ホテルや旅館、モデルルームでも、リビングと呼ばれるスペースには必ずテレビがあります。中には、リビングのテレビをつけながら食卓を囲むご家庭もあるのではないでしょうか。「わが家のリビングにはテレビがありません」と話すのは、ライフオーガナイザーの森麻紀さん。その理由やメリットについて教えてもらいました。

テレビの定位置はリビングじゃなくてもいい

テレビがないといっても、テレビを持っていないわけではなく、寝室に置いているというだけ。リビングにテレビがあることで、子どものリビング学習がはかどらなかったり、兄弟ゲンカの原因になったりするという話をよく聞きます。

【写真】寝室に移動したテレビ

わが家は、現在中学2年生の娘がひとりなので兄弟げんかはありませんが、リビングから寝室にテレビを移動して10年、よかったなと感じていることはいろいろあります。

●メリット1:子どもの出かける準備、勉強や在宅ワークをジャマしない

娘が3歳頃まではリビングにテレビがありましたが、幼稚園に入る少し前に、寝室に移動しました。

娘より少し年上のお友達のお母さん達から、「テレビばっかり見てごはんに集中してくれない」「テレビを見ていて登園準備がギリギリになる」そんな話を聞いていたからです。これが大正解! テレビをリビングに置いていなかったおかげで、そんな悩みとは無縁でした。

小学生になってからはリビング学習が始まりました(学習机は小3で購入)。視界にテレビなどの気になるものがあるだけでも集中力に影響すると言われていますが、わが家はそういった心配もなく、子どもが中学生になった今では、さらに効果を実感しています。

もちろん子どもに限ったことではありません。夫は自分の部屋で仕事をしていますが、私はリビングで仕事をしているので、休憩時間にテレビをつけてしまったが最後…気づかぬうちに「もうこんな時間!」なんてことになりかねません。だから意志の弱い私にはピッタリの環境なのです(笑)。

私の仕事中に娘がテレビを見たくなったときにも、お互い気を使う必要もありません。これは、子どもが受験生になって逆の立場になったとしてもよさそうです。

●メリット2:子どものゲームやテレビ視聴へのイライラが減る

子どもがNintendo Switchなどのゲームをするときは、できるだけ大きな画面でやってほしいので、基本的にテレビでします。

そのため、ゲームをするのは必然的にテレビのある場所。もしリビングにテレビがあったら、娘がゲームをしている姿がずっと目に入ってくることになります。ゲームをする時間を決めていたとしても、どうしても気になってしまうのは目に見えています。その点、私の視界に入らない場所でゲームをしている現状は、気分的にとてもラク。

それに、娘がリビングにいないときは仕事をすすめたり、ゆっくり読書したりと自分の時間を満喫できるので、それはそれでいいと思えるのです。

●メリット3:テレビは目覚まし時計より効果絶大だった

小1までは、お気に入りの目覚まし時計で起きていた娘でしたが、小2になる頃にはそれではなかなか起きなくなりました。そこで、寝室にあるテレビを目覚ましアラームとして利用することに。

これが効果絶大! テレビの声の方が気になるようで、すぐに反応して目を覚まします。ちなみに、子どもの興味がない番組のときは起きませんでしたので、そこは要注意です(笑)。

子どもが起き上がって少ししたら、テレビは消してしまいます。幼稚園の頃はリビングで着替えていましたが、小学生になってからは寝室で着替えるようになったので、つけっぱなしだと今度は見入ってしまい、その後の行動が遅くなるからです。

中学生になってからも引き続きテレビで起きていましたが、最近はテレビがつく直前に目を覚ますようです。毎朝テレビで決まった時間に起きる習慣がついたおかげかもしれません。

ちなみに大人の私も、テレビを目覚ましとして使った方がすぐに起きられるようになりました。目覚まし時計だと、止めてまたすぐ寝てしまっていましたが、娘と同じくテレビだと内容が気になるからです。

テレビがリビングにあると、テレビの配線や見る位置の関係で、ダイニングテーブルやソファの位置も必然的に決められてしまう、なんてこともありますが、もともと家具が少ない寝室ではその心配もあまりありません。家でいちばん長く過ごすリビングにテレビが無ければ、目的もなくテレビをつけてしまうことなくなるかも。

そんな利点ばかりのテレビ移動、よろしければお試しください。家族で新しい発見があるかもしれませんよ。