歌、声、ダンス、表現者としての佐久間貴生が込められた1枚に――『氷属性男子』オープニングテーマ「FROZEN MIDNIGHT」リリースインタビュー
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佐久間貴生の4枚⽬のシングルは、TVアニメ『氷属性男子とクールな同僚女子』の幕開けを彩る「FROZEN MIDNIGHT」をタイトルに、同作のメインテーマでもあるBGMを元に制作された「Joyride」もリリースされる。
2021年1月にTVアニメ『スケートリーディング☆スターズ』のOP主題歌「Chase the core」を表題曲としたシングルでソロアーティストデビューした佐久間。爽やかで力強い歌声とダンスを武器に、ダンサブルな楽曲を送り出す一方で、声優、舞台役者としても活躍している。「FROZEN MIDNIGHT」は、彼の培ってきた豊かな感性が輝いた、甘く切ないウィンターバラードとなった。
表現者としてやれることを増やしたい
――まず、2020年にソロデビューして以降の気持ちの変化や、アーティストとしての気づきなどについてお伺いできればと思うのですが、いかがでしょうか。
佐久間貴生 ソロでデビューして、バンドからソロになって、より色々と考えることが増えましたね。声優にもチャレンジしたり、ソロでダンスをやったり……そのなかで色々な方と出会い「柔軟になったなぁ」と。
――具体的に、例えばどんな方たちから影響を受けられたのでしょうか？
佐久間 声優として出演させていただいた作品に『フットサルボーイズ!!!!!』（昂 守希役）があるのですが、出演者の皆さんは声優だけではなく舞台俳優やアイドルなど、色々な場所で活動をされているんですよね。そういう方たちとお仕事をさせてもらったのがすごく楽しかったんです。ソロでは表現者として、もっとやれることを増やそうと思っていて。自分の中で良い刺激になりました。
――昨年は舞台にも出演されつつ、朗読劇「グーとパーでチョキを出す2022」にて、朗読劇初出演・初主演をされました。そういった方々からの影響もあったんですか？
佐久間 元々ソロデビューするにあたっては声優としても活動したいという想いがありました。そこからお芝居を勉強するようになったんです。朗読劇に関しては、お芝居をもっと突き詰めたいなと思っていました。ただ、やはり自分の根本となるのは歌で、ずっと歌っていきたいなと思ってはいるのですが、お芝居が歌にも活きているなという感覚があります。逆に、歌をやっていたからこそできるお芝居もあるなと思っていますね。
――バンドはバンドの良さがありますけど、ソロはダイレクトにご自身の経験が反映されるから、そこも面白いところですよね。
佐久間 そうですね。そういう発見が今は楽しいです。
素直になれない、片思いを描いた曲
――ではTVアニメ『氷属性男子とクールな同僚女子』（以下、『氷属性男子』）のOPテーマを担当することが決まったときの心境や、作品のイメージなどを教えてください。
佐久間 『氷属性男子』のOPテーマを歌わせていただけると聞き、そこから作品を読み始めたのですが、すごく面白くて、あっという間に読み終わってしまいました（笑）。ガラッとした大きな変化があるわけではなく、穏やかな時間が流れているからこそ、ずっと見続けてられる。読んでいて疲れないんですよね。ずっと面白いし、胸がキュンとする。絵も本当に素敵で、惹き込まれました。一方で、伝説的な生き物の末裔という設定が面白くて。
――ありそうでない設定ですよね。
佐久間 そうなんですよ。しかもそこが物語にとって重要なのかなと思いきや、会社で働いている人たちが共感できるようなストーリーになっていて。大人になっても青春ってあるんだなと感じました。
――冬月さん、氷室くんの性格に感情移入される方も多いんじゃないかなと思います。内側の声も含めて（笑）。
佐久間 青春とは言いましたけど、登場人物が大人なので、感情を表には出せない場面があるんですよね。例えば主人公の氷室くんは、内面は騒がしいのに、表面上はクール。でもそこを出さずに、大人として接するシーンは共感するところがありました。例えば仕事の中でテンションが上がる瞬間があるんですけど、それを表に出してしまうと「うるさいな」と思われるだろうから、抑えつつ……とは言え、自分は表に出てしまうタイプなんですが（笑）。
――隠せない性格なのですね（笑）。
佐久間 なるべく抑えようとは思っていますが（笑）。とにかく大好きな作品ですね。アニメ放送が始まってからもずっと見ているのですが、より好きになりました。
――先ほどずっと見続けられるというお話がありましたが、「FROZEN MIDNIGHT」も穏やかな気持ちで聴ける曲だなと感じています。ある意味OPテーマらしからぬ、優しいミディアムナンバーで。
佐久間 僕自身もオープニングという性質上アップテンポの曲がくるのかなとも思っていたので、楽曲制作を担当されたR・O・Nさんから楽曲をいただいたときは「斬新だな」と。これまではハイトーンで爽やかなものを歌わせていただく機会が多かったので、「FROZEN MIDNIGHT」はあまり歌ったことがない曲調なんですよ。僕にとっては挑戦でもあるので気合いが入りました。その一方で肩の力を入れすぎないように歌いたいなと。曲を聴いたときに、夜の街を想像したんですよね。喧騒から離れた夜の街頭とか。で、実際に公園に行って、その雰囲気を味わってみて。
――へえ！近所の公園ですか？
佐久間 はい、大きな公園があるんです。で、その公園を歌いながら歩いて。まだ寒い時期だったので「どういう雰囲気が良いかな」と考えながら歌っていたのですが、歩きながら歌うと優しい雰囲気が出るなという印象がありました。その雰囲気をレコーディングで出せたらなと。
――たしかに公園の街頭の下のベンチに座ったり、散歩したりすると、優しい気持ちになりますよね。
佐久間 そうなんですよね、落ち着くというか。僕が公園を歩いたのは夜中だったんですけど、結構人が多かったんです。夫婦やカップルの方が歩いていて、それも良いなぁって。普段あまり意識していなかったんですけど、この曲を歌いながら歩いていたら「笑顔溢れる2人の姿って良いなぁ」と思ったりして……学生時代って1人で公園に行くと、不思議とその当時片思いしていた人を思い浮かべたんですよね。公園ってそういう雰囲気があるなあと。この曲はどちらかといえば、素直になれない片思いの曲なので、そういう気持ちを思い出しつつ歌っていったら、すっと自分の中に入り込んでいきました。
――心の中で溶けていったのですね。
佐久間 そうですね。そういう意味で、片思いでも、両思いでも、誰かを好きになる気持ちって素敵だなと思いました。恋愛ではなくても、何かを好きになる気持ちって素敵ですし、好きになることで感情の変化もあると思うんです。その変化をこの楽曲に入れられたらなと思い、それでAメロは地声に近い歌声にして。本当は力を入れて歌うほうが歌としてははっきり聴こえるんですが、優しく歌ったほうが、聴いてくれる人の気持ちに寄り添えるかなと。
――まるで隣にいるかのような、語りかけられているような気持ちになりました。お手紙のような感覚というか。
佐久間 たしかにその感覚に近いかもしれません。「私はこう思ってます！」っていうドーンとした感じよりも、自分の思っている気持ちを綴るというか。
――“三回目のコールを待とう”、ってフレーズにグッとくるものがありました。少しノスタルジックな雰囲気というか……。
佐久間 そうなんですよね！今だからこそ良いフレーズだなと思いました。今の世代の子たちって、コール音ってあんまり意識していないかもしれないな、と。
――通信手段も様々ですし、それこそコール音をカスタマイズされている方もいますしね。
佐久間 そういう意味では、自分は普通の電話のコール音を意識していました。大人の方に、当時の思いや、片思いされていた時期を思い出してもらえたらいいなぁと。個人的に驚いたのは、R・O・Nさんからこの歌詞が出てきたことです（笑）。いつもの曲とは少し違った印象だけど、こういうフレーズもすっと入ってくるところが、R・O・Nさんってすごいなと。歌詞を含めて、人の心に染みわたるような曲になっているなと思います。
この曲を歌ったことで「冬が好きになった」
――ところで制作側からリクエストはあったでしょうか。
佐久間 制作側の方々からも「しっとりとした、トレンド感と懐かしさのある楽曲でお願いします」と言われていました。最近のアニメにはない、新しい試みだなと感じましたし、監督はストーリー的にドラマに近い楽曲が良いのかな、と思っていました。僕自身は作品自体もポップなシーンもありますし、アップテンポでも似合うんじゃないかな？という思いもよぎったのですが、実際にアニメの放送を見たときに「ピッタリだ！」と。
――先ほどもお話にありましたが、OPテーマは疾走感があって、アップテンポで、かつ情報量が詰まっていて、という固定概念があって。だから新鮮でした。
佐久間 自分もです（笑）。その固定概念を打ち破りました。きっと聴いてくださった方も「こういうオープニングもありだな！」と思ってくださったんじゃないかなと。
――行間に音楽の持つ想像力がたっぷりと乗っていて。
佐久間 そうなんですよね。この寒い時期にもピッタリな曲だなと思っています。
――ちなみに佐久間さん自身も冬はお好きですか？
佐久間 僕自身は夏が好きなんです（笑）。冬は苦手だったのですが、でもアニメや曲のおかげなのか、冬が好きになりました。もしかしたら公園で歌ったのが効いているのかもしれませんが、個人的に嬉しい変化です。なんというか、夏って「元気」なイメージなんですよね（笑）。秋からセンチメンタルな部分が見え隠れし始めて、冬はその気持ちに浸るというか……。そういう気持ちの変化って大事だなと思っているんです。今回の楽曲を経て、そういったことにも気付かされました。
――MV撮影はいかがでしたか？
佐久間 楽しかったです。バスをお借りして、バスの中で撮影というのは初めてだったので。しかもそのバスで通った道のりがすごく素敵な景色で。お台場方面だったので、海やイルミネーション、レインボーブリッジが見えるなかで、この曲を表現するってワクワクしましたし、ガッツリ歌うというより、口が軽く動いているような感じで歌いたいなって。また、ヒロイン役として松井りなさんにご出演いただきました。相手がいることによって、より表情の表現が上手くできたなと思っていますし、言葉がなくても、ちょっとした恥ずかしさや想いが伝えられて、自分の中でグッとくるものもありました。今までは荒々しさや激しさ、かっこ良さを意識していたんですけど、自分の中ではきれい、美しい……といった言葉が似合うものになったなと思っています。一番印象的だったのは雪です。雪が降るなかで歌って踊る経験なんて、なかなかできないもので。これもまたきれいだな、と。
――先ほど作品をドラマとおっしゃっていましたけど、このMVも1つのドラマのようだなと。
佐久間 おっしゃるとおりです。ドラマっぽいカメラの撮り方を監督が意識されていました。すごく細かく撮影していたので、スタッフさんは大変だったと思います。それにも関わらず笑顔で撮ってくださり感謝しています。
――佐久間さんのお人柄も大きいのではないでしょうか。
佐久間 どうでしょうか（笑）。でも僕自身もずっと笑顔でしたね。撮影時間は長かったんですけど、僕1人だけ元気で（笑）。でも自分よりも早い時間に入って準備してくださったスタッフさんたちのおかげだと思っています。皆さんのおかげで気を張らずに、自然体で撮影ができました。
結婚した友人にも贈った「Joyride」
――カップリング「Joyride」は『氷属性男⼦』のメインテーマのBGMのフレーズを元に制作された曲です。「FROZEN MIDNIGHT」とはまた違った雰囲気となっていますね。
佐久間 実はBGMを元にして制作するというのは、スタッフさんのアイデアだったんです。そのアイデアを元にR・O・Nさんが制作してくれました。この曲のほうがいわゆるオープニングっぽいイメージですね。『氷属性男子』のイメージにピッタリなので、作品が好きな人にぜひ聴いていただきたいです。また、R・O・Nさんがきっと、僕自身をイメージして作ってくださった曲だとも思っています。だからレコーディングもすごく歌いやすくて。1コーラス歌ったときに、R・O・Nさんも「うん、問題ないね」と（笑）。僕はサビが大好きなんです。特に一行目の“精一杯変わっていく僕たちに優しき祝福を”の部分。実はこの曲を受け取った時期に、友人が結婚して。
――まさに祝福！
佐久間 そうなんです。結婚式で歌いたいなと思っていたんですが、スケジュールが合わずに行けなくて残念でした。「FROZEN MIDNIGHT」はどちらかというと片思いのもどかしさ、それでも伝えたいという勇気を振り絞るような曲なんですけど、「Joyride」は両思いまではいかない、ストレートに気持ちを前向きに伝える曲で。結婚している方やカップルにも聴いてもらいたいなと思っています。もしくは、自分と同じように友人のカップルを思って聴いてもらえると、よりハッピーになれるんじゃないかなと。
――カラーの違う2曲ではあれど、どちらもハートフルな曲ですよね。
佐久間 そう思います。色々な感情の振り幅がある2曲なので、そこをぜひ楽しんでもらいたいなと思っています。
新しい季節に向かって走っていく
――3月12日（日）には“Lantis Release Party 2023 〜Winter〜”の出演も決まっています。Lantisレーベル所属のアーティストの合同リリースイベントという、新しい試みですよね。
佐久間 そうですね。たくさんのアーティストの方々とご一緒できることになりました。久しぶりのライブですし、今回は佐久間貴生が色濃く出るライブになるんじゃないかなと思っています。大先輩方もいらっしゃるので、負けないようなライブができたらなと思っていますし、少しずつライブの制限も緩和されてきているので、ここからライブ活動もまた本格的にできたらなと。
――今年はライブ活動も積極的にされる予定ですか？
佐久間 まだわからないのですが、やっぱりライブが大好きなので、僕自身はぜひやりたいなと思っています。デビュー時期がコロナ禍が始まった時期だったので、なかなかライブができなかったんですよね。我慢の時期だからこそ考えられることもあったので、その期間も今では前向きに捉えています。
――ある意味冬の時代を越えて、新しい季節へと向かっているんですね。まさに本作にもピッタリな気がします。
佐久間 そういう時期があったからこそ「FROZEN MIDNIGHT」をちゃんと歌えたような気がします。今回は、アーティストとしてというより、表現者としての自分が出たように感じていて。ダンスもあり、声の表現もあり。表現者としての佐久間貴生が出たシングルとなりました。
――今までにはない佐久間さんの一面を、ジャケットも含めて知られたような気がします。
佐久間 バンド時代のギラギラ感も、今のスタイルも好きです。これからも新しい一面を出していけるんじゃないかなと思うので、これからが楽しみですね。
――先ほど好きだとおっしゃっていた、夏をテーマにした曲もいつか聴いてみたいです。
佐久間 サマーチューンはいつか歌ってみたいです！
――今年も多忙な1年になりそうですね。
佐久間 忙しいくらいでちょうど良いです（笑）。考えることがたくさんあると前向きになれるんです。1人でぼーっとしているのも好きですけど、動いていると、よりポジティブな発想が浮かんで楽しくて。アーティストとしてだけではなく、舞台や声優としてのお仕事も続けていきたいなと思っています。
●リリース情報
TVアニメ『氷属性男子とクールな同僚女子』オープニングテーマ
佐久間貴生
「FROZEN MIDNIGHT」
2023年2月22日（水）リリース
品番：LACM-24341
価格：￥1,320（税込）
＜収録楽曲＞
1．FROZEN MIDNIGHT
作詞・作曲・編曲：R・O・N
2．Joyride
作詞：R・O・N 作曲：川田瑠夏、R・O・N 編曲：R・O・N
3．FROZEN MIDNIGHT (Instrumental)
4．Joyride (Instrumental)
●イベント情報
Lantis Release Party 2023 〜Winter〜
2023年3月12日（日）
全国アニメイト（通販含む）でCD を購入し、ご応募いただいた方の中から抽選でご招待いたします。
場所：都内某所 ※当選者のみお知らせいたします。
イベント内容：トーク&ライブ
開場/開演時間：14:00/15:00
出演者（五十音順）：ARCANA PROJECT、遠藤正明、佐久間貴生、SCREEN mode、MindaRyn
MC：熊田茜音（オープニングアクト）
※出演者は予告なく変更になる場合がございます。予めご了承ください。
対象店舗：全国アニメイト（通販含む）
申込期限：2023年2月27日（月）23:59まで
※詳細はこちら
佐久間貴生「FROZEN MIDNIGHT」発売記念インターネットサイン会
2023年3月12日（日） 20:00 配信スタート
■イベント内容:オンラインサイン会
■配信URL:YouTubeリミスタ公式チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCQ7QGT_v6Si-2-i0f9mbMBQ
※配信はどなたでもご覧いただけます。
■商品注文受付：https://limista.jp/projects/3647
■販売期間:2023年1月11日(水)〜イベント当日まで
※商品には限定数が設けられております。売り切れ次第、受付終了となります。
※詳細はこちら
関連リンク
佐久間貴生
公式サイト
https://www.lantis.jp/artist/sakumatakao/
公式Twitter
https://twitter.com/Takao_Sakuma811
