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TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」(以下、「U149」)の第10話「重ねれば重ねるほど大きくなる色って、なに?」が放送された。本コラムでは「U149」の物語や音楽、アイドルたちの魅力を追いかけていく。

TEXT BY 中里キリ

プロデューサーを支えたいアイドルたちの想い



アバンタイトルは、第3芸能課のある日のレッスン後の風景から。前回のグランピングで撮影した写真の数々の反応は上々で、たくさんのファンが第3芸能課のアイドルたちに会いたがっているようだ。「会いたい」と言ってもらえることを喜ぶ仁奈、「かわいい」と褒められて嬉しい薫。早くデビューしてファンに会いたいという気持ちはみんな同じなようだ。以前はアイドルに興味なさそうだった晴さえも「ライブやりてーなぁ」と呟くのは、それだけLiPPSのバックダンサーとしてステージに立った経験が鮮烈だったのだろう。

「私たち、いつになったらデビューできるのでしょうか」

橘 ありすのいつもの不安の言葉に対するアイドルたちの反応にも、ファンの応援や自分たちの成長に手応えがあるからこそのもどかしさが感じられる。そんな折、全力疾走のプロデューサーと共に飛びこんできたのが、自分たちだけの新曲「ドレミファクトリー!」だった。「U149」楽曲の原点ともいえる全員曲を、満を持してここで持ってきた。ノートパソコンを囲んで試聴したアイドルたちの反応は上々!デビューとライブに向けたやる気もさらに盛り上がるのだったが……ここで立ちはだかるのが、喫煙所にいる部長と次長だ。



子どもを扱うリスク、予算の問題。理由をつけて煙に巻こうとする部長たちについ声が大きくなるプロデューサー。そこに入ってきたのはなんと第3芸能課のアイドルたち。自分たちの状況や、必死なプロデューサーがよくは扱われていないことをなんとなく感じ取っていたのだろう。きりっとした表情で喫煙所に入ってきたのは仁奈、みりあ、千枝、薫、小春、桃華。ほかのアイドルたちは一歩引いて様子を見ている感じだが、「千枝たちにも何かできることありませんか」と千枝が自分から声を出す姿には、これまでの経験を通じた成長がはっきりと感じられた。



子どもたちが入ってきたことで、慌てて煙草の火を消す辺りは、部長や次長たちも社会のルールや常識の中で生きているのだなと思う。当然喫煙室からは外に出されるアイドルたちだったが、喫煙室から出てくる子供たちという不思議な光景は、通りすがりの片桐早苗、川島瑞樹、高垣 楓という先輩アイドルの目にも止まった。特に元婦警の早苗にとっては、見過ごせない光景だったことだろう。



与えられないなら、自分たちで作っちゃえばいい!



アイドルを取り巻く大人の事情にも通じた先輩たちにアドバイスをもらううちに、ヒントをくれたのは佐藤 心と安部菜々のしゅがみんコンビだった。会社に頼ってライブをやるのが難しいなら、自分たちで作ってしまえばいい。会社の倉庫にある素材を使って、衣装やセットもできる限り手作りで。会場コストの問題については、配信ライブにすればいいと(おそらく)ありすが提案したのは、いつもタブレットを見てネットに親しんでいる彼女ならではだろう。

みんなでライブを手作りする際の音楽は新曲「ゼロトゥワン!!」!みんなでゼロから夢を形にしていくワクワクが詰まった楽曲の作詞・作編曲を手がけたのは宮崎 誠。「シンデレラガールズ」楽曲では「ハイファイ☆デイズ」などを手がけている作家だ。第3芸能課のアイドルたちが手作りのフライヤーを配り歩く光景の点描のなかで、「シンデレラガールズ」に登場するアイドルたちが多数登場するのは嬉しいファンサービス。



準備を頑張り、レッスンを重ねて、ついに迎えた配信ライブの日。会場は事務所の屋上、特設の観客席で見守るのは準備を手伝ってくれた早苗、瑞樹、楓、心、菜々の先輩アイドルたちだ。配信ライブで披露する楽曲はもちろん「ドレミファクトリー!」。センターポジションは桃華が務める。ようやく9人が並んでライブステージに立つのは感動の光景だ。歌い出しの楽しそうに指揮をとるようなハンドアクションをはじめ、非常にダンスの密度が濃い楽曲だが、アニメーションで表現しきったのはため息がでるほどの完成度。同時にこのライブをレッスンしてきたアイドルたちの努力の日々も伝わってくる。



アイドルたちの努力とプロデューサーの熱意の結晶のライブは、熱量となってネットの海を駆け巡る。そしてその評判と形に残った動画の説得力は、ついに部長職よりも上の面々が揃う会議の流れを動かす。第3芸能課は、ついにデビューに向けて動き出したのだった。



第10話にしてついに初登場した「U149」全体のEDテーマは「グッデイ・グッナイ」。作詞作編曲を手がけたのはヒゲドライバー。「シンデレラガールズ」では「あんきら!?狂騒曲」の強烈すぎる作風が印象に強いが、今回は切ないくらいに優しいこれぞEDテーマという楽曲を持ってきた。精一杯頑張った1日の終わり、千枝の「がんばったね」の言葉が身に染みる。努力を重ね、頑張ったと言い切れる今日。そしてこれからの日々が続いていく今だからこそピッタリとくる「U149」のEDテーマだった。



●作品情報

TV アニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ U149」

原作:バンダイナムコエンターテインメント

原案:「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」 廾之(サイコミ連載)

【スタッフ】

監督:岡本学

副監督:高嶋宏之

シリーズ構成:村山沖

アニメーションキャラクターデザイン:井川典恵

コンセプトアート:大久保錦一

デザインワークス:

野田 猛 小田崎恵子 中村倫子 渡部尭皓 槙田路子

美術設定:曽野由大

高橋武之 金平和茂

美術監督:井上一宏

色彩設計:土居真紀子

3DCG:石川寛貢 榊正宗 神谷宣幸

撮影監督:関谷能弘

編集:三嶋章紀

音響監督:岡本学

音楽:宮崎誠 川田瑠夏 睦月周平

音楽制作:日本コロムビア

アニメーション制作:CygamesPictures

【キャスト】

橘ありす:佐藤亜美菜

櫻井桃華:照井春佳

赤城みりあ :黒沢ともよ

的場梨沙:集貝はな

結城晴:小市眞琴

佐々木千枝:今井麻夏

龍崎薫:春瀬なつみ

市原仁奈:久野美咲

古賀小春:小森結梨

プロデューサー:米内佑希

©Bandai Namco Entertainment Inc. /PROJECT U149

関連リンク



TV アニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』

公式HP

https://cinderella-u149-anime.idolmaster-official.jp/

公式Twitter

https://twitter.com/u149_anime