海の色といえば「青」をイメージしますが、気候変動によるプランクトンの増加などの影響で海の色が徐々に緑色に移り変わりつつあることがマサチューセッツ工科大学やイギリス国立海洋学センターからなる研究チームの分析によって明らかになりました。

Global climate-change trends detected in indicators of ocean ecology | Nature

https://www.nature.com/articles/s41586-023-06321-z



Study: The ocean’s color is changing as a consequence of climate change | MIT News | Massachusetts Institute of Technology

https://news.mit.edu/2023/study-oceans-color-changing-climate-change-0712

New study shows effect of climate change on ocean colour | National Oceanography Centre

https://noc.ac.uk/news/new-study-shows-effect-climate-change-ocean-colour

海洋に存在するプランクトンの増減を観察することは、気候変動が海洋に及ぼす影響を評価することに役立ちます。しかし、世界中のプランクトンの数を目視で数えることはほぼ不可能です。そこで、研究チームは人工衛星「Aqua」に搭載されたクロロフィル濃度を測定できるセンサー「中分解能撮像分光放射計(MODIS)」が集めたデータを元にプランクトンに含まれるクロロフィルの量の変化を導きだし、プランクトンの増減を推定することにしました。



MODISが集めた20年分のデータを分析した結果、海洋全体の56%で過去20年の間にクロロフィル濃度が上昇していることが明らかになりました。以下の図はクロロフィル濃度が上昇している地点を赤く塗りつぶしたもので、色が濃い地点ほどクロロフィル濃度が大きく上昇していることを示しています。図を見ると、低緯度の海域を中心にクロロフィル濃度が上昇していることが分かります。



海中のプランクトンの増減は海の色の変化にも影響しており、プランクトンの数が増えると海が緑色になります。このため、研究チームは研究論文中に「全体的な傾向として、低緯度の地域では過去20年間にわたって海洋の色が緑色に変化してきました」と記しています。

また、研究チームは海洋のクロロフィル濃度が上昇していることから海中のプランクトン数が増加していると判断しており、気候変動の影響で海洋の生態系に大きな変化が生じている可能性を指摘しています。