米オラクルはこのほど、クラウドデータベースサービス「Oracle Autonomous Data Warehouse」の新機能を発表した。同サービスは、分析エンジンと最適化されたデータ・ストアの両面において、データ・レイクハウスの中心的な役割を果たす。

米オラクル Data Warehouse & Autonomous Database担当 プロダクト・マネジメント バイスプレジデント ジョージ・ランプキン氏は、主要な新機能として、「マルチクラウド機能の拡張」「ストレージコストの最適化」「データ統合とデータ分析の簡素化」「オープンなデータ共有」の4点を挙げた。

米オラクル Data Warehouse & Autonomous Database担当 プロダクト・マネジメント バイスプレジデント ジョージ・ランプキン氏

マルチクラウド機能の拡張

ランプキン氏は、「企業は複数のクラウドにまたがるシステムを使う必要があることから、あらゆる場所のデータソースを取得して、Autonomous Data Warehouseで使うようになると見ている。そのため、数年前からさまざまなデータレイクと連携しているが、今回、対応するデータレイクの種類が増えた」と説明した。

今回、Microsoft Teams、Apache Iceberg、Google BigQuery、AWS Glueなどの接続が可能になった。

「Autonomous Data Warehouse」で接続が可能になったサービス

ランプキン氏は、マルチクラウド対応について、「競合のマルチクラウドのデータウェアハウスの場合、例えば、AWS、Azure、Google CloudそれぞれにSnowflakeが動いている。これに対し、Autonomous Data Warehouseはデータが統合されており、各クラウドサービスは同一のデータレイクからデータを取得することになる」と語っていた。

ストレージコストの最適化

続いて、ランプキン氏はアーキテクチャとストレージの観点から、「Autonomous Data Warehouse」はコスト効率が高いと説明した。Oracle Cloud Infrastructure(OCI)でクラウドベースのデータレイクを利用する場合、データレイクに対し、さまざまなツールとエンジンを使うことができるオープン性がメリットとなる。

これに対し、データレイクとしてAutonomous Data Warehouseを利用する場合、すべてのデータが統合管理されており、機械学習をはじめとしたデータ分析に必要な機能が使えるようになる。

「Autonomous Data Warehouse」によって実現されるデータレイクのアーキテクチャ

また今回、Exadataストレージのコストが75%以上削減され、オブジェクト・ストレージのコストと同等にすると同時に、クエリ性能も最大で20倍高速化された。

データ統合とデータ分析の簡素化

新しいUIコンポーネントとして、ローコードベースの「Oracle Autonomous Database Data Studio」がリリースされた。同製品は、データをロード、変換、分析できる直感的なセルフサービス・クラウド・コンソールを提供する。

加えて、すでに提供されているMicrosoft Excelアドインに加え、Google Sheets アドオンが追加されたほか、データ変換のためのコネクタが100以上組み込まれた。「Autonomous Data Warehouseの差別化のポイントはデータ分析に必要な機能がすべてビルトインされており、他社やパートナーと組んで機能を作りこむ必要がない」(ランプキン氏)

オープンなデータ共有

昨今、企業でデータを活用する上で、社外のデータを活用する機運が高まっている。例えば、データクラウドを展開するSnowflakeは同社のインフラに保存されているデータを複数企業で共有することを訴求している。

こうしたSnowflakeを活用したデータ共有に対し、オラクルはオープンなデータ共有をアピールする。Autonomous Data Warehouseはデータ共有のためのオープンソースのプロトコルであるDelta Sharingを実装することで、同プロトコルをサポートするアプリケーションやサービスとデータ共有が可能になっている。

「Delta SharingはDatabricksが作ったオープンソースのプロトコル。世界中のシステムがこのプロトコルに対応している」(ランプキン氏)

ランプキン氏は、「Snowflakeのデータ共有は、同社の環境に保存されているデータ同士のみとなるが、われわれのデータ共有はオープンかつセキュアな形でできる」と、Autonomous Data Warehouseによるデータ共有のメリットを強調した。