Amazonは3000基以上の衛星を地球の低軌道上に打ち上げ、世界中のどこからでも利用できる衛星通信ネットワークを構築する計画「Project Kuiper(プロジェクト・カイパー)」を推進しており、これに1億2000万ドル(約170億円)を投資しています。2023年7月21日、フロリダ州ケープ・カナベラルのケネディ宇宙センターにAmazonが建設している施設について、その用途がProject Kuiperの衛星に関する処理を行うものであることがAmazonから明かされました。

Project Kuiper to open satellite-processing facility at Kennedy Space Center

https://www.aboutamazon.com/news/innovation-at-amazon/project-kuiper-kennedy-space-center-florida



Amazon is getting ready to launch a lot of broadband satellites | Ars Technica

https://arstechnica.com/space/2023/07/amazon-is-getting-ready-to-launch-a-lot-of-broadband-satellites/

Amazonによると、Project Kuiperの本格的な生産開始と初期のサービス展開は2024年にスタートするとのこと。新設するケープ・カナベラルの処理施設はNASAの宇宙センターに隣接しており、打ち上げに先立って最終準備を行うための施設として使用される予定。衛生の生産自体は、すでに建設開始が発表されているワシントン州カークランドの施設で行われる予定です。

Amazonは「衛星を展開するために77機の大型ロケットを確保しており、そのほとんどはブルーオリジンとユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)が提供し、ケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げられます」と述べました。

低軌道上に衛生を打ち上げてネットワーク通信を可能にするというシステムはすでにイーロン・マスクのStarlinkが始めており、日本ではKDDIからStarlinkの衛星通信が利用可能です。AmazonのProject KuiperはStarlinkの対抗馬となる存在で、両社のサービスの違いなど未発表の部分に注目が集まっています。

すでにProject Kuiperの「アンテナ」が発表されており、通信速度最大100Mbpsの携帯性に優れたアンテナから最大1Gbpsを提供する高性能アンテナまで、複数の選択肢が用意されていることが分かっています。

AmazonがStarlinkの対抗馬となる衛星インターネット「Project Kuiper」のアンテナを発表、2024年からサービス開始か - GIGAZINE



なお、Starlinkの通信速度は最速で下り220Mbpsです。



ただ、Starlinkは従来の4倍の高速通信を可能にするという第2世代Starlink衛星「V2 Mini」を打ち上げており、今後さらに速度が上昇する可能性があります。

SpaceXが従来の4倍もの高速通信が可能な第2世代Starlink衛星「V2 Mini」の打ち上げに成功したことを発表 - GIGAZINE



衛星通信には中国も参入していると報じられており、2023年2月には「1万2992基の衛星を打ち上げる計画を立てている」と伝えられていました。

なんと中国が1万2992基の低軌道衛星ネットワークを構築してStarlinkの人工衛星を妨害する可能性大、「Starlink衛星は他の衛星を破壊できる」と主張 - GIGAZINE