ももいろクローバーZが2022年12月24日、25日と2日間にわたり、埼玉県・さいたまスーパーアリーナにて『ももいろクリスマス2022 LOVE』を開催した。本公演には、2日間で約35,000人のモノノフ(ももいろクローバーZのファンの総称)が集結し、2日目の公演はABEMAにて生配信チケットも販売された。



『春の一大事』、『夏のバカ騒ぎ』に並ぶ、ももクロ3大ライブの一つである『ももいろクリスマス』。通称“ももクリ”と呼ばれるこのライブは、2010年にスタートして以降、新型コロナウイルスの影響で実施できなかった2020年を除き毎年開催され、本公演で12回目の開催に至った。クリスマスならではの華やかな演出やセットリストで年々進化を遂げてきた“ももクリ”だが、今年は、大人になった“現在(いま)”のメンバーだからこそ表現できる様々な形の「愛」を届けるべく「LOVE」をテーマに開催された。成長を重ねてきた今のももクロがあまり触れることのなかった「LOVE」というストレートなタイトルを掲げて、モノノフへの愛と期待にも応えるような堂々たるパフォーマンスを届けたクリスマスショーとなった。本レポートはももクリ2日目の公演模様を届ける。



幕が明けるとDMB(ダウンタウンももクロバンド)によるストリングス隊を率いて演奏された『きよしこの夜』からスタート。オープニングムービーが映し出されたあと、ももクリ恒例となっている『PRIDE』のテーマソングが生演奏で鳴り響き、幕の奥にいるメンバーの動きと連動し、宙を浮くなど壮大な演出が散りばめられたプロジェクションマッピングが繰り広げられた。紗幕が振り落とされると、巨大なハートが何層にも重なったステージセットともにゴールドと黒を基調としたタイトな衣装に身を包んだメンバーが姿を現して、歌詞にも“愛”というワードがふんだんに使われている『愛を継ぐもの』から本編がスタート。


続けて氣志團のクリスマスソングのカバー『SECRET LOVE STORY』ではハート型のサイリウムを使ったパフォーマンスを披露したあと、ストリングスを交えたゴージャスな生演奏をバックに『美少女戦士セーラームーンCrystal』オープニングテーマ『MOON PRIDE』を会場に響かせた。ギターサウンドが印象的な勢いのあるナンバー『stay gold』で会場の熱気を上昇させ、ももクロのライブでは初披露となる、スマートフォン向けゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』とのコラボ楽曲『Majoram Therapie』をパフォーマンス。アイドル全開のキュートな振付が話題になっており、生パフォーマンスを待ちわびていたモノノフから大きな拍手が送られた。



本公演初のMCでは、「メリークリスマス!クリスマス当日にお集まりいただきありがとうございます!」と客席とABEMA生配信を試聴しているファンへ感謝を伝えた。自己紹介のあと、新曲『Majoram Therapie』について佐々木が「ずっとやりたかった王道アイドルソング!15年かけてようやく叶った」と打ち明け、笑いを誘った。



MCを終えたあとはステージを左右に広く使いながら、ももクリ2016のテーマソング『真冬のサンサンサマータイム』を披露。会場を陽気に盛り上げたあと、チェロの音色が響き会場の雰囲気が一変すると4th ALBUMの表題曲『白金の夜明け』を温かさの中にも芯の強さがある歌声で届けた。続けてロックチューン『境界のペンデュラム』を荘厳なコーラスを交えて披露、『JUMP!!!!』ではスネア隊のさっちんリズムスターズとLOVE UNLIMTED DANCERSとのコラボパフォーマンスを披露し、眉村ちあきが手掛けたミディアムバラード『手紙』でもスネア隊による演奏をバックに思いを込めて歌い上げ、一度ステージをあとにする。


幕間に入り、LOVE UNLIMITED DANCERSによるクリスマスアレンジされたももクロ楽曲メドレーのダンスパフォーマンスを終えると、「せーの、メリークリスマス!」の掛け声と同時に、ステージに置かれたスーツケースの中からボリューム袖が特徴のワンピースを着たメンバーが登場しももクロの定番クリスマスソング『サンタさん -ZZ ver.-』へ。『サンタさん』では高城れにによるマジックショーがおなじみとなっているが、今年はエイトリングという8の字型のリングを操る大道芸に挑戦して会場を魅了した。


『ザ・ゴールデン・ヒストリー』では、トロッコに乗り込みファンのもとへ繰り出し、MCでは家族で観覧に来ているファミリー席やカップルで観覧に来ているモノノフに問いかけたり、トロッコから客席と近い距離で会えたことの喜びを表した。代表曲「行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-」、『猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」』を再びトロッコで移動しながら連続披露した後、サックスが会場に響きわたるとスーツケースに腰を掛けたメンバーが移動しながら登場し、ブルージーなロックナンバー『レディ・メイ』がスタート。大人の色気を醸し出したパフォーマンスに加えて、ダンサー達による傘を使った巧みなマッピングも取り入れられ、まさに“ショー”と言える新たなももクロのライブを繰り広げて会場を魅了した。


今回のももクリのテーマソングとして、愛をテーマに制作された新曲『L.O.V.E』では、思わず体が乗ってしまうR&B調のポップナンバーの中にも大人のセクシーさも感じられるパフォーマンスでモノノフの心を鷲掴みにした。4人が体を寄せてハート型をつくる振付で曲のラストを締めくくると会場いっぱいに拍手が響き渡った。



MCでは、『サンタさん -ZZ ver.-』での高城のエイトリングや新曲『L.O.V.E』を振り返ったあと、百田から「来年15周年を迎える私たちからお知らせがあります!」と告知をしようとするとステージ後方から突如松崎しげるが登場。来年15周年を迎えるももクロを鼓舞すべく『愛のメモリー』を歌唱。初期は重大発表があるときももクロの前へ時折サプライズ登場していた松崎しげるだが、久しぶりの登場にももクロと会場のモノノフを驚かせた。



驚きを見せながらも来年メンバーセルフプロデュースの15周年ツアーが全国各地で開催されることを発表。大型ツアーをセルフプロデュースすることが初めてになると明かし、日程と会場をメンバーから発表。さらに佐々木彩夏のソロコンサート・高城れにのソロコンサートの開催、そして2023年のリリース予定も発表され、15周年のスケジュールが続々と明らかになった。


初期の人気ナンバー『ミライボウル』で会場を盛り上げた後、さだまさし提供曲『仏桑花』をしっとりと歌い上げると、『一粒の笑顔で…』では、DMB(ダウンタウンももクロバンド)、スネア隊のさっちんリズムスター、LOVE UNLIMTED DANCERSの紹介が行われ、大団円を迎えて本編の幕が閉じた。


客席の熱気に応えるかのように『overture〜ももいろクローバーZ参上!!〜』が流れ会場のボルテージが上がったところで、美しいストリングスの音色が奏でられる。冬のバラードナンバー『空のカーテン』の歌い出しとともにLOVEゴンドラに乗ったメンバーがゆっくりと上昇。情感たっぷりに歌い上げ、続いてもウインターソング『今宵、ライブの下で』を歌唱。


百田から「愛の込もったこちらの曲をお聴きください」と曲振りがあると、ももクリには欠かせない『白い風』をラストナンバーとして歌唱。冬のひんやりとした空気が温められていくような愛であふれた空間に包まれながら、心温まる美しい歌声を会場に響かせてアンコールの幕を下ろした。



最後のMCで、高城は「ももクロが愛を語るってしみじみ年齢を重ねたなと改めて思いながらライブをしていました。いつもモノノフさんから愛をたくさん注いでもらっているけど、今日は私たちなりの愛届きましたか?」と呼びかけると会場は温かい拍手で応えた。



佐々木は「“愛”って言うと少し恥ずかしいけど、来年の15周年でもさらに愛を届けていけたらと思いますので皆さんも愛してくれたら嬉しいです」と話し、15周年に向けて意気込む場面もあった。


玉井は「年に2日しかないクリスマスという貴重な行事に、私たちに会いにきてくれてありがとうございます。毎年クリスマスにさいたまスーパーアリーナに帰って来られることが幸せ。お互い(ももクロとモノノフさん)考える時間があるってことは相思相愛な関係だなと思います」と語り、百田は「愛について話すのは新鮮だけど、みんなから頂く愛は温かく幸せです。」と感謝を述べた。みんなにとって大切な時間を思い浮かべてほしいと問いかけると「そこに、愛はあります」と答え、会場を和ませつつも「このライブで私たちからもたくさんの愛が伝わっていたらいいなと思います!」と語ったあと「最高のクリスマスだったね」と終わりを惜しみながらも全員で客席へ深くお辞儀をしてラストを締めくくった。


クリスマスという1年の中でも最も愛に溢れたシーズンに、モノノフの愛とその愛に負けじと発散されたももクロの愛が会場いっぱいに満ちた【ももいろクリスマス2022 LOVE】はフィナーレを迎えた。なお、本ライブ中に発表されたももクロ15周年ツアーや2023年リリース予定、ソロコンサートについての詳細はオフィシャルHPやオフィシャルTwitterで随時更新されていくので、詳細の続報を楽しみに待とう。


photo/上飯坂一、増田慶、小境勝巳