新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種により体が磁石になり、5G基地局と接続されるなどの誤情報を発信していたシェリー・テンペニー氏の医師免許が停止されたことが、オハイオ州医療委員会の発表により判明しました。

This doctor said vaccines magnetize people. Ohio suspended her medical license. - cleveland.com

https://www.cleveland.com/open/2023/08/this-doctor-said-vaccines-magnetize-people-ohio-suspended-her-medical-license.html



Doc Who Said COVID Vax Magnetized People Has License Suspended | MedPage Today

https://www.medpagetoday.com/special-reports/features/105864

今回の問題の発端となったのは、2021年6月に実施されたオハイオ州議会の公聴会でテンペニー氏が「ワクチンを接種された人は体が磁化され、スプーンやフォークがくっつくようになります」と主張したことです。オハイオ州医療委員会によると、この発言により当局には約350件の苦情が殺到したとのこと。

オハイオ州医療委員会はすぐにテンペニー氏への聞き取り調査を試みたもの、テンペニー氏は電子メールや事務所への直接訪問などあらゆる手段での連絡に応じませんでした。最後通牒として、医療委員会は2022年9月に出頭命令を出しましたが、やはりテンペニー氏は召喚状に従いませんでした。

医療委員会の(PDFファイル)懲戒文書には、テンペニー氏に送達された質問状の中で「『COVID-19ワクチンが人々を磁化させたり、5Gタワーとのインターフェイスを生じさせたりする』『COVID-19ワクチンが本物のウイルスを注射するのではなく遺伝物質の切れ端を注射する』『患者が異常出血、心筋炎、脳卒中、神経学的合併症などを患う』『大都市圏の一部では死体を液化して水道に流している』などの主張に対し、どのような科学的根拠を有しているのかを尋ね、出典を挙げるように求めた」と記載されています。



テンペニー氏が再三にわたる弁明の要求を拒否したことを受けて、オハイオ州医療委員会は2023年8月9日の会合で、全会一致でテンペニー氏の医師免許を無期限停止にすることを決定しました。テンペニー氏にはまた、3000ドル(約43万円)の罰金も科されています。

今回の決定は、テンペニー氏が反ワクチン活動を展開することを防ぐものではありませんが、医師免許を失ったことで医師の肩書を使って医療行為を行ったり、反ワクチン商材の販売やセミナーの開催などを行ったりすることはできなくなりました。

反ワクチン活動を開始する以前、テンペニー氏はオハイオ州にあるブランチャード・バレー病院で1986年から12年間にわたり救急部長を務め、1994年にはオステオパシーという代替医療を提供する診療所を開設しました。

テンペニー氏はまた、2008年に「Saying No to Vaccines: A Resource Guide for All Ages(ワクチンにノーと言おう:全年齢のためのリソースガイド)」という書籍を出版したのを皮切りに反ワクチン陰謀論に傾倒するようになり、2023年に入ってからもワクチンに関するSNSの書き込みに「ジェノサイド」とのタグを付けて投稿するなどしています。



このような主張を繰り返し、医事当局からの調査にも応じなかったテンペニー氏の態度について、医療委員会は報告書の中で「要するに、テンペニー氏は単に委員会の調査に協力しなかったのではなく、協力を拒否したのです。そして、その拒否は理事会の調査の発端に関する裏付けのない主観的な信念に基づいていました」と結論づけました。