知事選で当選確実となるも、硬い表情の黒岩祐治氏(写真・時事通信)

 4月9日投開票の神奈川県知事選から一夜明けた10日、4選を果たした黒岩祐治氏が県庁で記者会見を開いた。そのなかで取り上げられたのが約21万票にもなった白票・無効票である。

 前回に比べて12万票も増え、倍率にして2.3倍、投票総数の6.91%を占めるという驚くべき結果となった。

 知事は「まさに私に対する批判の票だったと、しっかり受け止めておきたい」と神妙な表情で語り、さらに「失われた信頼を取り戻すため、全力をあげて県政運営にあたり、仕事でお返ししたい」と付け加えた。

「投票日の直前である5日、『文春オンライン』が黒岩氏の “11年不倫” を証拠メールとともに報じました。知事になる前のフジテレビのキャスター時代、黒岩氏は女性と長期にわたって不倫を続け、相手に《本番前のホンバン?バッカァ〜!!生放送前のナマだよ〜!!》《チョー下品なメニューしか想像できないよ〜ん》などのメールを送っていたことが明かされました」(週刊誌記者)

 報道を受け、黒岩氏は即座にブログを更新し、

《12年前、急に立候補することとなった際、関係を清算しなくてはと、相手の女性と話し合いをいたしました。その後、女性は私の妻に手紙を送ってこられ、妻をも大変傷つけることとなりました。改めて相手の女性にお詫びしますとともに、自分の行いについて深く反省しております。》

 と謝罪。結果的に圧倒的な票数で当選したが、多くの県民から反感を買っていることは間違いない。

 県庁詰め記者がこう明かす。

「知事は今日(11日)も登庁して執務をしていますが、やつれて笑顔はまったくありません。周囲もなんだかピリピリしていて、冗談のひとつも言えない雰囲気です」

 県民から多くの苦情が寄せられていることは容易に想像できるが、実際はどうなのか。神奈川県庁知事室に話を聞くと、沈んだ声でこう話す。

「たくさんのお電話、メールをいただいています。今、こうしてお話をしている間にも……。全体数ですか? 申し訳ございませんが、まだ把握できる状況ではありません。内容の多くは『辞職を求める』などのご批判です」

 政治アナリストの伊藤惇夫氏は「神奈川の悲劇でしたね」と振り返る。

「黒岩氏が圧倒的な強さだったので、どこも対抗馬を立てなかったわけですが、もし有力な対抗馬がいたらどうなっていたか。

 黒岩氏がテレビ局に勤務している時代、一緒に仕事をしたことがあるんですが、およそ今回の問題とは無縁な印象でした。酒はビールを少し飲むだけ。とても真面目でしたね。だからエロメールでそのイメージがぶち壊された感じです(苦笑)。

 今後、県議会が始まったら野党から徹底的に質問されるでしょうね。県民の信頼を失ったわけですから、新しい政策だって打ち出せないと思いますよ。辞職もいつまでも迫られるでしょう」

 今後も針のむしろ状態は続きそうだ。