スーパーショット締めで木下彩がレギュラーツアーへ大きく前進した(撮影:福田文平)

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<JLPGA ファイナルQT 2日目◇30日◇JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部(岡山県)◇6442ヤード・パー72>
2021年に行われたQTを9位で突破。今年1年間をレギュラーツアーで過ごしたが、「チャンスを生かせなかった」という悔いが残る。黄金世代の木下彩は「来年もツアーに出られるように」と臨む舞台で、強風のなかトータル8アンダーまでスコアを伸ばした。
初日から2つ伸ばして迎えた最終18番パー5。残り215ヤードの2打目、7番ウッドでのショットがフォローの強い風にも乗り、ピン50センチについた。あとわずかでアルバトロスという会心の一打。「完璧。左の傾斜できれいに寄っていって、入るかなと思ったくらい。最高です」。楽々のイーグル締めで、首位と2打差の2位まで浮上した。
今年4月の「フジサンケイレディス」では最終日最終組のひとりとして、優勝争いに加わった。結果は6位タイで初優勝を逃したものの、第1回リランキングを15位で突破。初シードに向け、突き進んでいくつもりだった。しかしその勢いを止めたのが夏場に感染した新型コロナウイルスだった。「治ってからも1、2カ月はずっとだるさが残って、感覚も戻らず、調子が上がらなかった」とかみ合わない日々を過ごすことになる。
それでも終盤ころになると、徐々にショットの状態が上向きに。さらにゴルフを始めた時から“コーチ”を務める山口県在住の祖父・宏さんのもとを3年ぶりに訪れ、プレーを見てもらったことも転機に。「低い球を打っていったほうがいい」というアドバイスが授けられ、それが「ハマった」という感覚を得た。
瞬間風速10メートルを超えた2日目のラウンドでも、その低い球は役に立った。「もともと弾道も低いので、ほかの人よりも風に負けないかな」という自信もプレーを支える。「QTでもいつも通り」という平常心のプレーで、この日のベストスコアタイ「68」につなげた。
渋野日向子の親友としても知られるが、「たまに連絡は取るけど、(渋野が)多忙でスケジュールを合わせるのも面倒くさい(笑)」というサッパリした性格も、個性のひとつだ。今季のメルセデス・ランキングは71位。QTファーストが免除になる56〜70位を逃し、練習時間に充てられなかったことも「悔しい」というが、しっかりファイナルまで残った。このまま上位でプレーを続け、来季こそ「チャンス」をつかみとりたい。(文・間宮輝憲)
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