ダイソンから、コードレスクリーナーの新製品「Dyson V12 Detect Slim Absolute」、「Dyson Micro HEPA Plus」、「Dyson Micro Plus」が発売されました。いずれも現行のクリーナーシリーズをベースとしつつ、新開発のクリーナーヘッド「Fluffy Optic クリーナーヘッド」を採用しています。新製品の発表会で実機を試用してきました。

左から、「Dyson Micro Plus」と「Dyson Micro HEPA Plus」(直販価格:各76,560円)、「Dyson V12 Detect Slim Absolute」(直販価格:110,000円)

新モデルで新しくなった「ヘッド」と「排気フィルター」

○新製品のベースとなった人気モデルの特徴をおさらい

今回は3つの新モデルが登場。まず「Dyson V12 Detect Slim Absolute」は、ダイソンが2021年から発売している「Dyson V12 Detect Slim」をベースとした製品です。

よりパワフルな吸引力を持つ「V15」シリーズもありますが、V12 Detect Slimシリーズは「Micro」シリーズよりも50%強力な吸引力を搭載しながら、本体の重さはヘッド込みで2kg以下。この掃除力と軽量な使い勝手のバランスの良さで人気があります。新モデルは、Dyson V12 Detect Slimのヘッドに新しい「Fluffy Opticクリーナーヘッド」を採用したことに加えて、排気フィルターがHEPAフィルターになりました。

新しくなった「Dyson V12 Detect Slim Absolute」を試すマイナビニュース +Digitalの林編集長

ヘッドが新方式になったことで、従来はヘッド込みで1.9kgだった重さが2.2kgと少々重くなりました

一方の「Dyson Micro HEPA Plus」と「Dyson Micro Plus」は、ダイソンが2020年に発売した「Dyson Micro 1.5kg」をベースとした製品です。

このシリーズの特徴は、名前の通りヘッド込みで1.5kgというダイソン史上で一番の軽いこと。新モデルの「Dyson Micro Plus」は、Micro 1.5kgの本体に先述のFluffy Opticクリーナーヘッドを組み合わせています。また、「Dyson Micro HEPA Plus」はFluffy Opticクリーナーヘッドとともに、排気フィルターをHEPAフィルターとしました。

ベースの製品名称には「1.5kg」とありましたが、新モデルはヘッドが重くなったためトータルで「1.54kg」と少々増量しています。なお、ベースとなった従来モデルも「Dyson Micro Origin」という名称で継続販売です。

「Dyson Micro HEPA Plus」(写真右)と「Dyson Micro Plus」(写真左)。「Dyson Micro HEPA Plus」はダイソンの直販限定モデルとなります

○同じ「緑の光」だけど、床のゴミの可視率は2倍に!

新しい3モデルに共通するのは、Fluffy Opticクリーナーヘッドです。先端が光るこのヘッド、見えない細かなゴミまで可視化する「緑色の光」が特徴です。同様のライトは従来のV12 Detect Slimにも搭載されていましたが、新ヘッドはこの可視化機能をさらに強化しています。



密度の高い柔らかなFluffyブラシに、新しいゴミ可視化用ライトを搭載したFluffy Opticクリーナーヘッド。ブラシ性能は従来のLaser Slim Fluffyクリーナーヘッドと同じ

従来モデルの「Laser Slim Fluffy クリーナーヘッド」とのもっとも大きな違いは光源です。

従来は「緑の光」にレーザーを利用していましたが、新ヘッドは光源をLEDに変更しています。明るさなども調整することによって、ゴミが見える距離を従来のヘッド前方約20cmから約30cmへと伸ばしました。しかも、これまでのレーザーヘッドと比べて、ゴミが2倍ほど見えやすくなっているとのこと。

新型のFluffy Opticクリーナーヘッド(写真左)と、従来のLaser Slim Fluffyクリーナーヘッド(写真右)を使ったゴミの照らし方比較。新ヘッドのほうが広い範囲をクッキリと浮かび上がらせていますね

ゴミを見えやすくする「緑の光」を照射する掃除機は他社にもありますが、一般的な「緑の光」はゴミを上のほうから照らします。一方、ダイソンはライトを「地面から7.3mm」という、かなり低い位置から照射。低い位置からゴミに光を当てることで、ゴミに影をつけて効果的に浮かび上がらせているそうです。

旧Laser Slim Fluffyクリーナーヘッド(写真左)と、新Fluffy Opticクリーナーヘッド(写真右)のレンズ。新旧ともに地面から7.3mmの位置にライトを配置

旧Laser Slim Fluffyクリーナーヘッド(写真左)と、新Fluffy Opticクリーナーヘッド(写真右)で照射しているところを前から確認。ライトがほぼ同じ位置にあるのがわかりますね

○0.1ミクロンのウイルスレベルのゴミを99.9%閉じ込める

新モデルのうち、「Dyson V12 Detect Slim Absolute」と「Dyson Micro HEPA Plus」は、排気フィルターがHEPAフィルターへとパワーアップしています。HEPAフィルターは0.1μmというウイルスレベルのゴミも99.9%捕集。従来モデルも0.3μmのゴミを99.97%捕集できる高い性能を備えていましたが、より高性能になりました。

新しい「HEPAフィルター」

HEPAフィルター搭載の新モデルを手にする林編集長。向かって右が「Dyson V12 Detect Slim Absolute」、左が「Dyson Micro HEPA Plus」です。紫色だった旧フィルターに対し、新フィルターは緑色。フィルター部のカラーによって、どのフィルターを利用しているか一目でわかるようになっています

ダイソンの掃除機カテゴリーエンジニアであるケント・ビーン・リー氏によると、0.1μmというのはウイルスと同くらいのサイズ。ダイソンの研究によると、健康を害する原因となるウイルスやカビは、ホコリをはじめとしたゴミの中に隠れているそうです。

しかも、ウイルスはゴミの中でも2〜3日間も生存していることが珍しくありません。捕集性能と排気性能が低いフィルターを使用した掃除機だと、排気とともにウイルスが飛び散る可能性があるんだとか。

オンラインで発表会に参加した、ダイソンの掃除機カテゴリー リード セパレーション システム エンジニア、ケント・ビーン・リー氏

会場にあったゴミサイズの比較模型。林編集長の後ろにある巨大な黒い円形を髪の毛(!)の断面サイズとした場合、ウイルスは手に持った棒の先(赤い矢印)にある小さな球くらいのサイズしかありません。ウイルスがいかに小さいか、実感できるでしょうか

排気のキレイさを計測するデモンストレーション。座布団をパタパタと叩いてホコリの量を計測すると、数値は「222(マイクログラム/立方メートル)」

続いて、床にゴミをまいてDyson V12 Detect Slim Absoluteで吸いつつ、Dyson V12 Detect Slim Absoluteの排気に含まれるホコリの量を計測

数値は「18」と表示されました。Dyson V12 Detect Slim Absoluteの排気には、微粒子がほとんど含まれていません

ケント氏は「ホコリの中にウイルスなどが隠れているため、家の掃除というのは健康を維持するのに重要なファクター」と語ります。

さらにダイソンの調査においては、掃除のきっかけを「ホコリや汚れに気づいたから」と72%の人が回答したといいます。つまりゴミを見える化することは、頻繁に掃除をするきっかけを作り、頻繁な掃除は健康維持に良い影響を与えるというわけです。今回の新モデルに搭載された可視化技術は、この「掃除きっかけ」として最適ではないかとケント氏はコメントしています。

V12 Detect Slimには、捕集したゴミの量をサイズ別に視覚化する「ピエゾセンサー」も搭載しています。これもゴミの「見える化」のひとつ

倉本春 くらもとはる 生活家電や美容家電、IoTガジェットなど、生活を便利にする製品が大好きな家電ライター。家電などを活用して、いかに生活の質をあげつつ、家事の手間をなくすかを研究するのが現在最大のテーマ。 この著者の記事一覧はこちら