映画デートの予定だったのに、彼女が来てくれなかった…。女が予定をすっぽかした、驚きの理由は
東京では今日も、男女の間にあらゆるトラブルが発生している。なかには解決が難しい、不可解な事件も…。
そんな事件を鮮やかに解決してSNSを賑わせている、ある1人の男がいたー。
彼の名は光城タツヤ。職業は、探偵。
今日彼のもとにやってきたのは、デートの約束をドタキャンされてしまった男性だ。
あなたも、この事件の謎を一緒に考えてくれないだろうか…？
▶前回：1人暮らしを始めた彼の家へ、遊びに行ったら…。バスルームで見つけてしまった、まさかのアイテム
恋愛探偵の過去
「咲良が観たいって言ってた映画のチケット、取っておいたから」
「明日さ、20時に六本木でいいかな」
「…あのねタツヤ。私、あなたに伝えなきゃいけないことがあって」
そう言って、目の前の彼女はうつむいている。そのとき、ズボンの右ポケットに入れていたスマホが震えた。
「わっ、ごめん。会社から電話だ！明日話してもらってもいい？」
「…うん」
「じゃあ、また明日！」
◆
そのとき僕は、けたたましいスマホのアラーム音で目が覚めた。
― また同じ夢、か。
今日は土曜日。僕が商社マンから恋愛探偵へと変身する日だ。寒さに身を縮こまらせながら、ベッドからのそのそと起き上がる。
そして僕は、ダイニングテーブルの上に置いてあったカードケースに手を伸ばした。
いくつかのクレジットカードに交じって、少しくすんだ紙切れが目に入る。あの日、咲良と観る予定だった映画のチケットだ。
「…あのねタツヤ。私、あなたに伝えなきゃいけないことがあって」
5年前、結婚まで考えていた最愛の恋人・咲良。彼女はそう言い残して、僕の前から消えたのだ。
未鑑賞の映画チケットを握りしめたまま、脳裏に咲良の笑顔を思い浮かべる。
― 伝えなきゃいけないことって、何だったんだ？
チケットを見るたびに、後悔の波が押し寄せる。5年の月日が流れた今も「あの日、僕がちゃんと咲良の話を聞いていたら…」と思ってしまう。
それに僕は、彼女に「付き合おう」というハッキリした言葉を伝えていなかったのだ。
デートを繰り返し、自然と体を重ねるようになった。もしかしたら僕だけが、咲良と付き合っているつもりだったのかもしれない。
「ダメだ、切り替えないと」
そうつぶやいてベッドから勢いよく立ち上がると、スマホを手に取った。
リビングでコーヒーをいれながら、TwitterのDMをチェックする。すると、ある男性からのメッセージが目に留まった。
――――――――
恋愛探偵・光城タツヤさん
相談です。映画を観に行く約束をしていたのに、彼女が現れなくて。
彼女は無事でしょうか？
――――――――
咲良と会えなくなってしまったあの日の僕と、全く同じ境遇の男性からの相談。僕はさっそく、DMに記載されている携帯番号に非通知で電話をかけた。
「もしもし、恋愛探偵の光城タツヤです」
「あぁ…！タツヤさん。お忙しいところお電話ありがとうございます。とても嬉しいです」
電話口の男は、20代後半。出版社で働く高尾一馬と名乗った。おだやかで丁寧な受け答えに、当初は好青年だという印象を持ったのだが…。
…この後、僕は恐ろしい真実に直面したのだ。
未解決恋愛File４：デートをドタキャンされた男
「先日、彼女のルミと映画を観に行く約束をしていたのですが。当日、彼女は来なかったんですよ…。それからルミの消息がわからなくて」
「なるほど。映画デートをドタキャンされたまま、今も彼女と連絡が取れないと」
「そうなんです…。Twitterの更新も途絶えていて。今、送りますね」
ほどなくして高尾さんから、ルミさんのものと思われるTwitterアカウントが届いた。彼女は美人映画評論家のようで、プロフィールには「年間200本の新作映画を観ます」とある。
「ルミさんは映画評論家なんですね」
「そうなんです。彼女の評論は観点がするどくて素晴らしいですよ！いくつかコラムも持ってましてね。
…あぁ、恋愛探偵のタツヤさんのことを知ったのもルミがキッカケです。タツヤさん、ルミと同じWebサイトでコラム持ってるでしょ？」
「すみません、存じ上げず…」
「知らないんですか？まぁ、いいです。それでですね」
高尾さんは、ルミさんと六本木で映画を観た後、感想を語り合うのが生きがいだと語り始めた。彼は自身が担当している雑誌で彼女のコラム連載をしたいと、編集長に掛け合っているという。
「ルミさんとは、全く連絡が取れないのですか？家に行ったりは？」
「連絡は基本的に取らないんです。ルミは六本木に住んでいますが、家に行ったりはしないですね…」
僕は高尾さんの話を聞きながら、ルミさんのTwitterに目を通す。するとつい1分ほど前に、最新の投稿をしていたようだった。
ルミ：明日は、先日観られなかった映画『幸せな恋の終わらせ方』を見ます♪楽しみ！
「高尾さん。先ほどルミさんは、Twitterを更新されたみたいですよ」
「えっ！？あぁ、本当だ。なんだ元気だったのか！良かった…。すみません、僕の勘違いでした。映画を観る約束は、明日でした」
そう言った後、彼はまるで別人のような低い声でボソッとこうつぶやいたのだ。
「…あの女、勝手にドタキャンしやがって。痛い目に遭わせてやる」
その後、丁寧にお礼を告げると「映画の予約をしないといけない」と言って彼は電話を切った。
― なんだか、嫌な予感がするな。
しばらくして、僕はルミさんが観ると言っていた映画の予約状況を確認した。どうやらその映画は、六本木で1日1回しか上映していない作品のようだ。
これは、映画の予約状況を確認したときの画面です。あなたはこの画像の奇妙な点がわかりますか？（難易度★★☆☆☆）
「やっぱり、そうだったか…」
予約画面を見た瞬間、僕のイヤな予感は的中した。僕はもう一度スマホに「184」と打ち込むと、高尾さんに非通知で電話をかける。
「高尾さん、あなた…」
◆
難易度は★2つ。この事件の答えは明日公開！あなたの推理をぜひコメントしてください。
▶前回：1人暮らしを始めた彼の家へ、遊びに行ったら…。バスルームで見つけてしまった、まさかのアイテム
▶NEXT：1月25日 水曜更新予定
恋愛探偵が見抜いてしまった、この事件の真実とは！？
