デート撮影を前に緊張をのぞかせていた、FUJIWARA・藤本敏史さん。

お茶の間や芸人仲間から愛され、仕事は長く好調だ。

今回、藤本さんに体験していただいたのは、イマドキな十番デート。

美女との熱く艶やかな時間のなかで、藤本さんが語った、麻布十番での思い出とは?


「一番幸せな時期やった」藤本さんが語った、麻布十番での思い出

通りを歩く藤本さんの姿は、まるで十番に住む経営者。胸元にはダミアーニの184万円のネックレスが光る。「大人の俺も出していかなあかん。この髪型の方がいいんちゃうかな」


十番に馴染みがあるか聞くと、藤本さんはそっと涙を拭う仕草を見せた。

「新婚の時、住んでました。いや、もう別れて4年経つんで全然大丈夫ですよ。

正直、麻布十番は夫婦の時の思い出しかないです。商店街にはよく食事に行っていました。一番幸せな時期やった。すいません、いまも幸せやったらなんぼでも語れるんですけど……」

引越し後は「涙が溢れてくるから」との理由で滅多に来ないが、テレビ朝日で収録がある日は芸人仲間と十番の居酒屋で飲むこともあるとか。

「『たぬ吉』という居酒屋には行きますね。まぐろブラックというまぐろをケンタッキーみたいに揚げたのが好きです。とにかく明るい安村や(千原)ジュニアとか、収録で一緒やった芸人を誘ってそのまま流れます」

現在52歳、芸歴34年になる藤本さん。

「芸歴が長いから食事に行くのは後輩ばかり。先輩は松本さんぐらいかな。大人数で行くから金額がかさむんですよね」と、いつも全額奢りで1回の食事に10万払うことも少なくないと話す。

「僕もね、好きな女性とのデートでそのぐらい使いたいんですよ。奢ってもこっちにプラスにならへんような後輩ばっかりですから。ナダルとかね。

そしたらあいつCM増えとるでしょ。なんやねんと思いますけど、ひとり身なんで、あいつらが僕の寂しさの隙間を埋めてくれてるんだなと。

あっ、最後、どうしても湿っぽくなっちゃって……」

切ない話のはずなのに、流石のリズムと表情で笑いが起こる。


「ほんまに5年デートしてないねん。今夜は贅沢過ぎる夜やな(笑)」

ドン ペリニヨンのボトルを見て「これいいお酒ですよね?飲んだことないです。52歳で初ドンですよ。初ドンッ!」と藤本さん。お酒は得意でないが、ドン ペリニヨンは美味しそうに飲んでいた


今回の撮影は美女とのデート。聞けば、「もう5年誰ともデートしていない」と藤本さん。

「願望はありますけど出会わないんです。こういうシチュエーションが全くないんですよ」とブランクが長いようだ。

しかし、いざ撮影が始まれば、「東京カレンダー」芸人シリーズ史上トップを争うほど美女モデルを和ませ、笑わせていた。

例えば天ぷらのカウンターではこんな会話が交わされた。



噛んだ瞬間に甘い香りが漂うエビにご満悦のふたり。「もう少し密着を」との撮影指示に、「天ぷら屋さんでこんなことあります?まあ、あるか。麻布十番なら何でもOKなのかもな」と納得していた藤本さん


藤本:一番好きな食事は何?

美女:お米に合うものだったらなんでも好き。白いご飯が好きだから。

藤本:わかる、俺も好き。え、じゃあ「ごはんですよ!」みたいのとか?

美女:違う。お米に合うおかず(笑)。

藤本:煮魚とか?

美女:そう。大盛り3杯くらいいける。

藤本:一緒!じゃあ、ご飯は炊く?

美女:家じゃ炊かない。サトウのごはん。

藤本:一緒!共通項ないと思ったけど家で作らないのは、はい一緒でした〜。

天真爛漫な女性モデルだったこともあるが、驚くほど馴染みが早く、すぐに本物のカップルのような雰囲気に。

藤本:このサツマイモの天ぷら、中がねっとりで皮がパリパリで甘みも絶妙。もう一個もらっていいですか?

美女:私の分なくなっちゃう!

藤本:大丈夫やって、まだあるから。

美女:お芋のことしか考えていない!

藤本:あんなに美味しいサツマイモを出されたらしゃあない。

編集部:彼女がお芋にヤキモチ焼いているみたいですね。

藤本:ね、焼き芋だけにね。どっちも焼いちゃうみたいな。スタッフのみなさんも1個どうですか〜?

軽快なやり取りだが、正しくは焼き芋ではなく揚げ芋であった。

ともあれ盛り上げ上手で、かつ紳士的だ。接近する撮影では彼女に触れず、あえて椅子の背もたれをもち、本当はモテるのでは?と思わせる所作。


「“顔がデカい”は魔法の言葉。これでみんな笑ってくれるんやもん」

ちなみにデートでは相手に合わすタイプで、単品メニューで相手が2択で迷っていたら、両方頼んで彼女が好まなかった方を食べるとか


また、対女性に限らず、すぐに場を温めてくれる。

店の空間について「こぢんまりしたお店で」とふれば、「顔デカいから余計にそう見えるんや!」と律儀にお決まりのフレーズ。

通りの撮影で中学生たちが藤本さんに気づけば、「顔デカいでしょ〜」と手をふり、みんなを集めて記念撮影。

シンプルな自虐だが一瞬でウケて、本人も「顔だけで笑ってもらえたら本望で、僕の強み」と商売道具のように言う。子どもの時から人を笑わせるのが好きだったとか。

「親戚が大勢集まると、当時流行っていたギャグを披露していました。同じことをいまも続けている感覚はあります。楽しく話して笑ってという場がただ好きで、それを仕事にさせてもらっています」

相方の原西孝幸さんとはもともと高校の同級生で、文化祭で一緒に芸をしたのが原点だ。

コンビを組んで34年となるいまも、YouTubeでわちゃわちゃと楽しそうに絡む様子を配信している。

「アラフィフのおっさんが、一緒に中学生みたいなことを、変わらぬノリとモチベーションでやれているのは、幸せですね。体が許す限りずっと続けていきたい。

最近テレビがコンプラの問題で厳しくなってるんで、YouTubeではこれまでやってきた体張ったことを見せたいというのもあります。

大阪で活動してる時はそれでファンもついてくれて、コメント欄を見ると“いつまでも馬鹿なことやってるふたりが好き”みたいなのがけっこうあるんで、伝わってるんかなと」

直接笑い声は聴こえなくても、画面の向こうの存在に支えられている。

最後に、これからのチャレンジを聞こうとすると、チャレンジのレあたりで「デートです!」と食い気味な回答。

「今日で火種が生まれました。半ば諦めていたけど、この炎をなんとか自分で大きくしていかなあかん!」

帰り際、デートした美女モデルに挨拶のハグをされると、藤本さんはキュンとした表情で硬直。デートを5年していないのは本当かもしれない。

最後まで「実は女性ウケがよい」と思わせる魅力を感じさせたのだった。


■プロフィール
藤本敏史 1970年生まれ、大阪府出身。1989年に原西孝幸とFUJIWARAを結成して芸人デビュー。『アメトーーク!』や『プレバト!!』等多くのテレビ番組で活躍。YouTube『FUJIWARA 超合キーン』では検証動画やギャグを配信。再生回数100万回以上の動画も多数

■衣装
[藤本さん]ネックレス 1,848,000円〈ダミアーニ/ダミアーニ 銀座タワー TEL:03-5537-3336〉、時計 2,299,000円〈ゼニス TEL:03-3575-5861〉、眼鏡 36,300円〈アイヴァン/アイヴァン 東京ギャラリー TEL:03-3409-1972〉、その他スタイリスト私物
[女性]ワンピース 86,900円〈コルコバード/フィルム TEL:03-5413-4141〉、ピアス 891,000円、リング 660,000円〈ともにダミアーニ/ダミアーニ 銀座タワー〉、バッグ 42,900円〈ケイト・スペード ニューヨーク/ケイト・スペード カスタマーサービス TEL:050-5578-9152〉、その他スタイリスト私物

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東京カレンダー最新号では、藤本敏史さんのインタビュー全文をお読みいただけます。
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