
捨てにくいゴミを確実に捨てながら、そこまで思い入れがない場所の片づけを始めます。たとえば、下駄箱や冷蔵庫のなか、ダイニングテーブルの上だけとか、キッチンカウンターの上だけなどというように、場所を区ぎって不要なものを取りのぞいていきます。すっきりした場所を増やせれば、やる気を維持できます。
迷うものはまとめて、分かる場所で保管しておいてください。ものを減らし、歩きやすいよう床を見せるのが先決です。
洋服や本、食器、趣味のものや思い出のもの、写真や書類は、要不要を判断するのに時間がかかる人が多いかもしれませんので、減らしたい場合は後で考えるようにします。だんだん片づけ方が身についてくるので、少しずつ確実に進めていきましょう。
・残すと決めたものを正しく収納する
残すと決めたものを収納していきます。収納の基本はどこでも同じで、次の3つのことを常に意識してみてください。
□使っている場所の近くで収納する
□なにかをするとき使うものを、グループでまとめて収納する
□使用頻度が高いものほど、使いやすい場所に置く
ただ、収納グッズを先に買うのは控えてほしいです。家にあるもので分けられることがほとんどだし、余ってしまうともったいないからです。
●収納スペースがものでいっぱいの場合
・ゴール(目標)決めるために、気になることを具体的に書きだす、写真を撮っておく
以前のわが家のように、見た目にはそこまで散らかっていないけれど、収納のなかにものをたくさん押し込んでいる、というお家もあるでしょう。急いでやらなくていいだけに、なかなか手をつけられないのではないでしょうか? そういう場合はまず、片づけのゴールを決めます。部屋をスッキリさせたいという漠然としたものではなく、具体的に。目標は、大きなものと個別のものを考えると分かりやすいです。
たとえば大きな目標は、私と同世代の人なら、巣立った子どもの部屋をスッキリ片づけて自分の部屋にするとか、リフォームする前に不要な物の処分を終えておくなどでしょうか。
個別の目標を決めるためには、今の自分はなにが気になっているかを書き出してみるのがおすすめです。10年前の私は、思いつくまま次のようなことをノートに書いていました。
□物置も壁面収納もキッチンの高いつり戸棚にあるものも見直したい、使っていないものばかり
□読まない本で納戸や押入れをふさいでいるのが、もったいない気がする
□バブル時代の服がまだ置いてある、派手な着物も置いたまま、タンスがギュウギュウで困っている
□書類のファイルが満タンになっているのに見直すのが面倒、いざというとき欲しい書類が見つからない
□体温計、いったい家にいくつあるの? もう無駄遣いしたくない
□下駄箱の中にも上にも、ものがたくさん。掃除が面倒だし、帰宅するたび憂鬱
自分が書いた「片づけたいところ、気になるもの」のうち、簡単そうなことから順番に手をつけていきました。すんだらその項目にチェックを入れる。たとえば下駄箱の中の履いていない靴や飾っている雑貨を減らすとか、体温計を置く場所を決め家族にも伝えるとかなら、難しくないでしょう。気にしていたひとつの場所の片づけが終わるたびに達成感が生まれ、また次もがんばってみようと思えるようになりました。
このように、片づけ前に写真を撮っておくと、後で比べたとき達成感もより大きくなるのでおすすめです。小さくても具体的な目標をひとつずつクリアしていくと、やる気が維持できるだけでなく、自分なりの片づけのペースもつかめるようになります。そのうち、クローゼットも壁面収納も押入れもタンスも、整理することができました。
・残すと決めたものを正しく収納する
収納の基本は、この場合も同じ。収納グッズを先に買わないようにしていただきたいのも、同じです。
□使っている場所の近くで収納する
□なにかをするとき使うものを、グループでまとめて収納する
□使用頻度が高いものほど、使いやすい場所に置く
簡単な場所の片づけを終え、やりにくい場所まで片づけられるようになってくると、書類や思い出のもの、着物や写真なども整理できるようになります。
ちなみに、整理したあとは、高い所や暗いところ、狭いところには、なるべく収納しないですむようにしました。今後はもう危ないと思ったからです。
●目標を立てるのが有効な理由
片づけられないときこそ、目標は具体的に考えてみるのが大事です。わが家は片づけたことで、自分の部屋も夫の部屋もつくることができました。今は、私がいなくても夫がどこになにがあるか全部分かっている状態にしておくのを目標にしています。自分の身体になにがあるかわかりませんから。みなさんは、片づけた後の部屋でなにかしたいことがありますか?
どこから片づけたらいいか迷う…という人は、ぜひ、片づけの順番を意識してトライしてください。「何月何日にする」というのも決めておくと、確実に進められます。
原田さよさんの書籍『50代はやめどき、捨てどき、楽しみどき』(扶桑社刊)が発売中。