もしも、「アイドル版M-1」があったら? “ライブアイドル大好き芸人”寺田寛明が完全妄想! 「志らくさんが高得点つけるグループ」「ジャルジャルの『国名分けっこ』くらい中毒性のある楽曲」
R-1グランプリ2年連続ファイナリストにして、暇さえあれば“現場”に顔を出す“ライブアイドル大好き芸人”としても知られる寺田寛明が「M-1×アイドル」で妄想を繰り広げる。
「W杯で日本がドイツに勝った」をM-1でたとえると?
2022年のM-1はウエストランドの優勝で終わりました。同じ日には4年に一度のW杯の決勝もありましたね。日本代表の快進撃はテレビやネットを賑わせましたが、サッカー音痴の人による、「日本がドイツに勝ったのがどのくらいすごいかピンと来ないから、ほかのことでたとえてほしい」みたいなツイートもあふれました。
「ヤムチャがベジータに勝った感じ」のように、漫画やゲームなど様々なジャンルに置き換えて説明する大喜利が繰り広げられていたと思うのですが、お笑い好きな人に伝えようと思った場合は、明確な正解が存在します。
「M-1グランプリ2019で、ぺこぱが和牛に勝って最終決戦に進出した」
これです。
お笑いファンと会話をするときは、M-1などの賞レースにたとえると、だいたいうまくいきます。「オンエアバトルで名刀長塚がシャカに勝ってオンエアされた」など似たようなたとえはほかにもありますが、より広く伝わるのはM-1のほうだと思います。
賞レースってワクワクしますよね。地下芸人が一夜にしてスターになって、すべてをひっくり返す可能性を秘めているし、普段お笑いを見ていない人に注目してもらえる場でもあります。
実はこれを書いている私、寺田寛明はあまりにもお笑いが好きすぎて、R-1グランプリ(意外と夢がある大会)の決勝に2回も出てしまうほどのお笑いファンなのですが、それと同時に、年間180現場ほどアイドルを見に行っている、いわばアイドルオタクです。
年間180現場なんて大したことないと思われる方もいると思うのですが「それをやりながらR-1決勝に2年連続で行っている」という点を評価してほしいです。また、「渋谷のLOFT9で主催ライブをした回数も年間1位だった」という点も同様です。
土日に「アイドル現場→自分のお笑いライブ→アイドル現場」みたいな回し方をしているので、アイドルのライブハウスからお笑いの劇場への移動経路は完ぺきに頭に入っています。都内のバスも完璧に使いこなしています。夏にアイドルを見すぎて、一年中足にサンダルの形の日焼け跡が残ったままになっています。
アイドル界にもM-1のような賞レースがあったら……
僕が見ているのは、いわゆる「地下」と呼ばれるアイドルシーンです。
アイドルにはM-1のような大きな賞レースがなく、あっても完全な集客勝負になってしまっているので、「これさえ見ておけば今のアイドルシーンがわかる」みたいなパフォーマンス勝負の場もありません。
いつも思います。M-1みたいに、実力だけで審査されるアイドルの賞レースがあったらどうなるのだろうと。
ということで、「アイドル界にもM-1のような賞レースがあったら」と、決勝進出を果たしたファイナリスト10組を妄想して書いてみます。なので、お笑いにもアイドルにも興味がない方はこの記事はもう読むところがありません。どちらか片方だけは知っているという人は、「へえ、置き換えたらこうなるのかあ」くらいに思ってください。
※前提として、既に売れているグループはそもそも出ていません。坂道やBiSHは「ENGEIグランドスラム」にいると思ってください。
※M-1の出場資格は結成15年以内ですが、アイドルのほうは8年以内とします。
※1年を通して現場を見てきた寺田の意見なので、とても偏りがあります。異論がある人は自分なりのファイナリストを考えて遊んでください。
インディアンスみたいな「最高のトップバッター」
それでは、2022年のファイナリストをご紹介します。(出番順)
★1番手「アンスリューム」
結成4年目/ 株式会社リーディ所属
今年8月、「ジョウナイシ鳴」という嘘みたいな名前で加入した新メンバー(元歌舞伎町No.1キャバ嬢)を始めとした個性的なメンバーと、ファニーな中にもクオリティの高い楽曲が魅力。アイドルの楽しさがすべて詰まっている、初心者にもオススメのグループ。
M-1にたとえるなら……笑御籤(えみくじ)でトップを引くも会場は大盛り上がりし、インディアンスみたいに「最高のトップバッター」と評されそう。あと山田邦子さんが200点をつけそう。
★2番手「OCHA NORMA (オチャノーマ)」
結成2年目/アップフロントプロモーション所属
ハロプロの末っ子グループ。アイドルとしての地肩の強さと、ハロプロらしい楽曲で、誰でも楽しめる今アツいアイドル。夏のアイドルフェスで事務所の先輩グループ「BEYOOOOONDS」が12人中11人コロナに感染して出演できなくなり、OCHA NORMAが信じられないステージ数の代演をこなしていたのが印象的。『抱いてHOLD ON ME!』をカバーしてるアイドル、初めて見ました。
M-1にたとえるなら……「正統派でメンバーそれぞれのニン(個性)も出ていて、う・ふ・ふ♪う・ふ・ふ♪」と中川家礼二さんが絶賛しそう。
★3番手「situasion(シチュアシオン)」
結成3年目/状況製作委員会所属
楽曲派から絶大な支持を得るグループ。アイドルらしくない尖りまくったダークな楽曲とパフォーマンスが魅力。「何をやってるんだこれは……でも何も考えずに体を揺らして楽しめるぞ!」。そんな不思議な感覚を体感してほしい。
M-1にとたとえるなら……前評判では「志らくさんが高得点つけそう」と言われていて、実際につけそう。
敗者復活戦は、極寒のアリオ橋本イベント広場を想定
★4番手「ばってん少女隊」
結成8年目/スターダストプロモーション所属
スターダスト福岡営業所から東京への距離にも心折れずに、さまざまなジャンルの楽曲を試し続け、2020年リリースの「OiSa」がヒット。アルバム『九祭』では祭りをテーマにした力強いダンスチューンの数々で怒涛のたたみかけを見せるグループ。
M-1にたとえるなら……今年の勝負曲「御祭sawagi」が、ジャルジャルの「国名分けっこ」ぐらい中毒性があるとSNSで話題になる。
★5番手<敗者復活枠>「ばっぷる」
結成3年目/テレジアプロジェクト所属
3人の伸びやかな声と、多幸感あふれるオシャレな楽曲は、見る側のコンディションを問わず、「いいものを見た」という気持ちにさせる。Youtubeでバズる前から「岸さんの体型が好き」という理由でトークライブのMCにきしたかのを指名するなど、すべてがハイセンス。
M-1にたとえるなら……本家M-1の敗者復活戦は極寒の六本木ヒルズアリーナで行われるが、〝アイドル版〟は極寒のアリオ橋本イベント広場を想定。そこで見事勝ち上がりそうなダークホース的存在。アリオ橋本からスタジオへの移動で道に迷い、かなりのタイムロスが発生するが、髭男爵ひぐちくんのアテンドにより、事なきを得る。それらすべてを忘れさせるほどの素晴らしいパフォーマンスで爪痕を残す。
★6番手「Ringwanderung(リングワンデルング)」
結成4年目/ Lonesome Record所属
高い歌唱力と熱量でフロアを沸かせまくる5人組。楽曲制作にボカロPを起用していて、初見の人もぶっ刺しまくる特徴的な楽曲が魅力。鍵盤ロックが好きな人なら必ずチェックするべき。
M-1にたとえるなら……連続で決勝に出場しているオズワルド的存在。大事な場面で「細稲垣」のようなことをして、見る者の記憶に残るものの点数が伸び悩みそう。敗退が決まって暫定ルームが映し出されるも、すでに彼女たちの姿はなく、椅子の上にはみょんさんが脱いだ上着だけが置いてありそう。
★7番手「クマリデパート」
結成7年目/ekoms所属
とにかく楽しい・幸せを届け続けるTHEアイドル。この真っすぐなアイドル活動をここまでの練度に高められるのは、メンバー・運営すべての細かい努力の賜物。プロデューサー・サクライケンタによる楽曲は、王道に見えても細かいところまでトリッキーで何度聞いても飽きない。
M-1にたとえるなら……振り付けでパンチの動きをするところでメンバーに当たってしまい、今年のM-1(3回戦)のセルライトスパとまったく同じ状態になるも、最後まで盛り上げ切り、場数の違いを見せつけそう。
「アイドルかアイドルじゃないか論争」を巻き起こしそうなグループ
★8番手「きのホ。」
結成2年目/ 古都レコード所属
漫画家のうすた京介さんが立ち上げにかかわっている京都のアイドル。衣装、振り付け、パフォーマンス、MVのクオリティ、どれもすごいが、ハンサムケンヤさんが作る楽曲がどれも本当に最高に素晴らしい。楽曲派の時代到来を予感させるグループ。
M-1にたとえるなら……今年まったく審査員ではない中田カウス師匠がやってきて、「ジェットコースターのようなパフォーマンスやねえ」と言いそう。
★9番手「DIALOGUE+(ダイアローグ)」
結成4年目/ ポニーキャニオン所属
所属事務所の違う新人声優8名によるユニット。楽曲制作をUNISON SQUARE GARDENの田淵さんが行っており、異常に楽曲レベルが高い。注目は歌詞の世界観と声の表現力。『人生イージー?』の2番に「頑張ってないのは君の甘えだ」という歌詞があり、毎回ドキっとさせられる。
M-1にたとえるなら……9番手のキュウが乗り移り、「君の甘えでしょ~う!」と言うなど予期せぬトラブルに見舞われるも、声がかわいいため、特に減点対象とはならずに最高のパフォーマンスを見せそう。
★10番手「NaNoMoRaL(ナノモラル)」
結成5年目/ ミニマリング・スタジオ所属
アイドルの女の子と、運営の男性が2人で歌う異色のスタイル。文字で見るとめっちゃイロモノっぽいが、現場で見たら絶対に皆で楽しめる。そのぐらい音楽性もアイドル性も抜群。岡野陽一単独ライブのテーマ曲も制作するなど、お笑いにも愛がある。
M-1にたとえるなら……「アイドルかアイドルじゃないか論争」を巻き起こすも、有無を言わさぬ圧巻のパフォーマンスを見せ、審査員たちは昨年のM-1で錦鯉が優勝したときとまったく同じ量の涙を流しそう。
撮影/キンマサタカ