フレンチのシェフから家政婦に転身し、その気軽でおいしいレシピが大人気のタサン志麻さん。

そんな志麻さんが、「これだけは覚えておいてほしい」という志麻流“おいしい”をつくる20のルールを、レシピと一緒に丁寧に紹介している『志麻さんのベストおかず 料理のきほん編』が話題です。今回は、そのなかからおすすめの3品とおいしくつくるためのちょっとしたコツを教えてもらいました。

タサン志麻さんがおすすめする調理法。肉をおいしく焼くコツは…

「私は調理師という仕事を長い間やっていましたが、料理をレシピで覚えたことはあまりありません」と話す志麻さん。その理由を聞いてみると、こんな答えが。

「レシピは単なるつくり方や分量の目安であって、たとえそのとおりにつくっても、10 人がつくれば違う味の10皿が出来上がるはずです。料理の正解はレシピどおりにつくれるかではなく、レシピをもとに自分や家族好みにつくれるかだと思います」

そのためには、五感を使って、自分の頭で考えて、料理をつくることが大切なんだとか。

「たとえばレシピに『弱火で5 分焼く』と書いてあった場合、目で見て火の強さを確認しますが、パチパチという音を聞いて火の強さを知る、においをかいで焦げていないか確認する、触ってみて肉の弾力で火のとおり加減を判断することもできます。弱火で焼くのはなんのためなのか、どういう状態になるまで焼けばよいのかということを頭で考えて理解できれば、本当はレシピなんてそんなに必要ではなくなります」

そんな風に、日々の料理をよりおいしく、そして自分らしく楽しむために覚えておきたいコツを、おすすめの料理と一緒に教えてもらいました。

●たっぷりの油でじっくり煮込む「鶏肉のコンフィ」

塩、コショウで下味をつけた手羽先を、ひたひたまで注いだサラダ油でニンニク、ローリエ、タイムと一緒に煮込んだ「鶏肉のコンフィ」。最初は強火で、パチパチと反応が出始めたらごく弱火にするのがポイントです。仕上げにフライパンで焼き色をつければ完成。

「たっぷりの油でじっくり煮込むコンフィは、日本にはない調理法。揚げ物との違いは火加減にあって、たとえるなら油で“ 煮る” 感覚。うま味が凝縮されて、焼くだけではないおいしさが出ますよ」

●オーブンで簡単!「サーモンのベーコン巻きロースト」

忙しい日には決まってオーブン料理にしているという志麻さん。素材を切って下味をつけ、入れるだけで完成するのがオーブンの長所。同じ“ 焼く” でも、直火を当てるフライパンより、肉も魚もやわらかに。オーブンなら全体にじんわりと熱が伝わるので、しっとり焼き上がるんです。

こちらは、塩、コショウで下味をつけたサーモンをベーコンで巻き、野菜と一緒に200℃に熱したオーブンで焼く「サーモンのベーコン巻きロースト」。焼く前に全体にオリーブオイルを回しかけます。

「魚にベーコンを巻くのは日本人にない発想ですが、フランスではよくつくります。オーブン料理は、ボタンを押すだけで簡単においしいものができて、じつはとてもラクなんです。塩、コショウとオイルだけでも十分おいしいのもうれしいところ。もっとみなさんにオーブンを使ってほしいなと思っています」

●「ステーキ」はあまり触らず焼き目をしっかりつけて

ただ焼くだけ、と思いがちなステーキにもポイントがたくさん。「焼き目は、料理をおいしくするもうひとつの調味料」と志麻さんは話します。

焼き目は、素材の内部から流れ出たうま味を含んだ水分が、焼けることでかさぶた状態になっているもので、上手につけるには放っておくのがいちばんなんだとか。

「ステーキを焼くときに触りたがる人も多いですが、あまり触らない方がいいんです。
スーパーで売っている肉をおいしく焼けるか焼けないかは、焼き方で変わってきます。どういう仕組みでおいしさができるのかを知ってほしいなと思います」

常温に戻して塩、コショウでしっかりめに下味をつけた牛肉をフライパンで焼く際に、フライ返しで肉が反らないように押さえて。肉は入れた瞬間にいちばん縮むので、ヘラで押さえることでまんべんなく焼き色がつきます。

全面に焦げ目がついたら裏返し、さらに押さえて強火で焼きます。取り出してアルミ箔に包み、5分ほどおいて肉汁を落ち着かせるのもポイント。

『志麻さんのベストおかず 料理のきほん編』に加えて、志麻さんのライフスタイルマガジン『à table SHIMA vol.03 冬号』でも、タサン家のごちそうレシピをたっぷり掲載しています。冬を楽しむ特集が盛りだくさん。ぜひどちらもチェックしてみてくださいね。