年末調整・所得税確定申告の電子化のイメージ

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 会社員(給与所得者)の配偶者と記者は、勤務先の指示により、2021年の年末調整から、ともに電子申請(オンライン申請)に切り替わった。電子申請後、控除証明書などの電子データ(XMLデータ)を提出していない分については、台紙に原本を貼って勤務先に提出して無事完了となる。今回は、今年初めて電子申請を行う人に向けて、年末調整手続きの電子化のメリット・概要を紹介しよう。

●手書き不要で手続きが楽に



 年末調整手続きの電子化にあたって、国税庁が無償提供する専用の「年調ソフト」ではなく、クラウド型の電子年調申告サービスなどを活用する企業が多いようだ。電子年調申告サービスはそれぞれ仕様が異なり、操作上の不明点はマニュアルを熟読しよう。

 保険料の支払額などのインプット方法は、マイナンバーカード保有者向け行政手続きオンラインポータル「マイナポータル」から申し込みが可能な「マイナポータル連携」の利用、保険会社が提供する控除証明書などの電子データ(XMLデータ)のインポート(取り込み)、紙の控除証明書を参照した手入力の3通りに分かれる。このうち、マイナポータル連携・XMLデータ取り込みを利用する場合に限り、「添付書類不要」となる。

 国税庁のウェブサイトでは、新サービスのマイナポータル連携・XMLデータ取り込みを利用した方式のメリットや従来の手書き・書面提出との変更点を説明している。XMLデータを取り込まない場合、年末調整電子化のメリットは、従来の「手書き」がPCやタブレット端末、スマートフォンでの「文字入力」に変わること、システム連携による「前年度の申請データの自動入力」の二点だけ。ただし、マイナポータル連携・XMLデータ取り込みにはそれぞれ事前準備が必要(マイナポータル連携にはマイナンバーカード交付申請・受け取りとマイナポータルの利用者登録、電子データ取り込みには保険会社などのマイページ登録など)なので、人によっては余計に負担に感じるかもしれない。

 2年連続で、配偶者分は「紙の控除証明書を参照した手入力」、本人分は「紙の控除証明書を参照した手入力」と「XMLデータアップロード」の併用で申請した感想としては、紙の控除証明書を参照した手入力は手書きより若干マシになった程度であり、来年こそ、住宅借入金特別控除(住宅ローン控除)以外は、すべてXMLデータの取り込み・添付書類不要で完了させたいと思った。

 国税庁「マイナポータル連携に対応している控除証明書等発行主体一覧」によると、主要な生命保険会社・損害保険会社はマイナポータル連携に対応済みだ。確定申告の「寄附金受領証明書・寄附金控除(ふるさと納税)に関する証明書」については「さとふる」「ふるさとチョイス」「楽天ふるさと納税」は対応済み、「ANAのふるさと納税」は23年2月上旬対応予定となっている。

 23年1月以降、確定申告のマイナポータル連携の自動入力の対象に「公的年金等の源泉徴収票」「国民年金保険料」が追加される予定。さらに、「給与所得の源泉徴収票」「iDeCo」などにも拡大予定という。年末調整(電子申請)だけならマイナンバーカードは必須ではないが、ふるさと納税などで確定申告が必要な人は、e-TAX送信・マイナポータル連携のため、マイナンバーカードを作ったほうが確実に便利だ。(BCN・嵯峨野 芙美)