中西直人のドライバーにはフジクラ『VENTUS BLACK』の6Xが入っている(撮影:山代厚男)

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13日、中西直人が藤倉コンポジット株式会社主催の1日大会「スピーダーチャレンジ 2022 決勝大会」のプロ・研修生の部に出場。午前中は冷たい雨が降るなか、3バーディ・5ボギーの「74」で回り、2オーバー・28位タイに入った。そのラウンド後にシード落ちを経験した今季を振り返り、「最高の1年でした」と明るく語った。
中西直人に聞くスライス対策は「カゴをブーラブラ」【写真】
19年、統合された20-21年と2季連続でシードを獲得していた男子ツアーのムードメーカーだったが、今年は苦しいシーズンを送った。賞金ランキング81位で、出場義務試合数不足の5選手を除いた70位までのシード枠に届かず。4年ぶりに出場したファイナルQTでは29位。限定的ながら、来季前半の出場権を確保した。
ギャラリーの声援には常に笑顔で答える中西も、4月の「中日クラウンズ」から9月の「バンテリン東海クラシック」まで約5カ月間で14試合に出場して、予選通過はわずか1試合。スイングの不調からオーバーパーのラウンドを重ね、出口の見えない日々が続いた。「夏場のセガサミーカップの11番ホールで、右の隣のホールのフェアウェイに打ったときは、俺の人生は終わったと思いました」とまでいう。
10月の「ZOZOチャンピオンシップ」と「日本オープン」は出場権がなく、2週間のオープンウィークに思い切ってスイングを見直したことで「何とか帰って来ることができた」と復調。11月「三井住友VISA太平洋マスターズ」では、3日目を終えて4位タイと、シードどころか初優勝目前まで迫ったが、最終日に「74」とスコアを4つ落として12位タイ。あと2打良ければシード枠に入っていただけに悔しいラウンドとなった。
そんな苦しい22年を、中西は「本当に今年は最高の1年でした」と笑顔で語る。なぜなのか。
「VISAではいきなり突風が吹いて池に入ったり、その後のフェニックスでは1打差で予選に落ちたし、最終戦(カシオワールドオープン)もずっとパットを外し続けた。そこに絶対意味がある。今年1年は修行の年だなと思っていて、QTに戻ってまた出場権を得られた。シードを獲れていたほうがよかったかもしれないですけど、中途半端なまま引きずるよりも、またイチからやり直せるのは最高ですね」
シーズン終盤はスイングを修正して戦えるゴルフを取り戻したが、このオフの課題には「スイングプレーンと再現性」を挙げる。「ゴルフは球を打ちたくなってくると、前傾が深くなりすぎて、フェースの管理ができなくなるので、スイングプレーンとフェースの管理を強化したい」と語る。
また、ゴルフの内容に関しては「まとまりすぎないように」と考えている。「選手によって正解は違うと思っていて、僕の場合は刻むのが苦手で攻める方が得意なんですよ。今年はできないことをやろうとしていた。普段攻める人間が刻むと逆に曲げて林に入ったりするので、自分のゴルフに後悔がないような取り組みをしたい」と、来シーズンは自分らしいスタイルを貫き、確立していく。
そして、選手会副会長でファンプロジェクト委員長も努める中西には、男子ツアーを盛り上げる役割も期待される。「来年もジュニアのトーナメントを開催します。僕の場合は小学生を対象にしたトーナメントなんですけど、それとジュニア育成も含めて、選手とギャラリーの距離を縮める、選手をより知ってもらえるような環境作りを強化していきたいなと思っています」と熱い気持ちを持つ。
今年3月には自身が主宰する「THE TOURNAMENT for the FUTURE〜子どもたちへの贈り物〜」を行った。開催にあたってはクラウドファンディングで目標金額1000万円に対して1078万円の資金の調達に成功。これは「来年も行います」と宣言。男子ツアーのファン獲得に加えてジュニア育成にも引き続き力を注ぐ。自分のプレーでもそれ以外の活動でも、中西らしく明るく楽しく、ゴルフ界を盛り上げていく。
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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