実写版「ONE PIECE」レビュー：妥協なき完成度、唯一無二の麦わらの一味が誕生
「週刊少年ジャンプ」（集英社）で連載中の尾田栄一郎の人気漫画を実写化したNetflixシリーズ「ONE PIECE」が、8月31日に全世界配信を迎えた。エグゼクティブプロデューサーとして制作に携わった尾田が「この作品に一切の妥協はありません!!」と高らかに宣言した通り、原作の世界観を余すことなく再現した、「ONE PIECE」愛あふれる実写版に仕上がっている。
実写版は、原作漫画の序章となる主人公モンキー・D・ルフィの旅立ち、海賊“麦わらの一味”の結成、偉大なる航路（グランドライン）を目指す冒険を全8話で描き出す。原作があまりに壮大なため、ドラマの展開に不安を抱くファンもいるが、そんな不安は第1話ですぐに払拭される。名シーンの数々を再現しながら、ドラマオリジナルの展開を合わせたストーリーは、漫画を読んでいるかのようなスピード感とカタルシスに満ちている。ロマンあふれる「ONE PIECE」の物語をドラマに落とし込んだ、脚本・製作総指揮のスティーヴン・マエダ＆マット・オーウェンズの手腕には脱帽だ。
尾田をはじめ制作スタッフが、顔、口の大きさ、手の大きさ、雰囲気、所作、声質、演技力、身長、仲間同志のバランスまで注意して起用した麦わらの一味キャストは、尾田たちの期待を裏切らない見事な演技を披露している。ルフィの特徴を正確に捉えたイニャキ・ゴドイ、“海賊狩り”ゾロのクールな佇まいを表現した新田真剣佑、色気あふれるサンジ役のタズ・スカイラー、ひょうきんなウソップを演じたジェイコブ・ロメロ・ギブソン、しっかり者のナミ役を担当したエミリー・ラッド。5人それぞれがキャラクターと真摯に向き合い、唯一無二の麦わらの一味を生み出した。
本作の見どころでもあるバトルシーンでは、スタッフの「ONE PIECE」愛を感じる瞬間が何度も訪れる。ルフィが繰り出すゴムゴムの銃（ピストル）、ゾロが放つ三刀流奥義“三千世界”、スタイリッシュな足技を得意とするサンジの羊肉（ムートン）ショットなどお馴染みの技が、原作そのままの迫力で繰り出される。道化のバギー、魚人アーロンといった難敵とのボス戦は、オリジナル要素を加えながら、爽快感あるバトルに仕上がった。
「ONE PIECE」の物語を彩る人気キャラクターの再現度も見事だ。ルフィが旅に出るきっかけを与える海賊シャンクスと彼が率いる赤髪海賊団、麦わらの一味を追う海軍中将ガープに見習い海軍のコビー＆ヘルメッポなど、漫画から飛び出してきたかのようなビジュアルや表情に驚かされる。特筆すべきは、“鷹の目”の異名を持つ剣士ミホーク。登場シーンこそ少ないものの、王下七武海にふさわしいオーラを放ち、原作と同じ巨大な黒刀で海賊を圧倒する。「ONE PIECE」序盤の名シーンとして挙げられるゾロとの決闘は、セリフも含めてファン納得の完成度だ。
単なる原作再現で終わらず、実写としての面白さを徹底的に追求したNetflixシリーズ「ONE PIECE」。麦わらの一味の旅は始まったばかりで、ドラマでも今後の展開を匂わせる伏線が散りばめられている。主要キャストは「みんなが納得するエンディングにたどり着くまで続けたい」と語っており、シーズン2の実現に早くも期待が高まる。（編集部・倉本拓弥）
Netflixシリーズ「ONE PIECE」世界独占配信中
