●人見知りだった自分が「初めてお会いする方ともお話しするように」

日本テレビ系ドラマ『Dr.チョコレート』(毎週土曜22:00〜)に大手新聞社のエース記者・奥泉渚役として出演する西野七瀬。10歳の天才外科医・Dr.チョコレート(白山乃愛)の正体を追う中で出会ったDr.チョコレートの代理人・Teacher(坂口健太郎)に心惹かれていくという役柄だ。そんな今作に臨む中で意識していることや、共演者たちの印象などを聞いた――。

西野七瀬 撮影:蔦野裕

○■10歳の外科医役に驚き「もうそんな言葉を知ってるんだ!」

――10歳の天才外科医の少女・Dr.チョコレート(白山乃愛)が活躍するというストーリーですが、最初に脚本を読んだ感想は?

10歳の闇医者が主人公なので、「大人の手じゃないのに手術の器具とか物理的に問題ないのかな。子ども用の小さめの器具ってあるのかな?」というところがすごく気になっていました(笑)。でも、乃愛ちゃんの手を見たら、指が長くて大人っぽい手をしていたので問題なくできるのかもしれません。

乃愛ちゃんは、セリフはもちろん、動きを覚えてかなり練習してから現場に入っていると話していて、「撮影が長時間で大変そうなのに、10歳にして本当にすごいなあ」と驚いています。

――白山さんとはよくお話ししているのでしょうか。

撮影が一緒のときは他愛ない話をよくしています。私の身近に10歳くらいの子がいなくて、そのくらいの年齢のときに自分がどんな感じだったか覚えていないのですが、「もうそんな言葉を知ってるんだ!」と思ったり、逆に子どもらしいところもあって、まだ習っていない漢字もあるようです。「この言葉はどういう意味?」と乃愛ちゃんに聞かれて、坂口(健太郎)さんと「こういう意味だよ」と教えたりすることもあります。

乃愛ちゃんの撮影のときは「このセリフをどういうふうに言うんだろう」と思ってつい見てしまいます。子役の方とあまり共演したことがないので毎回の撮影が新鮮です。お芝居の経験は今作が初めてと聞いていたのですが、こんなに小さな頃から現場の専門的な用語や撮影の流れをしっかり覚えていて、落ち着いてお芝居をされていてすごいと思います。自分も初心に返りますね。

白山乃愛 (C)NTV

○■あまりたくさん恋愛をしてきたようには感じない

――西野さんが演じる奥泉渚は、Dr.チョコレートの正体を追う新聞記者ですが、どんな人物なのでしょうか?

奥泉は新聞社のエース記者として、いろいろな事件の真相を暴いたり活躍してきた人です。台本を読んでいく中で、「きっと人付き合いが得意で、積極的に人との距離を詰められる人だから記者としてすごい活躍ができるんだろうな」と感じました。私自身、元々は人見知りでしたが、今は初めてお会いする方ともお話ししたりするようになったと思います。

奥泉は新聞記者としていつも事件について考えて行動したり、“仕事人間”なところがあるので、「ちゃんと休めているのかな?」と思ったりします。でも、そうやって特ダネを取るために事件に一直線で、前のめりになるのが奥泉のスタイルなのかな。私は奥泉とは対照的で、少しリラックスの時間が欲しいなと思うタイプです。

――役柄を演じる上で、どんなことを意識していますか?

奥泉は、ただ人付き合いが上手いだけではなく、記者として聞き出したいことについて少しカマをかけてみたりすることがあるので、無理しているように見えないように、余裕がある感じで振る舞うようにしています。早口でしゃべろうとせず、あまり間を恐れずに演じるほうが余裕があるように見えるのかなと思っています。

それと、仕事熱心だけど、あまり堅苦しい性格ではなくて、ひょうひょうとしている印象があります。だからこそ、作品の中で予想外のことが起きたときに気持ちが揺さぶられるのだと思います。



――奥泉のファッションはどんなスタイルなのでしょうか?

「新聞記者といえばジャケット着用なのかな?」と思っていたのですが、意外にカジュアルで自由な服装なんです。基本的には動きやすいようパンツスタイルで、黒を基調に透け感のあるものや、スニーカーを履くことが多く、衣装もかわいいので、そこも見ていただきたいポイントです。

――奥泉は取材対象としてTeacher(坂口)に近づいていきます。Teacherに対する感情はどう変化していくのでしょうか?

べースは記者と取材対象者だけど、Teacherの人柄がどんどん気になっていくのだと思います。奥泉はあまりたくさん恋愛をしてきたようには感じないので、本人も自分の気持ちに「あれ? 気になってきちゃってるな、私」と、少し戸惑いや葛藤を感じているのかもしれません。

●ずっと冗談を言ってる坂口健太郎は「おちゃめな方」

坂口健太郎 (C)NTV

――共演シーンの多い坂口健太郎さんは、撮影現場ではどんな印象ですか?

共演する前のイメージとは全然違ってずっと冗談をおっしゃっていて、普通に雑談することのほうが少ないんです(笑)。おちゃめな方だなと思いました。基本的にずっと助監督の方や乃愛ちゃんとおふざけしているので、私はそれを見守っています。

――奥泉は情報収集のために、城南警察署の刑事・与田太一を演じる平子祐希さん(アルコ&ピース)に、石川恋さん、青木瞭さんたちとの掛け合いのシーンが多いですが、平子さんの印象はいかがですか?

芸人さんなので、普段の会話からツッコミを入れたりしていて、撮影の合間におしゃべりしているとすごく面白いです。Teacherと一緒にいるときとは少し違って、与田刑事の懐に入るというか、少し手の平で転がしている感じがあるかもしれません。奥泉と与田刑事の息ぴったりなやり取りがあるのですが、その中にも奥泉流の“聞き出し術”がある感じがします。

平子祐希(左)と西野七瀬 (C)NTV

――では最後に、ドラマの今後の見どころを教えてください。

10歳の闇医者の少女がどうなっていくのか。大人のお医者さんでも難しい手術を10歳の子がやるという普通ではないオペシーンがあるので、見ていただきたいと思います。Dr.チョコレートが率いる医療集団「チョコレートカンパニー」にも個性豊かなメンバーがそろっているのも見どころです。

奥泉の最大の目的はDr.チョコレートの正体を暴くことなので、そのためにTeacherに協力しながら動いていきます。Teacherと奥泉の関係性が、新聞記者と取材対象者からどう変わっていくのかにも注目していただけたらうれしいです。













●西野七瀬1994年生まれ、大阪府出身。11年に乃木坂46の1期生としてデビューし、18年12月にグループを卒業。その後女優としてドラマ『あなたの番です』(日本テレビ)、『言霊荘』(テレビ朝日)、『恋なんて、本気でやってどうするの?』(カンテレ)、映画『恋は光』、『シン・仮面ライダー』などに出演。22年には、映画『孤狼の血 LEVEL2』で、第45回日本アカデミー賞 優秀助演女優賞・新人俳優賞を受賞した。

都田ミツコ とだみつこ 1982年生まれ。編集者・ライター。編集プロダクションでの勤務を経て、フリーランスに。 この著者の記事一覧はこちら