クルマで橋を走行中、「ゴツン」という音と振動が生じる原因になっている「ジョイント」部分。橋桁のつなぎ目で、金属などが道路上に露出している部分ですが、いまこれを撤去して数を少なくする動きもあります。

ゴツゴツするしライダーにも怖がられるし

 橋をクルマで走行する際、「ゴツン、ゴツン」という音と振動を感じることがあります。近年ではこの「ゴツゴツ鳴る橋」は徐々に数を減らしつつありますが、なぜこのような機構が必要だったのでしょうか。


橋のジョイントのイメージ(画像:photolibrary)。

「ゴツゴツ鳴る橋」の原因は、橋の「ジョイント」部分。舗装のなかでジョイント部は金属などが露出していることから発生します。首都高速道路が実施したアンケートによると、二輪車のライダーからは「鋼製のジョイントが滑りそうで怖いと感じる」「雨天時のジョイント部でヒヤリとする」といった声もあるそうで、ドライバーやライダーからすると”悩みの種”でしょう。

 ジョイントがあるのは一般的に、橋桁(はしげた)と橋桁のつなぎ目や、橋桁と岸(橋台)のあいだです。橋桁は温度変化などで伸び縮みするため、つなぎ目となる部分には少し隙間を空けなければなりません。多くの場合、ジョイント部はクシ形の部材どうしがかみ合うようになっており、橋桁が伸びれば隙間が狭まり、縮まれば隙間が広がります。これにより橋桁どうしが干渉することなく、構造を保っていられるのです。

 しかし近年、高速道路ではこれが撤去され、数を減らしています。阪神高速でもリニューアル工事ごとにジョイントを次々なくしていますが、それは単に、走りやすくするだけではないのだとか。

というのも、ジョイント部が損傷すると、漏水によって床版(舗装が載る道路の床板部分)など内部の腐食につながることもあるので、撤去することで構造物の長寿命化や耐震性の向上、維持管理の省力化、さらには騒音や振動の低減による道路周辺環境の改善も見込めるのだそうです。

 しかしこのジョイント、快適性はさておき、橋をつなぐうえでは、不可欠な機構であったはずです。なぜ撤去が可能になったのでしょうか。

「ゴツゴツ橋」なぜ減ったのか

 阪神高速は以前、「ジョイントを撤去し、隣の橋桁と床版どうしを連結する工法や、舗装の上層を連続化する工法などがあり、場所に応じて適用しています」と説明してくれました。「ゴツゴツ鳴る橋」が減ったのは、ジョイントの境目に工夫が加えられた場所が多くなったということでしょう。

 ただし同社によると、ジョイントをなくせるのは、橋桁の種類(鋼製かコンクリート製か、など)が同じであることや、高さが同程度で、かつ直線であることなど、一定の条件が必要だそうです。また、それぞれの橋桁が長すぎないことも条件のひとつで、連結した橋桁全体の伸縮量を両端部のジョイントで吸収できるよう設計する必要があるそうです。

 このような工事は「ノージョイント化」「ジョイントレス化」などと呼ばれ、NEXCOや首都高でも進んでいます。たとえば首都高では3号渋谷線や4号新宿線などでノージョイント化により、道路からの騒音が約3デジベル減少した実績もあるとのこと。これは、交通量が半減したことに相当するといいます。また、なくせないジョイントにも一部、滑り止めを施すなどしているそうです。

 ちなみに、ジョイントそのものも進化しています。ある橋の設計者によると、技術開発により対応できる桁の伸縮量が増えているほか、より低騒音で、より長持ちするよう改善されてきたそうです。