高城れに 『OVERTURE No.014』(徳間書店)より

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地上波のレギュラー歌番組や季節毎の大型音楽特番で、ももいろクローバーZ(以下、ももクロ)の姿を見ることは少なくなった。しかし、アイドルにあまり詳しくない人でさえ、今年は、ももクロの存在を再確認し、その魅力を再認識した1年だったのではないだろうか。

【写真】紫色の花束を手に、笑顔を見せる高城れに【2点】

2022年、SUZUKIのCMや楽天トラベルのCM、そして、バラエティ番組などで、ももクロの姿をテレビで見なかった日は無いかも知れない。特に、『踊る!さんま御殿!!』、『THE突破ファイル』、『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』、『ジャンクSPORTS』、『千鳥のクセがスゴいネタGP』など、各局の様々な人気バラエティ番組に、1人、もしくは、2人で出演する機会が一気に増えた。赤・黄色・ピンク・紫、それぞれのメンバーカラーの派手な衣装ではなく、大人っぽい衣装を纏ったももクロの姿も印象的で、実際、ももクロがバラエティ番組に出演する度に、メンバーの名前がTwitterでトレンド入りを果たしている。

そして、トレンド1位にもなった、直近の最大の話題と言えば、最年長メンバーである高城れにの結婚である。11月6日、YouTubeで、突如、北海道日本ハムファイターズの宇佐見真吾との結婚を発表。高城は、自身の言葉で結婚することを伝え、さらに、ももクロの活動を継続していくことを約束した。これまでにも、でんぱ組.incの古川未鈴やNegiccoなど、結婚後も活動を続けているアイドルはいたが、ももクロの電撃結婚発表がファンと世間に与えたインパクトは、ここ数年のアイドルの結婚発表の中で最も大きかったと言ってもいいだろう。そして、多くのファンがそれを受け入れて、温かく祝福していた様子もまた、ももクロらしかった。

色々な意味において、ももクロを「最強の女性アイドルグループ」と評する人も多いが、ここからは、その理由を考えていきたい。まず、ももクロは、老若男女問わず、誰からも愛される「全方位アイドル」だと言っても過言ではないだろう。キッズ向け番組『とびだせ!ぐーちょきぱーてぃー』では、ももくろちゃんZというキャラクターに扮して、子ども達の心をグッと掴む。そして、毎年夏には、数々のロックフェスに出演して、音楽ファンやロックファンの心をも掴む。

さらには、大御所からの「愛され力」だ。代表的な所で、加山雄三やさだまさしから可愛がられていることは有名だが、昨年7月からは、ザ・ドリフターズと、ニコ生チャンネルでレギュラー配信番組『もリフのじかん』がスタートした。昨年11月には、日本武道館でライブとコントを交えたイベントも行っている。ドリフが武道館のステージに立ったのは、1966年に行われたビートルズの来日コンサートの前座公演以来、実に55年ぶりのことだった。

アルフィーの坂崎幸之助とは、長らくCSの歌番組で共演中(現在のレギュラー出演は玉井詩織のみ)。松崎しげる、泉谷しげる、五木ひろし、HYDE、西川貴教、氣志團といったアーティストの主催フェスに何度も呼ばれたり、ももクロのラジオ番組のイベントに、和田アキ子や吉永小百合がゲストで登場したりしたこともある。

そして、その「愛され力」は海外アーティストにまで広がっている。強烈なインパクトを残したKISSとのコラボの他、レディー・ガガの来日公演でオープニング・アクトを務めたり、カーリー・レイ・ジェプセンとステージで共演したりするなど、これまでの日本の女性アイドルグループが誰もやったことのないような、国内外のビッグネームとの夢のコラボを次々と実現して来た。

ここで、もう少し、ももクロの音楽面の魅力も深掘りしてみたい。ももクロのライブの魅力は何と言っても「生歌」だ。そして、夏フェスや大型ライブの際には、バックバンドが入って「生演奏」するので、その魅力はさらに倍増する。楽曲に対しては、デビュー当時の印象のまま、いまだに「ももクロの楽曲=クセが強い」と思っている人も多いことだろう。

『行くぜっ!怪盗少女』や『ココ☆ナツ』といった初期の代表曲を手掛けたのは、「ヒャダイン」こと前山田健一。現在もアルバム収録曲など手掛けてはいるが、最近の楽曲提供アーティスト達もいい意味でかなりクセが強く、音楽ファンを唸らせている。例えば、最新アルバム『祝典』には、Mom、の子(神聖かまってちゃん)、眉村ちあきらが楽曲を提供。前作『MOMOIRO CLOVER Z』では、CHAI、GLIM SPANKY、志磨遼平(ドレスコーズ)といったロックバンド達も楽曲を提供している。

そんな最近の2枚のアルバムの中に、ロックフェス対策として作られたとしか考えられないような楽曲が2曲ある。『あんた飛ばしすぎ!!』と『ダンシングタンク▽』だ。どちらもいわゆる自己紹介ソングなのだが、原曲はGARLICBOYS。メンバー4人が順番に、自分の長所や短所を歌い繋ぐパンクナンバーなのだが、これがとにかくライブやフェスで映える。ロックフェスで初めてももクロのライブを見て、即「推し」を見つけ、そのまま「沼」にハマってしまった…なんてロックファンもいるくらいだ。是非、初期のヒャダイン曲のイメージしかない人にこそ、今のももクロの楽曲にも触れてみて欲しい。

そしてもうひとつ、ももクロを語る上で欠かせないのがスポーツだ。特に、野球界にはモノノフ(ももクロのファン)を公言する選手が多く(高城の結婚相手である宇佐見も昔からモノノフを公言)、中でも、東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大投手の登場曲を、ももクロが毎年歌っているのは有名な話。昨年2月には、ニューヨーク・ヤンキース時代の登場曲も含む、9年分の楽曲をまとめたアルバム、その名も『田中将大』をリリースしている。

ソロでの活動についても触れておきたい。最年少メンバーの「あーりん」こと佐々木彩夏は1人で、アイドルフェス「TIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)」にたびたび出演しているが、今年は、AKB48との共演も話題となった。AKB史上最難度ダンスと言われた『根も葉もRumor』に加わり、圧倒的なダンスパフォーマンスを披露。佐々木は、横浜アリーナで毎年ソロコンサートを開催したり(今年の会場は有明ガーデンシアター)、他事務所のグループを招いたアイドルフェスを主催したり、事務所の後輩達と組んだアイドルグループ浪江女子発組合ではプレイングプロデューサーを務めたりするなど、ソロアイドルとしても無双状態だ。

結婚を発表した高城は、人気アニメシリーズの最新作『かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-』で、オープニング主題歌を担当、一緒に歌っているのは鈴木雅之。玉井詩織は、来年ふたつの舞台が控えているが、そのうちひとつは、ももクロの明治座公演。ここでは玉井が座長を務める。そして、リーダーの百田夏菜子は、今年、ドラマ『僕の大好きな妻!』で主演を務めたほか、公開中の映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』日本語吹き替え版では、主人公シュリの声を演じている。

ソロとしても、グループとしても、そして、結婚してもなお輝きを増し、勢いが止まらないももクロ。今年初めて、もしくは、改めて、ももクロが気になった方は、是非、大晦日にABEMAで全編生放送される『ももいろ歌合戦』もチェックして欲しい。NHK紅白歌合戦の連続出場が途切れたももクロが、「だったら自分達で…」とスタートさせた大晦日の恒例イベントも今年でもう6回目。つい先日、第1弾出演者が発表されたが、さだまさし、泉谷しげる、五木ひろし、笑福亭鶴瓶といった大御所をはじめ、湘南乃風、SOPHIAといった中堅アーティスト、さらには、若手芸人、俳優、声優、プロ野球選手から他事務所のアイドルグループまで、まさに老若男女全方位で楽しめるエンタメがそこにはある。

最後に…。モノノフがももクロに託す思いや願いは、人それぞれかも知れないが、モノノフ全員が共通して思っていることがある。それは「この4人で活動し続ける姿、この4人がワチャワチャしている姿を、これから先もずっと見続けていたい」ということに尽きるだろう。メンバーの誰かが抜けること、ましては、メンバーチェンジなんてことは、想像も想定もしたくない。そして、ももクロとモノノフが強い絆で結ばれている理由がもうひとつある。それは、「また国立競技場でライブを!」という共通の夢を持っていることだ。旧国立競技場で行われた伝説のライブからもうすぐ9年。今の最強の4人ならば、あの時以上の素晴らしい景色を見せてくれるはずだ。その時は、きっと近い。

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