5代目プリウス「月額課金」で乗る独自仕様の正体
トヨタのサブスクサービスKINTOでしか乗れない、プリウスUグレード
「納車待ち1年半」などと言われるトヨタ自動車の新型「プリウス」。大胆なデザインや先進的な機能などが注目されている5代目モデルにいま、1カ月半から2カ月だけ待てば乗れる方法がある。それはトヨタのサブスクサービス「KINTO」を利用した場合だ。
なんだか宣伝っぽくなってしまって、記事化するのに気後れするのだけれど、トヨタがいま力を入れているこのサービスがなかなかおもしろい。
とくに「KINTO Unlimited(キント・アンリミテッド)」を使ってプリウスUグレードを契約すると、納車待ち期間がぐっと短縮されるのだ。
人気の新型プリウス導入のタイミングで、ちょっとお得感のある月額課金・定額制のサブスクサービスを導入するあたり、商売上手な印象だ。
サブスクは、いま世界的に自動車メーカーが考えているマーケティングプランだ。VWやミニといったブランドも、若い層にアピールするには、販売よりもサブスクのほうが実効性はあるとしている。
ソフトウェアのアップグレードができる
「KINTO Unlimitedは従来続いているKINTO ONEの進化形。独自の生産枠を確保しているので納期が短く、どこのトヨタ車の販売店でも扱っています」
わかりやすくKINTOのメリットを説明してほしい、という私の依頼に対する、株式会社KINTOマーケティング企画部の高橋康治主管による返答だ。
「KINTO Unlimitedでプリウスを扱うのは、“アップグレードレディ設計”ゆえです。オーバー・ジ・エア(Wi-Fi)でソフトウェア(の一部)のアップグレードができるので、車両価値が落ちないんです」
KINTOで扱うこのサービスのメリットを4つあげる。
1つは、上記のように安全装備の機能などをオーバー・ジ・エアでアップグレードできること。
2番目は、ハードウェアのアップグレード。「これまで新車注文時にしか装着できなかった機能を後から追加できます」(高橋主管)というように、一部の安全機能の追加が可能なのだ。
たとえば、ブラインドスポットモニター、パノラミックビューモニター、それにステアリングヒーター。KINTOで扱うプリウスUグレードの設計ゆえだ。
3番目は、コネクテッドドライブレコーダーの搭載。走行データをもとに、運転の特徴などを診断。「より安全に運転できるようにアドバイス」が受けられるという。
4番目はコネクテッドカーケア。クルマの使用状況に合わせて「最適なタイミングで」入庫の案内がされるそうだ。
プリウスUグレードの特徴は、1.8リッターのハイブリッドパワートレイン。新型プリウスが2リッターの新エンジンをメインにしているのに対して、1.8リッターを唯一使うモデルだ(タクシー用「X」グレードを除く)。
KINTOでしか乗れない「U」に乗ってみた
KINTOでしか乗れないプリウスUグレードってどんなクルマだろう。私は試乗もしてみた。
「Z」とか「G」グレードは、112kWの最高出力と188N・mの最大トルクをもつ1986ccのエンジンと、206N・mの最大トルクをもつモーターを搭載。
「U」グレードのエンジンは1797ccで、72kWと142N・m。組み合わされるモーターの最大トルクは185N・mとやや控えめだ。先代のモータートルクは163N・mなので少し上がっている。
2リッターに比べると、数値でやや劣るものの、市街地で乗ったときに体感的には不足感はほとんどない。
走り出しは、従来のプリウスと同様、モーターのトルクを使って力強く加速する。エンジンが始動してからは、加速の伸び感に、2リッター車と1.8リッター車ではちょっとちがいを感じる。
ノア/ヴォクシーにも搭載の1.8リッターハイブリッドユニット。非力ではないが、トルク感があって、しかもサウンドもなかなかよい2リッターのほうがクルマ好きへのアピール度が高いのは事実。
1.8リッターはしかも、高速領域はそんなに得意でない印象で、加速も頭打ち感のようなものがある。それでも、市街地とかその周辺で乗るには、まったく問題ない。
燃費も、2リッター車がリッター当たり28.6キロ(WLTC)であるのに対して、1.8リッター車は32.6キロ。排気量を抑えたぶん、見返りがちゃんとある。
感心するのは、足まわりの設定だ。乗り心地が快適なのが印象に残る。シート表皮がファブリックしか選べないものの、逆に、よくたわんでくれて、乗り心地のよさに貢献しているかもしれない。
シャシーの素性のよさは、1.8リッターでも、2リッターの「Z」とか「G」と変わらない。そのため、ステアリングホイールを切ったときの動きなどは、すなおで、先代とは明らかに一線を画す。
5年ならボーナスなしで月額4万6350円
「U 」グレードのインテリアは合成樹脂に囲まれていて、まあ、“味”は薄いけれど、割り切れれば問題ないはず。
KINTO Unlimitedのサブスクでは、前輪駆動モデルで、5年契約、ボーナス月加算なしで月額4万6350円。7年にすると月額4万4110円だ。ボーナスを併用すると、月額1万6610円のプランまである。
この料金には、自動車保険や自動車税、車検やメンテナンス費用や消耗品交換費用も含まれている。
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KINTO ONEで2リッターエンジンのパワフルなプリウス「G」を契約すると、5年のボーナス併用なしで月額6万3250円と、2万円ちかく高くなる。
ただし(というか)KINTOを使うには「喫煙」「車両の改造」「競技走行」は不可。そこまではいいとして、「ペットの乗車」も認められていないのがハードルと感じるひともいそう。
申込金として24万円少々払うと、月額4万4440円(Uグレード前輪駆動)で乗れていつでも解約できる「解約金フリープラン」なるものもある。これも意外に使い勝手がいいかもしれない。
(小川 フミオ : モータージャーナリスト)